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移動する遺失物P⑥店主の魔法(物理)教室

しばらく歩くとまた大きな穴が現れた。ここからまた下の階に行くようだ。

先ほどと同じ要領で降りると、また魔物が現れる。魔物出現のタイミングに法則があるとわかりやすくていい。

まだまだ低層。魔物も強くないため簡単に倒してしまう。


「店主さんって、本当にすごいんすね。魔法も何種類使えるんすか。水と火と、あと風? 普通は一つの属性だけなのに、さすがっす」


懐いて横を歩くエッジが店主を褒めまくる。だが店主はきょとんとして首を傾げた。


「確かにいくつかの魔法は使えますけど、今日使っていたのはすべて風魔法ですよ?」

「え?」


それには僕たち全員が驚いて店主を振り返った。


「えっと、だって、スライム倒した時水出してたし」

「ええ、あれは風魔法です」

「え? じゃあキラービーを燃やした炎攻撃は?」

「あれも風魔法です」


エッジが混乱して頭を抱える。その上に?マークが浮かんでいるのがわかる。


僕も同じくよく理解できていない。


店主は全ての属性魔法と、封印魔法や状態変化の魔法などいろいろな魔法が使えるのだと勝手に思い込んでいた。

いや、実際使えるのかもしれないが、一緒にダンジョンに行った時に店主が繰り出す炎や水、氷魔法の攻撃を何の疑いもなくそれぞれの属性魔法だと思い込んでいた。


ジェイドも同じなのか、信じられないものを見るような目で店主を見ている。


「風魔法って便利なんですよ。風を操ることは空気を操ることと同じです。局所的に空気を圧縮することで熱を発生させることができますし、その逆で膨張させれば温度を冷やすことができます。その断熱変化を利用すれば、炎や氷を生み出すことができるんです。空気中の水分だけを分離させて取り出すこともできますし」

「サーセン、俺、30文字以上の言葉は理解できないんす」

「もう一回説明しましょうか?」

「多分100回聞いても無理なんでいいです」


なんだかよくわからないが、炎や氷が風魔法を使っているのはわかった。


でも一つわからないことがある。

店主が時々、手から何か石みたいなものを飛ばすことがある。

『時の牢獄』でその石を頭にぶつけられたことだってある。

いまも魔法が効きにくい魔物を倒す時に使っていた。

僕は足元に散らばるその石を拾い上げた。


「じゃあこれは? これは流石に風魔法じゃないよね?」


店主はにっこりと微笑んだ。


「それも風魔法です」

「なんで! なんで風魔法から石が出てくるの⁉︎」

「それも原理は簡単なんですが、空気の中にはいろいろな成分が含まれているんです。その中の炭素という成分に圧力を強くかけると、こんな石ができるんですよ。多分聞いたことあると思うんですが、その石はダイヤモンドと呼ばれています」

「はあ⁉︎」


ジェイドが大声を上げた。


「お前魔物にダイヤ投げてたのかよ!」


エッジが弾かれたように地面に這いつくばり、小石を集めはじめる。


「ですが、あまりに小さくて加工もできないので、価値はありませんよ」

「なんだぁ」


あからさまにエッジががっかりする。駆け出しの冒険者はお金に苦労するというが、彼もおそらくそうなのだろう。


「もしかして、他の魔法使いもダイヤ作れたりするんすか」

「どうでしょう? でも、原理さえわかれば難しくはないと思います」

「いや出来ねーよ!」


隣で聞いていたジェイドが思わずつっこむ。


「あのな、風魔法使いは普通、風を操って物を飛ばしたり浮かしたりするもんなんだよ。火とか氷とかダイヤなんかは作んねえの!」


それに店主が「そうなんですか」と首を傾げる。


「逆になんでみんな当たり前にできると思ってんだよ。それじゃ他の属性魔法必要ないじゃねぇか」

「なるほど」

「やっぱすごいっすね、店主さん! なんで冒険者にならないんすか。店主さんなら即Sランクっすよ」

「買い被りすぎですよ」


店主は笑いながら否定する。

だがジェイドが以前言っていたように、店主がそこら辺の冒険者よりずっと強いことは事実だ。


しばらく進むと中層についた。


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