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そこへ兵士がやってきた。
「殿下。グラント王子殿下がお呼びになっておられますが」
「そうか。行く」
「殿下。わたしも行きます」
「なぜだ」
眉根を寄せるが、助けないわけにはいかない。
人の命は誰も同じだ。
「わたしはひとりでも多く救いたいのです」
「あいつは闇魔術だと言ったんだよ」
「それでもです」
「わかった。じゃぁ一緒に行こう」
がらんと大きなテントの中でひとりグラント王子はのたうち回っていた。おなかが痛いようだ。
まだ初期段階である。そこまで衰弱していない。
「おい。お前は王太子だろう。なんとかしてくれ」
「……」
「ノエルは使い物にならい。くそっ!あの嘘つき女が。何が大聖女だ」
ノエルが隅の方でうつむいて立っている。
「あー、痛い」
「グラント王子。手を」
オーロラが近づいた。
「お、お前は」
びくっと手を引っ込める。
「闇魔術師が俺を殺そうとしているのか。俺は王子だぞ!仮にもお前と婚約する予定だったんだからな」
「はやく手を」
「ああ、だが婚約しなくてよかったよ。闇魔術師だったとはな。お前は外れくじをひいたのさ」
わいわいうるさいので、強引にオーロラは手をとった。
腸の中に大量にいる血水症菌を駆除していく。
まだまだ元気な血水症菌だ。
よし。
すべて駆除した。
「終わりました」
「え?」
楽になったのだろう。
出ていた汗が引いてきている。
「お前がやったのか」
「はい」
「お前は闇魔術師ではないのか?」
「黒魔術師です」
「それがどうして?」
「秘密です。あなたに説明してわかるわけありませんわ」
「なっ!」
「とにかくもう治りましたから、とっとと国境を封鎖してください!」
オーロラはそれだけ言うとテントを出た。
「失礼します」
そんなオーロラをノエルが歯ぎしりしながら見ていた。
「許さない。あなたになんか絶対渡さない」




