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どこかの街の片隅で

アンがバタバタと尖沙西医院へと駆けつけていたとき。


とある街のビルの中では、パソコン画面を中心に話し合いが進められていた。


男その1

「いーのかよ、1人死んじまったぞ?」


どうやらどこかの事務所のようだ。デスクにパソコンのある、ごく小さなオフィスのようなところに、2人の男がいた。


まだ30代だろう。マフィアのような厳つさはないが、サラリーマンほど健全ではない、謎の男たちだった。


タバコの煙を吹かしながら外を眺め、男はもう1人の男に話しかける。もう1人の男も、タバコを吹かしながら隣に立ち、パソコン画面とにらめっこしていた。


男その2

「あいつぁもういい。てか俺らが欲しいのはエスパーだ。やっぱりあの夫婦以外は出てこないのか。」


そう言うとその男は、ふーっと肺の奥からへの字に曲がった口へと煙を追い出した。


男その1

「そんなの、そもそもいる訳ないだろ。エスパーなんて地球に1人いればいい。いることがおかしいものなんだから。」


男その2

「それを言っちゃあ、元も子もないだろ。」


パソコン画面を眺めていた男は、もう1人の男を軽く小突いた。


男その1

「って。しかしさ…妙じゃねーか?」


男その2

「なにが?」


パソコン画面を見ていなかった男は身を乗り出し、パソコン画面を軽く指差した。


男その1

「ここ。あの男が時間を止めていたから、このレコーダーと車はここで停まっていた。」


指差されたパソコン画面は、セキエイに追突した車にあったドライブレコーダーによるものだった。セキエイが時間を止めている間は一時停止のような状態がしばらく続いていた。セキエイが時間を止めている間は、当然ながら時計の針が動かない。


男その2

「どこが。エスパーなんだから時間を止めてるのは、あいつだろ。」


指差しをしていない男は、再び新しいタバコに火をつけてつぶやく。


男その1

「いや、だから。おかしいと思わないか。このタイミングで時間が戻るか?エスパーが止めた時間は、エスパーしか解けない。それも自分と同等または強いエスパーのみ解ける。こいつがこのタイミングで時間を戻すなんて、おかしいだろ。」


男その2

「…あー確かに…でも、車をよく見てなかったんじゃ?」


男その1

「こんなに近いのに?これで戻したら、俺を跳ねてくれって言ってるようなもんだろ。結果的に俺らには都合が良かったが、どうも第三者が時間を進めたとしか考えられない。ほら。」


パソコン画面はちょうど、セキエイが車に跳ねられた瞬間を映そうとしていた。男はモニターに指差した指でトンと、パソコンのキーボードを叩いた。


男その2

「こいつが戻したんじゃないんだろうな、確かに。メチャクチャビビってるし」


男その1

「だろ?だから、誰かが戻したんだよ。」


もう1人の男は、首をひねる。


男その2

「でも誰だよ。そんなことできる人物。嫁しか思いつかない。」


男その1

「そこが問題なんだよ。あの嫁がそんなことするとは思えねーしな。そいつを見つけ出せればこっちのもんだろ?」


と、男たちは目を合わせ、頷いた。


男その1

「この2人以外にか。ちょっくら、探してみるか。」


男はシルバーの灰皿にタバコを押し付け、カチャカチャとパソコンを操作した。


男その2

「こいつだ。これ、No.7」


もう1人の男が画面を指差し、男はスクロールしていたマウスを止めた。


No.7 Eiji Seki

Birth:1985 11 29 Sex:M

National:Japan Rank:S

Highest:6f

Weight:158ld Blood:AB

ESP: Telepathy Clairvoyance

Psychokinesis

Psychometry

Teleportation Nengraphy


男その1

「ランクSか、こいつやっぱり最強なんだ。」


男たちがハッキングして見ていたのは、ESPCこと、エスパー協会のサイトである。


エスパー協会とは全世界にごく僅かしかいないエスパーたちを登録し管理、研究する組織である。


共通言語は英語。各国の研究者や政治家などのVIPたちがエスパーを対処するために作られたものだ。


エスパーたちはここに登録しない限り、公にその力を使うことはできない。その超能力の強さ、使える技でランク付けをされる。


しかし。そんなエスパーたちの強みをいい意味でも悪い意味でも生かそうとする人が非常に多い。


いつの時代も性なのか、稀少な人々はそれ故いつも危機に晒されるのである。


そんな輩が、ここにも。


エスパーの能力は以下のように分けられる。


男その2

「こいつはなんだ?えーと、瞬間移動に念力、精神操作、透視、念写、テレパシー、か。」


男その1

「嫁は?」


男その2

「見てみるか。」


男は、マウスをクリックした。


No.9 Andesine Soyolm Sex:F

Birth:1988 01 11 Rank:A+

National:Hungary Blood:B

Highest:5f1.81inch

Weight:90.39ld

ESP: Telepathy Clairvoyance

Psychokinesis

Teleportation Psychometry

Pyrokinesis


男その2

「ランクA+。能力はテレパシー、念力、瞬間移動、透視、発火、精神操作。嫁では時間を戻すのは、出来なくはなさそうだが。」


男その1

「嫁しかいねーだろ。後の面子を見ちゃったら。…あ、それか、あいつはやっぱり存在するのか?」


男その2

「あいつって、誰だ?」


思い出したかのようにつぶやいた男の言葉を、もう1人の男は聞き逃さなかった。


男その1

「ランクSはもう1人いたんだ、そいつかもな…」






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