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異世界焼肉道  作者: グッチ
3.苦悩を突き抜けて、焼肉に至れ
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3-18.宴会、調理実習

「さぁて、どうするかな」

 炊飯所にはすでにオークが5体、いくつかのパーツに解体されてお肉状態になっていた。

 俺たちが倒したものではなく、エルフたちが残党を退治した結果らしい。

 あの後まだいたというのが驚きだが。

 なぜ5体分とわかったかだが、炊飯所の台の上にオークの首が5つ並んでいたからだ。

 さらし首の台みたいでちょっと怖い。

 ちなみに、この炊飯所は冒険者を雇った際に泊まってもらうためのものらしく1軒の空き家の庭に屋根だけの東屋のような構造と手作りのコンロがあるという設計だ。

 ちょっとキャンプ場っぽい。

 そして隣に積み上げられた、肉、いくつかの野菜と調味料。里中からかき集めてきたのだろうか。

 ただざっと見た感じだと、しっかりしたキャベツみたいな葉物は少ないな。

 さらに大量に作らなきゃならないとなると。

 お、これはジャガイモっぽいな。量も申し分ない。

「すみません、この芋を洗って皮をむいてもらってもいいですか?」

「お任せください。子供たちも手伝いたがっていますので」

 俺は横にいた手伝いのエルフにお願いする。

 少し向こうでそわそわしているエルフの子供たちが目に入る。

 なんだかほほえましい。


 その間に、俺は肉の方を進めたい。

 今回は圧倒的にロースの方がいい。

 バラ肉、ようは豚カルビは燻製や干し肉にした方が保存も利くし、これからのことを考えたら絶対ロースを先に消費するべきだ。

 ロースもハムの様に燻製にすることはできるが、手足の肉があるから今回はそっちを燻製にした方がいいだろう。

 豚は鳴き声以外は食べられる捨てるところがない動物だからな。

 まぁ、豚じゃなくてオークなんだが。

「すみません、このロース……背中の肉を薄めに切ってもらっていいですか?実際の厚みはお任せしますが、火を通しやすくするためにこのくらいを意識してください」

 俺は自前の包丁でロースを切って見せる。

「わかりましたわ。お任せください」

 手伝いのエルフの奥様方がロース肉を軽々と抱えて持っていく。

 いや、頼もしい。

「ほかの皆さんはこっちのあばらや手足の肉を燻製の準備をしてください」

「任せてください。以前、海沿いの町で生活していたので自分が作り方がわかります。指揮を執りましょう」

 残りのエルフたちには塩漬けの準備をお願いする。

 これでとりあえずの準備はできた。

 さて、次は。

 俺はざっくりとあたりを見回し積みあがった食料を調べる。

 まず、穀物は見た感じ稗や粟、蕎麦なんかの雑穀に胡麻。

 山菜は大量にあるが、今回は合わないだろうな。

 お?ネギが結構な量あるな。それに生姜とニンニクも。

 それにこれは……大葉っぽい。これも山菜の一つだろうか。

 念のため『鑑定眼』でも確認するが特に毒とかはなさそうだ。

 表示もしっかり「しそ」となっている。

 確認すると用途は虫よけで食べてはいないそうだ。

 チーズもあるな。意外にもけっこう量がある。

 調味料は塩、バターなど基本的なものはあるみたいだ。

 それと最後、15cmに迫ろうかという黄色い柑橘類。

 割って確かめてみるとグレープフルーツっぽい味と香りがする。

 若干酸味が強いかな?

