第四十一話 一難去って……?
「ミーナ、そっち行ったぞ!」
「わかったわ!」
背中合わせで指示を飛ばすレオに答えて、ミーナは腰を低く落として前方の魔物を睨みつける。
目の前には、粘質系の魔物であるスライムが十体ほど。
こいつらって集団で出てくるから気色悪いのよねぇ、とミーナは眉をひそめつつ、スライムが飛ばしてきた粘着物質を軽やかに短剣で叩き切る。
真っ二つに割れた粘液は、じゅう、というぞっとするような音を立てて石畳の床を溶かした。
それを横目に見て、ミーナは青くなってすくみあがる。
(強い酸性を持つ粘液……! あんなの、当たったらひとたまりもないわね!)
自分がまとっている防具など、簡単に溶かされてしまいそうだ。
ミーナは、顏は前方のスライムに向けたまま、視線だけを後方に滑らせる。
自分とは真逆の位置にある出入口付近で、ちょうどルイスが月系魔法を放ち、その効果で混乱をもよおしたスライムが自ら側溝に落ちていくのが目に入った。
ぽろぽろぽろと、スライムが独りでに穴に落ちていく姿はどこか滑稽だ。おそらく、スライムの神経系統にダメージを与える魔法なのだろう。
(へえ、吟遊詩人の魔法って多種多様よねぇ)
ルイスが唱えているのは、直接魔物の身体に魔法攻撃を加えるものではなく、魔物の精神面に干渉する魔法なのだろう。
魔物に状態異常を起こすことを主とした吟遊詩人の魔法は、たとえば手強い魔物に挑むときに、彼らの魔法で魔物の精神面を錯乱させ、その隙を突いて他の打撃系のメンバーで一気に攻撃を叩き込んで倒す、といった戦法をとるときに非常に効果を発揮するのだ。
吟遊詩人はそういった繊細な効力のある魔法を覚えなければならないため、おそらくルイス本人も相当な修練を積んできたのだろう。
(……いつもふざけた態度ばっかりとってるけど、きっとルイスって努力家なのよね)
彼は、普段はわざとおどけた性格を演じているけれど、その実、裏では人一倍努力をするタイプなのだろう。でも、けっして人前では努力する姿を見せない、ある意味プライドの高い性格なのかもしれない。
そう考えると、だんだんとルイスの魅力がわかってきて、それに比例して彼が格好良く見えてきてしまうのだけれど――……。
(――って、これじゃただの彼に恋する女の子みたいじゃないっ!)
思い当たった結論に、ミーナは戦闘中にも関わらずその場で地団駄を踏む。
思い返せば、ルイスは、ミーナが落ち込んでいるときにさりげなく励ましてくれたり、ピンチのときに身を呈して庇ってくれたりと、ずいぶん自分のことを気にかけてくれている気がする。
そのたびに嬉しくてにやにやしてしまうし、できれば自分以外の人にそういうことをしないでほしいと思ってしまうのは、やはり自分が彼に惹かれ始めているからだろうか。
(い、いやいや、そんなの認めないわよ! あたしがあんなふざけたやつのこと好きになるなんて……!)
――そんなこと、ありえないんだから!
もやもやする思いを持て余していた矢先、件のルイスとばちりと目が合ってしまう。
こちらの心情などわかっていないルイスは、ミーナを見るなり、その整った顔をほころばせて声を張りあげた。
「どうしたミーナ、手が止まっているぞ! もしかして、私の華麗な魔法に目を奪われてしまったかな!」
お得意のナルシスト発言に、ミーナはがくりと前につんのめる。
かっこいいと思ったらすぐこれなんだから……!
「そんなわけないでしょっ! ぜんっぜん違うわよ!」
この自意識過剰な部分さえなければまともなのに。
ミーナとルイスのやり取りを聞いて軽く笑ったレオが、場内のスライムの数をざっと捉えてから二人を振り仰いだ。
「二人とも、そろそろ魔物の数も減ってきたから、あとは俺の魔法で一気に片付けるわ。ちっと危ねぇから下がっといてもらえるか」
言うが否や、レオは長い指先をすっと伸ばし、宙に魔法陣を描き始める。
彼がそれを始めた瞬間、周囲の空気が彼に引き寄せられるようにさざめいた。
おそらく、この場に存在する元素が彼の詠唱に応えて集まろうとしているのだろう。それだけの強い引力を、彼は持っているのだ。
(邪魔しないようにしなきゃ……!)
