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第四十話 誇り

「貴方は誰だ、ですって……?」


 警戒心をあらわにしたヨハンに、ナコは面白おかしそうに訊き返す。


「そんなこと、貴方はとっくにわかっているでしょう? ヨハン・クラレンス」


 ナコは自分の前髪を軽くめくり上げ、額に埋められた月形の紋章をヨハンに見せつける。


(やはり、創世の女神の紋章――)


 『神殿』に保管されていた創世記の中に記載されていた紋章と寸分に変わらないものが、目の前にある。


 実際にこの目にするのははじめてだったが、紋章は想像していたよりもよほど美しく、そしてこちらを畏怖させるものだった。


 ヨハンは一度短く息を吐くと、事実を確認するようにナコを見すえる。


「貴方は創世の女神……、いえ、その月の紋章を額に抱いているということは、月の女神その人で間違いありませんか」


 ナコは、肯定するかわりにその小さな唇で薄く笑ってみせた。


 もともとこの世界は、世界の血脈といえる創造エネルギーを循環させることにより胎動している。それは、一般の国民には知らされていないことだけれど、この世界の有力者にとっては周知の事実だった。


 そして、そのエネルギーの補填のために定期的に勇者と魔王が生み出され、そのどちらかが犠牲になることにより世界にエネルギーが満ちるということも、有権者のみが知っている世界の理だ。


 とはいえ、この世界が創造された当初は、今のように逐一創造エネルギーの補填が必要になるほど、それが消費されてしまう仕組みだったわけではないのだという。創世の女神がそのエネルギーを維持することで、この世界は今のように勇者と魔王を使ってエネルギーを補填する必要などなく運営されていたらしいのだ。


 では、どうして今はその安定性が失われてしまったのか――。


 それは、代々『神殿』の教皇職を務めた血筋であり、ヨハンの先祖にあたる『神殿』創始者の人物が関係している。


 この世界の成り立ちは、のちに創造主と呼ばれる人物が、己の知恵をもってゼロから世界を創造し、その運用を創造主が生み出した二人の女神に委ねることで始まった。


 二人の女神は、それぞれに太陽の女神、月の女神と名づけられ、太陽の女神が世界に満ちる正の力を、月の女神が負の力を司ることで、世界の均衡を保つこととした。


 二人の優秀な女神の采配によって世界は順調に成長し、まずは動植物が繁栄し、次に高度な知恵を持つ人類が造られ、人類は街や国を形成して文化を作り上げていった。


 人類は、自分たちの生きるその時代を創世暦時代と呼び、自分たちのことを古代人と名づけ、古代人が扱う文字を古代文字と呼んだ。そうして古代人は、古代文字で言語を統制し、石板や紙に文字で記録を残すことで後世へと知識を伝達していったのだ。


 その甲斐あって、世界の産業や技術は目覚ましいほどの急成長を遂げた。


 女神たちも世界の成長を我が子のそれのように見守り、世界は、創造主と二人の女神のもと、平和的な歴史が末永く紡がれていくはずだったのだ。――けれど。


 繁栄を極めていた創世暦時代の平和は、長くは続かなかった。


 古代人たちが、自分たち人類を統制するために『神殿』と呼ばれる統治機関を創設し、その『神殿』の創始者である古代人――ヨハンの祖先にあたるイヴァン・クラレンスの起こしたとある大罪により、世界に満ちる負の力が正の力を大幅に上回る状況を招いてしまったのだ。


 それを原因として、世界の均衡が崩れ、世界中が天災に見舞われるような危機的状況に陥ってしまった。


 もはや人類の手で解決できる次元を超え、世界の滅亡を予感させるほど壊滅的になったとき、その一部始終を見守っていた創造主はある決断を下したのだ。


 ――この混乱を収めるためには、負の力を司る月の女神の力を減退させるしかない。月の女神を封印するしかない、と。


 創造主にとって、自分の愛娘のように思っていた二人の創世の女神の一人を、人類の身勝手な行いのために封印しなければならないことは苦渋の決断だった。けれど、創造主は、女神よりも自分の生み出したこの世界を守ることを優先したのだ。