 聞けば、ポメロ・ロワイヤルという王家にも献上される果物らしい。

 この材料たちから考えると、ロース肉を使ってあっさり目に仕上げる焼肉で一品。

 パセリの代わりに大葉を使ったジェノベーゼ風ソース和えでも作るか。

 そうと決まれば。


「すみませーん。誰か切るの手伝ってもらえませんかー!?」


 さすがに、150人以上の食事を作るには俺一人では手に余る。

 ここは援軍を呼ぶべきだろう。


 俺の呼びかけに集まったのは5人ほどのエルフの奥様方。

 はじめはレモンさんもやってきたのだが、奥様方に言いくるめられて今は端っこで体育座りしている。

 奥様方も、彼女のドジっ子属性を知っているようだ。


 さて、とりあえず、さくっと作れるもので二品程作ろう。

 稗や粟、蕎麦は保存ができるだろうし後回し。

 ま、芋は使わせてもらうけど。

「こんな感じでネギを細かくしてください。こっちの大葉はこんな感じで」

 ネギと大葉はみじん切り。

 混ざらないようにネギを切る人と大葉を切る人に分ける。

 俺とエルフ二人でネギを担当。

 残りのエルフ三人で大葉を担当してもらう。

 100人分となれば結構な量だ。

「芋洗ったよー!」

 エルフの子供たちが洗った芋を持ってきてくれる。

 これもすごい量だ。

 けど、これだけあればメインの肉料理の副菜兼炭水化物の補給としては十分。

 俺は手元でジャガイモを賽の目状に切っていく。

「じゃぁ、すいませんが皆さんはこの芋をこんな感じに四角く切ってください。切ったらしばらく水につけておいてください」

「わかりました」

 ジャガイモが切られていく間に。

 俺は塩とネギを混ぜ合わせる。

 これがメイン用の重要素材となる。が、やはり150人を超えるような量はとんでもない。

 さて、ここからは力仕事の時間だ。

「男衆!集合!」

 俺の号令でわさわさと男たちが集まってくる。

「まずこのポメロ・ロワイヤルを絞ります!力いっぱいやらなくていいので軽く絞って中のポメロの果肉と果汁を分けてください!手の空いた人はニンニクを潰して、生姜を刻んでください!」

 そう指示を出す。これまたすごい量。

 ネギ塩を俺の手持ちのワインビネガーや酢、先ほど作ったニンニク、ショウガ、ポメロの果汁で味を整える。


 よし!ここまで来たら後は焼いていくだけだな。


 次はジェノベーゼソース風ジャガイモ炒めだ。

 男衆にはそのままチーズを削ってもらう。

 ちなみにチーズを削る道具はあるらしい。

 って事は粉チーズはあるんだろうな。

 ともかく、これも力仕事。

 男衆には申し訳ないが引き続き力仕事だ。


 フライパン、というか中華鍋のようにでっかい鍋があったのでそれを使わせてもらう。

 オークの切り身から切り出した脂を入れて溶かす。

 そこにニンニクを入れて軽く香りが出るまで炒める。

 香りが出たら芋を入れ、火が通るまでこれまた炒める。

 火が通ったら、大葉、粉チーズ、ごまを入れてさらに炒める。

 ごまの香ばしい香りが出てきたら完成だ。

 ジェノベーゼソース風ジャガイモ炒め。

 パセリの代わりに大葉、ナッツの代わりにゴマを使っているのでジェノベーゼならぬジェノジャポネーゼかもしれんが。


 ともかく、続けて主菜の作成だ。

 ネギ塩とポメロ果汁で作ったネギ塩ダレと肉を合わせるのだが、いまジェノベーゼソース風ジャガイモ炒めを作っているコンロを除くと、大き目の岩を繋げただけのキャンプ感あふれるコンロしかない。

 網焼きと行きたいが、ここは鉄板で。

 まずは温めた鉄板にオークのロース肉を乗せる。

 そこにネギ塩ポメロソースを乗せる。

 片面が焼けたらサッと取り出していくため、肉はそこまで厚くない方が良い。

 全ての肉を焼いたらそれで終わりだがいかんせん数があるので各家庭から皿を持参してもらった。

 皿に副菜のジェノベーゼソース風ジャガイモ炒めを盛っておいて、焼けた端からロース肉を乗せていく。


 オークロース肉のネギ塩ポメロ焼き。完成だ。




「さぁ!出来上がったぞ!腹の空いているヤツから皿を持ってこい!」

 俺はそう高らかに完成を宣言したのだった。


ポメロ・ロワイヤル

すごく大きいグレープフルーツみたいな果物

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