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「ねぇ。ケイト。こんなにしてもらっていいのかしら?」


結局侍女四人にお風呂に入れてもらっている。

公爵家でもお風呂には入るが、侍女はひとりだ。

こんな人数に洗ってもらうと逆にこっぱずかしくなる。


「はい。問題ございません」


「将来の王太子妃様です。これくらい当然ですわ」


ケイトは静かにしているが他の三人がきゃぴきゃぴと騒ぐ。ざ、女子のような侍女たちだ。


「それにしてもなんと美しいお肌でしょう。きめ細やかで、そしてこのたわわな胸ととても細い腰。すばらしいですわ」


「王太子殿下が夢中になられるのもわかりますわ」


夢中?

そんなことあるわけないじゃない。


「大袈裟よ。小さいころから婚約者だったのだから、それだけのことよ」


ノエルが現れたらウォルターはノエルを愛するのだから。

オーロラはただ都合のいい婚約者にすぎない。


「まぁ御謙遜を」


そんな会話をしながらゆったりとお風呂に入り、結局懐かしい王太子妃の部屋で眠ることになった。あまりいい思い出はない部屋だ。

ひとりになってベッドに入るとこの部屋を出奔したのが昨日のことのように思えた。


「クティいる?」


「はーい」


「よかった。王宮でも出てこれるのね」


「うん。特に排除魔術かかってるわけでもないみたいだしね」


クティはまた一段と白っぽくなってきた。グレーが銀に近くなっている。

だけどもふもふには変わりない。


枕もとに出てきたクティにもふっと顔を埋める。


「オーロラ。今日とってもいいにおいだね」


「王宮のシャンプーはすごくいい匂いなのよ」


久しぶりにリラックスできて眠気が襲ってきている。



「ねぇクティ。どうしよう」


「うん?」


「ウォルター殿下がやさしいの」


「うん。そうみたいだね」


「それでカッコいいの」


「うん」


「好きになっちゃいそうなの」


「オーロラ……」


「好きになってもいいと思う?あとで愛を失った時に絶望しないかな」


クティが答える間もなくオーロラは深い眠りに落ちていた。


「僕は人間の機微な感情はわからないけど、でもウォルター殿下がオーロラを好きってことはわかるんだよね、さすがに。自信もったらいいのに」


クティはしっぽでオーロラの頭をふわっとなでるとそのままオーロラの隣で朝まで一緒に眠った。


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