ミーナは、レオの集中を乱さないように黙って後方へと数歩引いて彼と距離を取る。
そうして遠くからレオの詠唱する姿を認めて、その洗練された動きにミーナは言葉を失った。まるで宙にキャンバスでもあるかのように、彼の指が正確に円をなぞっていくのだ。
描いた線が赤く光り輝いているので、きっと火系統の魔法なのだろう。スライム系の魔物の弱点をつこうとしているのだ。
けれど、この洞窟は水属性が大半を占めているから、この場で火属性の魔法を発動するのは至難の業だったはずだ。
それでもいつもと変わらない落ち着いた詠唱姿なのは、火属性の元素が少ないことなど、彼にとっては取るに足らないことだからだろうか。
躍るような優美さで詠唱を終えたレオは、光に満たされた目のくらむようなまぶしさの中で、一度右手を上に掲げた。
そうして、描いた魔法陣を掻き消すように即座に腕を真横に振る。
「スライムだったら、こいつで一撃だ。――これでも食らっとけ!」
威勢よく叫びながら、レオは振り払った手をそのまま前方のスライムへと差し向けた。
それに従うように、スライムの周囲に無数の火球が爆ぜて、耳がおかしくなりそうなほどの轟音を連発する。
(――す、すごい迫力っ!)
あまりの爆発音の連続に、ミーナは両手で耳を塞いでうずくまる。
爆発の衝撃で引きちぎられたスライムの胴体が、破片となってミーナの足元にべしゃりと落ちた。
真っ黒な消し炭になっているところを見ると、おそらく粉々に粉砕されて焼け焦げたのだろう。
そうして、まるで花火のような爆発音が収まると、しゅうっと白い煙が部屋内に立ち込めた。
だんだんとその煙が薄れてきて床が見えてくると、そこにはスライムの残骸らしき肉片が斑点のように地に残されていた。どれも乾いたゼリーのように固くなっている。
「よしよし、一丁上がり!」
レオはぱんぱんと手を叩いてから、けろっとした表情で肩を回している。
(あ、あいかわらず反則なほど強いわねぇ……)
上級に区分される魔法をばんばん放つレオの姿に度肝を抜かれそうなのだけれど、彼自身にはそれを自慢するような素振りいっさいはないのだ。
魔法使いならそれくらいできて当然、という感覚なのだろうか……。
けれど、自分は今まで何人もの『魔法使い』とパーティを組んできたけれど、レオのように上級魔法を手早く連発できる魔法使いなど見たことがなかった。
(……やっぱり彼って、他の魔法使いとは全然レベルが違うんだわ)
世間で天才魔法使いと称されているレオ・ゲインズだが、事実そうなのだろう。こうして一緒に戦えることも、とても貴重な機会なのかもしれない。
ミーナは短剣をくるりと回すと、後ろ腰のベルトに下げている鞘に収めた。
ルイスも構えていた楽器を背負い直し、中央にいるレオに歩み寄る。
「レオ、ミーナ、二人ともお疲れさまだったな。特にレオ、今回も鮮やかな手並みで、私も月系魔法の使い手として勉強させてもらっているよ」
「おう、ありがとな。俺は、ルイスの魔法だって洗練されてると思うぜ。吟遊詩人の使う月系魔法は状態異常付与系が多いから、魔法理論をきちんと理解してねぇと発動すらできずに不発に終わるって聞くからな」
「なに、私の魔法など君ほどではないさ。それでレオ、一つ訊きたいのだが、この月系魔法を発動する場合の魔法陣の描き順なんだが――」
「ああ、そこは……」
「ちょーっとちょっと待ったあ!」
さっそく魔法談義を始めようとする研究熱心な二人に、ミーナは慌てて駆け寄る。
彼らのように魔法大好き人間の二人がそろって魔法の話を始めたら、きっとキリがないに違いない。今はいっこくも早くエリアスとアキに合流しなければならないのだから、雑談している場合ではないのだ。
ミーナはレオとルイスの間に割って入って、両手を広げる。
「二人とも、そういう話はクエストが終わってから心ゆくまでやってちょうだい! ――そんなことよりも、二人とも魔力量は大丈夫なの? これから先の戦闘に備えて、魔力を温存しておいたほうがいい気がするんだけど……」
とはいっても、だんだん魔物も手強くなってきているから、なるべく戦闘回数を減らすしか魔力を温存する方法はなさそうだ。
遺跡の奥に進むにつれて魔物が確実に強くなってきているところをみると、もうすぐこの遺跡の主――いわゆるボスとの戦闘が近いということなのだろう。
けれど、自分たちはエリアスたちの足取りを追ってひたすら遺跡を奥へ奥へと突き進んでいるとはいえ、だんだんと階を下っているような気はするものの、景色は一向にかわり映えしなかった。
あいかわらず、両脇を側溝に囲まれた一本道の部屋が行けども行けども続いているのだ。
これ、本当に奥まで進めているのかしら……。
じつは同じコースを行ったり来たりしているだけなのでは、という気もして落ちつかないでいると、レオが後ろ頭を掻いた。
「まあ、そうだな。なるべく魔力をとっとかねぇと後がつらくなるからな。つっても、なかなか先が見えてこねぇし、もういっそ、俺らも潔くこの側溝に落ちてみるってもアリなんじゃねぇの――」
レオが軽く息を吐いてから、壁際にある側溝を覗き込もうと一歩足を踏み出したそのときだった。
レオのつま先が、ぽち、と何かを押したように床の一部を凹ませたのだ。
レオが、ミーナが、ルイスが、その顔を青ざめさせる。
「……ね、ねぇ、レオ?」
床を凹ませた体勢のまま石のように固まっているレオの背中に、ミーナがおそるおそる声をかける。
「今、なにか踏まなかった……?」
「……ふ、踏んだかもしれません」
「――踏んだかもしれませんじゃなくって明らかに踏んだでしょ! しかも絶対今のなにかの罠が発動したわよ!」
「そんなこと言われたって、見えなかったんだから仕方ねぇだろ!」
「もうっ、罠は普通見えなくしてあるものなのよ!」
顔を突き合わせているミーナとレオに、ルイスが手を向ける。
「二人ともじゃれ合ってる場合じゃないぞ! なにか後ろか地響きが聞こえ――」
声を張り上げるルイスの言うとおり、後方の入口から、なにか巨大なものが転がってくる低音が震動と共に伝わってきた。
まさか、とミーナたちがおそるおそる振り向くと、そこには、部屋を埋め尽くさんばかりの大岩が、一本道を器用に転がりながら大変な勢いでこちらに迫ってきていたのだ。
(――う、嘘ぉ!?)
