武器装備室にて・後編
ルチルは隣の部屋でぐっすりと眠っているようだ。何も物音がしてこない。いや、正確に言えば、眠ったのではなく眠らせたのだ。
アン
「朝っぱらから一仕事してきたけど、ちょっと調子が悪くてね。」
そう言いながら、アンは男に拳銃3丁を差し出す。見た瞬間に、男は吹き出した。
「今時珍しいぞ、リボルバーって。」
男はアンが持っていた銃を手に取った。
アン
「気に入ってるんだがな、もうダメか。」
「うーん」
男は手に取った銃を、まじまじと眺める。
「厳しいな。俺なら替える。来い。」
男は銃を持ったまま、その場にしゃがんだ。そのまま床のえんじ色のカーペットをペロリと引っぺがした。
そこは扉になっていた。男は履いている紺のカーゴパンツのポケットから、鍵を取り出した。
ギシギシと軋みながら、男は床の扉を開ける。中から、梯子が見えた。
男は先に床に潜った。男の様子を伺いながら、アンも梯子に小さい足をかけた。
少しづつ、トントンと華奢な梯子に順に足を置いていく。男はもう、降り切って地下にいた。ツンと鼻腔をつく化学物質の匂いがする。こここそ、男の仕事場だった。
アン
「まー、よくもこんなに運べるもんだな。」
男が電気をつけたようだが、辺りは少し薄暗かった。アンは集まった武器の山を見て、つぶやいた。
男
「ハンドガンか?」
アン
「うーん」
アンは歩き出した男の後ろを、チョコチョコとついて行った。ここにいても飽きなさそうだな。アンは武器を眺めつつ、目で男を追う。
アン
「小振りならいいのだが」
「お前じゃ反動が少ない方がいいだろ。あとは殺傷能力か?」
アン
「特に好みはないんだよな。殺傷能力は、欲しい。」
男はピタリと足を止めて、とある棚にある銃に手をかけた。
アン
「ウージーだ。こんなのあるんだ。イスラエルのだろ?」
「ビンゴ。」
男はとある黒光りする銃を、アンに差し出した。
「イスラエルIMI社のだ。これだと部類は機関銃だけどな。殺傷能力は文句なしだ。これだと小さいから楽だろう。ま、アンデシンさんのこっちゃー、盛大に買うだろ?」
アン
「人をカモ呼ばわりするな。そうだけどな、実際は。」
アンは、少しだけ苦笑いをした。
散々部屋を舐めるように見た後、2人は上のホテルの客室へと戻ってきた。すでに売約済みのようだ、アンはゴソゴソと金を取り出す。
アン
「足りるか、これで。」
アンは手のひらいっぱいに札束を抱えて、ボンとテーブルに置いた。
「足りるどころか多い。」
アン
「メンテ含めりゃ超えるだろ。」
「いーわそんなの。いつでもやるよ。」
男は札束を掴み、ペラペラと数え始めた。
「…あと。」
アン
「?」
男は札束を数える指を止め、アンを眺めた。
「あれもな。」
アン
「はいはい、わーってますよ。」
男の様子を見てアンは、着ていた服を脱ぎ始めた。