 創造主と太陽の女神が協力し、負の力の急激な増大により意識が混乱し、半狂乱になっている月の女神を取り押さえ、その肉体と魂を世界の深層部へと眠りにつかせた。


 そうして太陽の女神だけがこの世界に残り、今度は太陽の女神だけの力で、半壊してしまった世界を立て直すことにしたのだ。


 けれど、もともと二人の女神で補っていたものを一人で行うことは容易ではなかった。月の女神の力が失われたため、世界を循環していた創造エネルギーを維持することができなくなったのだ。


 そのため太陽の女神は、この世界に創造エネルギーを補填するため勇者と魔王を生み出し、彼らの命の犠牲をとおしてエネルギーを補填することとした。


 それが、創世の女神と勇者と魔王の関係の始まりなのである。


 そして、創世記には今申し述べた創世暦時代の過程が描かれているため、『神殿』は自分たちの創始者が世界を滅亡に追い込むような大罪を起こしたことを隠すことを目的に、創世記を自分たちの手元に保管して他国の目に触れないようにしているのだ。


(僕が知っている事実は、ここまで……)


 ヨハンは、記憶をまさぐって創世記に描かれていた世界の歴史を思い出す。


 自分が知っているこの内容が正しいならば、月の女神は肉体と魂を世界の深層部に封印され、実質この世には存在しないはずなのだ。


 それなのに、目の前でナコの身体を乗っ取る形で月の女神が存在している。


 これは一体、どういうことなのだろう。


 ヨハンは鋭く視線を上げ、ナコを睨みつける。


「一つ、教えてください。月の女神、貴方は創世暦時代に、この世界の混乱を鎮めるために創造主と太陽の女神によって封印されたはずです。それなのに、なぜ今になってナコの身体を借りる形でこの世界に存在しているのですか。封印が解けたとでもいうのですか」


「……よく、そこまでの事情を知っているわね。封印が解けた、そうね、大雑把に言うとそうかしら。そして、すでに肉体は滅びているから新しい依り代が欲しかったの。だから、今回太陽の女神の手で異世界から召喚される二人の姉妹に、事前にわたしの魔力を送り込んで、わたしが憑依しやすい体質になってもらったのよ。姉はわたしの波長を受け付けなくて憑依は無理だったけれど、その代わり、妹とはぴったりなほど波長が合ったから、こうして彼女の身体を借りているの」


 ヨハンは眉をひそめる。


「事前に? ということは、貴方は以前からアキとナコが片腕としてこの世界に召喚されるとわかっていたということですか」


「ええ、彼女たちが生まれた当初からわかっていたわよ。片腕というものは、この世界に勇者と魔王が誕生した後、それに近い時期に生まれてくる命から選出されるものだから」


 ヨハンは頭を抱える。


 なんらかの理由で、今まで封印されていた月の女神が復活したことはわかった。


 そして、なぜ月の女神がナコに憑依しているのかもわかった。


 では、月の女神は何を目的に復活を遂げたのだろう。


「月の女神、貴方の目的を教えてください。ナコの身体を操って、貴方は一体何をしたいのですか。貴方が太陽の女神と協力すれば、創世暦時代のように創造エネルギーの維持が可能になって、勇者と魔王を定期的に生み出さなくても済むのではありませんか」


 世界はまた、以前の安定した周期を取り戻すのではないだろうか。


 ヨハンの切な願いに、ナコは首を横に振って答える。


「ヨハン、わたしは、あの人――創造主様が愛したこの世界を、こんな不安定な姿で生かしたくはないの。わたしたち女神が創造エネルギーを与えなければ保つことのできないこんな出来損ないの世界など、あの人の思い描いた理想郷ではないのだから。だからわたしは、この手でこの世界を終わらせたいのよ。そのためには、この世界を生かすために造られた今代の勇者と魔王を滅ぼす必要がある。創造エネルギーの注入さえできなければ、この世界など放っておいても崩壊していくのだから」


