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今日は一話だけのアップとなります。

明日二話あげます。


その後の対応は早かった。

ウォルターは一刻も早くオーロラとの結婚式を挙げたいからと、寝る間も惜しんで裁判に挑んだ。

オーロラも王宮に詰め、セシル王妃とともに裁判業務を手伝った。


奴隷オークションに関わっていた貴族はオズワルド派のものたちばかりで、そこで得た収益はかなりのものだったようだ。

その収益はオズワルド公爵がため込み、王家転覆を狙っていたようだ。

実際その額は相当なものでソードノーズ王家の財産にかなり迫っていた。


ユングの実の毒で国王、王妃、王太子を殺害し、自分たちが実権を握ろうと考えていたらしい。

とんでもない公爵家だ。


公爵家の領地を入念に調べたところ、民は高額の税をかけられ、困窮していた。

ソードノーズ王国の法律で領地は領主に百パーセント依存するものと決まっているため王家は今まで放置してたのだ。

ウォルターは今回の事件を受けて、領地に毎年報告書提出の義務を課し、視察員を派遣することに決めた。

近々、法律として施行されることになっている。


裁判にはオーロラも出席したが、あの柔和な公爵が狂ったように叫んでいる様はゾッとした。


「お前たちの好きにさせるものか。ソードノーズはわたしのものだ!」


目は血走っており、悪魔に取りつかれているようだった。

オズワルド派の下流貴族たちは始終うなだれたままで、裁判の結果を何も言わず受け入れていた。

自分たちがやったことをわかっているようだった。


結局、オズワルド公爵家はじめオズワルド派の今回の奴隷オークション事件、ならびにユングの実による王妃殺害未遂事件に関わった者たちは

爵位剥奪、家門断絶の上、島流しの刑と相成った。


ハートリー伯爵家については、国を守るための兵士に血水症菌の入った水を飲ませたことは明白なため、目には目をということで、

血水症菌の入った水を飲まされてから島流しされるという二重苦を与えられることになった。


生きたまま島にたどり着けるかどうかは誰もわからない。


最も大変だったのがユリア王妃とグラント王子の裁判だ。

彼らは王族であり、言ってみればソードノーズ王家の恥となる。


中途半端な罰では世間を納得させることは難しい。

実際、今回の事件に関わっていなかった貴族たちは不満を口々に漏らしていた。

ミシェルの報告では、クロドの街からオズワルド派のものたちが排除され、国の官僚たちが派遣され整備されていっているが、

皆不満を口にしているということだ。

このまま、罰に処するだけでは納得しないだろう。


ウォルターは国王と協議し、最も重い罰を二人に課した。


王宮の北にそびえる北塔と呼ばれる恐ろしい場所への生涯にわたる幽閉である。

王家の罪人を閉じ込めるために作られた塔で魔道具で制御されており、そこから出ることは不可能である。


この後に及んでも裁判の最中ですら悪態をつき続けていたグラント王子だったが、その塔で今後死ぬまで閉じ込められなければならない。

食事は必要なものしか与えられず、衣服は一週間に一度の洗濯のみ。

そんな中正常な精神を保てるかどうか。

今までその塔から出てきた者はいないという。


最も重い罰を受けた王家の罪人に世間が納得したかどうかはわからない。

ただ、ウォルターは没収したオズワルド公爵領以下、オズワルド派のものたちの領地を、公平に他の貴族たちに割り振る計画を立てている。

中には豊富な資源や豊かな土地、そして都心部とつながるよい立地条件の場所もあり、これからソードノーズの不満をなくしていくためにもここからがウォルターの腕の見せ所である。


そして、ノエルは……。


大聖女と偽り、将来の王太子妃を凌辱させようとした最も重い罪を背負うこととなった。


精霊を失った彼女を裁判の場で見たオーロラは絶句した。

あまりに変わり果てた老婆のような姿だったからだ。


ピンク色の髪は灰色となり肌のツヤはなくなり像のようにしわしわでかつての美貌は跡形もない。

ウォルターもとなりで絶句しているのがわかった。


精霊を失った魔術師の成れの果ての怖さだ。


同じ魔力を持つものとしてぞっとしてしまう。


「彼女は間違った。修道院送りになるだろう」


隣でウォルターがつぶやいた。


そしてそのとおり、裁判長はノエルに北西部にある山岳地帯の雪深い山の奥の修道院に送られることを告げた。

死ぬことも許さない。生を終えるまでそこで働き続けるしかないという罪。

とてもつらい罪だが、ノエルはそれほどのことをやった。


ノエルは罪を受け入れ、裁判室から出る時、オーロラを見た。

その眼には生気もなく、そして殺意もなかった。


最後にノエルはウォルターに視線を向けていた。

その瞳にももう生気はなかった。


彼女は自分の運命を受け入れたのだろう。


こうして一連の事件における裁判は終わりを告げた。

後腐れのよいものではなかったが、これでソードノーズの膿は取り除いた。


さぁ、結婚式である。

お読みいただきありがとうございます。

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