「なにを、馬鹿なことを……」


 創世の女神とは、この世界を守るために存在しているのではなかったのか。女神自身が世界の崩壊を望んでいるなど聞いたこともない。


 太陽の女神はこの世界の存続を願って勇者と魔王を造り出すが、いま目の前にいる月の女神はそれとは反対に、世界の崩壊を願って勇者と魔王の存在を消そうとしているというのか。


(二人の女神の意見が相違しているということ――?)


 もはや自分の関与できる領域を超えている。月の女神に問い質したところで答えが返ってくるかどうか。だとしたら、もっと単純なところで物事を考えるべきだ。


 月の女神は、勇者と魔王の命を狙っている。それは、自分の大切な仲間であるエリアスと、自分が好意を向けるナコの大切な人――魔王に危害を加えようとしているということだ。


 エリアス、魔王、そして月の女神に身体を奪われているナコ。三人を守るために、自分はここで月の女神を食い止めるべきなのだ。


 ――たとえ勝ち目などなくても、戦うしかない。


 ヨハンは一度大きく息を吐き出すと、両手で杖を持ち、眼前にそれを突き立てた。ナコが冷たく目を細める。


「貴方が素直に勇者の居場所を教えて退くなら、ここで貴方に危害を加えるつもりはなかったのだけれど――。そういうわけにはいかないようね」


「……貴方の事情は複雑的で、一介の人間である僕が理解できるものではありませんが……。ただ、貴方が僕の大事な人たちを傷つけようとしていることはわかりました。ですから、ここを退くわけにはいきません。――それに、そもそもナコの身体を操ることができるのなら、なぜさっさと表に出て来なかったのですか。貴方の目的がエリアスと魔王の命を奪うことだとすれば、いつだってその機会はあったはずでしょう」


 ナコの姿を借りれば、魔王の傍にいる機会もエリアスの傍にいる機会も充分にあったはずだ。なぜこんなに手こずっているのだ。


 ナコは自分の左手を前に突き出し、薬指にはめられた赤い宝石の指輪をヨハンに見せつけた。


 血のような色をしたそれにヨハンは眉根を寄せる。


(その指輪は――)


 ナコが出会った当初から身に付けている指輪だ。おそらく魔王にもらった物だろう。


 ナコは忌々しそうにその指輪を睨みつける。


「……わたしが表に出て来られなかった理由。それは、魔王が小娘にくれたこの魔法道具のせいよ。この指輪には、わたしの人格を抑えつける力を持った魔王の魔力が込められているの。けれど、魔王から一定距離を離れると効果が及ばなくなるわ。だからこうして一時的に人格を表に出すことができたのよ。――今頃魔王は、この小娘がわたしに操作されていることに勘づいて動き始めているんじゃないかしら」


「……なるほど、ただの指輪ではなかったわけですね」


 魔王は、魔法道具の指輪を使い、ナコを月の女神の人格から守ろうとしていたのか。それは、魔王ならば月の女神に対抗しうる力を持っているということなのだろう。


 とすれば、自分は魔王がナコの異変に気付いてここに駆けつけるまで時間を稼げればいいのだ。ごく普通の人間である自分には、月の女神に一矢を報いるような力などないのだから。


(だとしても……)


 ヨハンの頬を冷や汗が伝う。


 さきほどレオと一緒に転移魔法用の魔力を溜めたおかげで、自分の中の魔力はほぼすっからかんだ。月の女神を相手に時間が稼げるほど、今の自分に余力があるとは思えない。――ならば。


(あれを使うしか、ないですね)


 ヨハンはおもむろに十字架の杖を振り上げると、それを一度力強く地に突いた。かん、と甲高い音が部屋を震わせる。


 ナコが訝しげに首をかしげた。


「いったいなにをする気?」


「少しでも貴方の力に対抗するため、僕も奥の手を出します。貴方ならご存知のはずですよ」


 ヨハンは片手で杖を支え、空いているほうの手を伸ばし、その指先で杖の先端部に触れた。そっと、祈るように両目を閉じる。


「――創世の女神よ。黄金の鞘を解き放ちたまえ」


 呟くように言い終えると、ぴしり、とヨハンの杖全体が蜘蛛の巣を張ったようにひび割れた。それを合図に、ひび割れた箇所から青白い光が漏れ、放射状に勢いよく放たれる。


 そのひびはやがて杖全体の表層におよび、それが粉々に砕け散ったと同時に、殻を破るようにして一振りの長槍が姿を現した。


 槍の穂の部分は大振りで、穂を支える口金は鳥がはばたくような美しい形をしている。ヨハンの背丈の倍以上もあるしなやかな刀身だ。


 ナコは一瞬目を見開いたあと、納得したように指先を唇にあてた。


「――なるほど、聖槍ね。勇者の聖剣と並ぶ聖遺物の一つ。貴方が隠し持っていたのね」


「ええ。この聖槍は、『神殿』創始者であるイヴァン・クラレンスが創世の女神……貴方たちより与えられた武具です。僕は彼の末裔ですから、彼の聖遺物もまた受け継いでいます」


 ヨハンは、聖槍を一度回転させるように振り回し、再度地面に突き立てた。


 聖遺物とは、創世暦時代に創世の女神の血に触れて生み出されたとされる、この世界に存在する武器の中でも神器にあたるものである。月の女神が言っていたように、エリアスの持っている聖剣もその聖遺物の一つだ。


 聖遺物は、通常の武器とは違い、使用する者の魔力や攻撃力を驚異的なほどに引き上げる力がある。けれど、そのぶん使用者への負担が大きく、威力の高い魔法を放てる反面、魔力を根こそぎ持っていかれてしまう。


 聖遺物を扱える者もエリアスや魔王といった女神に所縁のある者か、もしくは自分のように創世暦時代に女神から聖遺物を授かった者の末裔に限られる。この聖槍は、代々自分の家に受け継がれてきたものなのだ。


(ただでさえ魔力の消耗が激しい聖槍を、今のわずかな魔力しか残っていない状況で使うことになるとは……)


 聖槍の力に頼った強力な魔法は、放てても二度、もしくは三度が限度だろう。


 ヨハンは槍の柄を握りしめる。


(けれど、これを使わないことには女神に対抗などできないでしょうから……)


 これから創世の女神と戦おうというのだ。


 勝機などもとよりないが、聖遺物で戦えば時間くらいは稼げるかもしれない。


(戦況は厳しいですが、魔王が来るまで持ちこたえるしかないですね……!)


 ヨハンは強い覚悟を示すようにおもてを上げる。


「――月の女神。イヴァン・クラレンスの末裔として、そして勇者の仲間の一員として、ここで貴方を食い止めてみせます。そして、ナコをこちらに返していただきます」


「そう。勇敢だけれど、自ら命を捨てるような真似をするなんて愚かなことね。どこまでもつかしら」


 くすくすと笑うナコを尻目に、ヨハンは祭服の裏に腕を差し入れ、そこから数枚の金属製の札を指に挟んで取り出した。それを素早く前方に放つ。部屋の四隅に、それが順々に突き刺さった。カカッ、と涼やかな音が鳴る。


 間髪入れずに、ヨハンは聖槍を両手で支え、詠唱を始めた。


「――創世の女神よ、我らを包み守り賜え」


 槍の穂先が淡く光で縁どられ、四隅に放った札もまた共鳴するように輝いた。途端、硝子が張り巡らされるようにして札同士を繋ぐ四角い結界が展開される。


(う、わ……)


 体が石を背負ったかのようにずしりと重くなり、ヨハンは思わず前方によろめいた。聖槍を杖代わりにして、前のめりに倒れようとする体を支える。


(これは、予想以上に身体への負担が大きいですね……)


 うつむいた自分の頬から、ぼたぼたぼたと落ちた汗が床に複数の沁みを作る。


 ナコは、感心したようにちらりと周囲を見渡した。


「なるほど。部屋に結界を張って、戦闘の被害を最小限に抑えようというわけね」


「そういうことです。貴方の力を受ければ、町など簡単に吹き飛んでしまいますから」


(これで、一回……)


 ヨハンは聖槍におでこをつけて、乱れた息を整える。


 この宿屋の一室以外には戦いの被害を出さないために、自分たちのいる空間を切り取るような作用のある結界を張りめぐらせた。聖槍を通してでなければ発動不可能なほどの高度な結界魔法だ。


(……けれど、一回唱えただけで、この負担ですか……)


 ヨハンは、歯を食いしばって前方のナコを見すえる。


 聖槍を通した魔法は、一度唱えただけで眩暈を起こすほどの負荷がかかる。無理に使用すれば命に関わるかもしれない。けれど、出し惜しみしている状況ではないのだ。


 ナコは、無慈悲にも見える恍惚なほほ笑みを浮かべ、すっと両腕を広げた。彼女の栗色の髪が風をはらんで舞い、身体が宙へ浮き上がる。


「見事な結界だわ。さすが、イヴァン・クラレンスの才を継いでいるだけあるわね。わたしにとっては不愉快極まりないけれど」


 吐き捨てるナコに、ヨハンは不敵に唇を持ち上げる。


「……そうでしょうね。イヴァンは、貴方の人生を狂わせた大罪人だ。貴方の言う『あの人』の仇を討つためにも、イヴァンの血族である僕を許すことはできないでしょうね。――ですが、ナコの身体を操作する貴方のことを許せないのは、僕だって同じです。刺し違えてでも、ここで貴方を止めます」


「そう。潔い覚悟には敬意を払うわ。貴方に直接恨みはないけれど……――その身をもって、罪を償いなさい」


 今までこちらを憐れむようにほほ笑んでいたナコから、すっと表情が消え失せる。


 畏敬の存在を前に、ヨハンは体を強張らせた。


 ――背中が冷たい。


 ヨハンは恐怖で震える腕を叱咤するように力を込める。


 勝てないことなどわかっていた。もしかしたら、ここで命を失うかもしれないことも。


(けれど……)


 ヨハンは強い意志をもって前を見つめる。エリアス、アキ、レオの表情が頭をよぎった。


 きっと彼らなら、勝てない相手だとわかっていたとしても、怯まずに立ち向かっていくのだろう。仲間を助けるために、全力を尽くすのだろう。


 自分も、勇者一行の仲間として彼らに恥じない戦いをしたかった。


 彼らに秘密事をして嘘を吐くことしかできない自分が、彼らの仲間だなんておこがましいのかもしれない。


 けれど本当は、ずっと憧れていたのだ。


 お互いを信頼し合うエリアスたちの、強さと優しさに。


(こんな僕でも、彼らの輝きに近づけるでしょうか)


 いつか本当に、彼らの仲間になることができたら――。


 ヨハンは確かな意思を秘めてナコを見すえ、両腕に力を込めて聖槍の柄を握りしめた。


 集中するように目を閉じ、自分のありったけの魔力を槍に込めるように念じる。


 ここ一番の大勝負。エリアスたちがここに戻って来た時に、ナコと一緒に彼らを出迎えるためにも――。


「ここで負けるわけには、行きませんから……!」


 ヨハンの魔力をはらんで銀に光る聖槍の切っ先を、ナコに向かって振り下ろす。


 ――エリアス、アキ、レオ……! どうか僕に、力を貸してください!

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