ミーナ、レオ、ルイスは、同時にすくみあがって、大岩に背を向けて一目散に駆け出す。
「こんな古典的な罠だったとは!」
とレオが疾走しながら顔を引きつらせ、
「こういう古くからよくある罠が一番厄介と言えなくもないな!」
とルイスが同意し、
「ちょっと二人とも、のんびり会話してないで、なにかいい方法ないの!」
とミーナが悲鳴を上げる。
なにか岩の動きを止めたり破壊したりできる方法はないだろうか、とミーナは疾走しながら考えをめぐらせる。
自分のような物理攻撃では歯が立ちそうにないけれど、もしかして、魔法なら―――?
そうだ、とミーナは先頭を駆けながら手を叩く。
「レオ、魔法よ魔法っ! 得意な魔法でどーんっとあの岩壊してくれない!?」
レオの超強力な魔法でなら、あんな岩華麗に破壊できるはず!
意気込んで言えば、後方を走るレオが真っ青な表情のままぶるぶると首を振った。
「無理だ! 岩の速度が速すぎて詠唱が間に合わねぇ! 魔法を唱え終わる前にぺちゃんこに潰されちまうよ俺……!」
「ふむ、さすがにレオの早口の詠唱でも間に合わないか。――とりあえず逃げるぞ! みんな、走れ!」
ルイスのかけ声にミーナとレオがうなずき、三人は今まで以上に速度を速めて疾走する。
とりあえず出口の扉をくぐって次の部屋に滑り込めば、大岩はその入口を通れずにそこで止まるはずだ。
『盗賊』として最も敏捷度の高いミーナが先頭を走り、その次をレオが、最後尾にルイスが続く。
(ルイス、大丈夫かしら……!)
ミーナは前方の通路に魔物が出現しないか気を配りつつ、最後方を走っているであろうルイスに気を向ける。
魔法使いや吟遊詩人といった魔法系の職業は、物理攻撃職である自分に比べると運動能力が低いのだ。
知力のステータスが上がりやすいぶん、体力や素早さといった運動面のステータスは極端に上がりにくい。
日ごろから体を鍛えていそうなレオは別にしても、ルイスの体力でこの大岩の猛攻から逃げ切れるかどうか。
不安に駆られたミーナは、ルイスの状況を確認しようと少しだけ足を止めて振り返ろうとする。
その瞬間、踏み出したつま先が、さきほどレオがしたようにぽちりとなんらかのスイッチを押した。
(……え?)
なにか踏んだわよね、今。
さーっと波が引くように青くなりながら、ミーナは足を止める。
後方からミーナを追って走ってきたレオが、急に立ち止まった彼女の肩を後ろからつかんだ。
「ミーナ、どうした! 止まるな!」
「……違うのよ、レオ!」
「なにが!」
しびれを切らしたようにミーナの手を引いて走ろうとするレオに、ミーナは彼の手を両手でつかんで引っ張る。
「踏んじゃったのよ……」
「はあ?」
「あたしも今、罠を踏んじゃったのよぉ――――!」
ミーナが叫び声を上げた途端、彼女たちのいる足元の床が、観音開きの扉が開くように大きく開け放たれた。
――今度は落とし穴の罠……!?
突如眼下に広がった真っ黒な暗闇に、ミーナは絶句する。
急に地面を失って足が宙に浮く感覚。一瞬そのまま時が止まったように感じたのもつかの間、重力に従ってミーナたちは真っ逆さまに下へ向かって墜落する。
「きゃ――――――!」
「わ――――――!」
落ちる、落ちる、落ちる―――――!
地下に引きずり込まれるままに、三人の悲鳴がこだまする。
落下する自分たちの周りを、真っ暗闇の壁がすさまじい勢いで通りすぎていく。
落ちる先もまた濃い闇が広がっていて、どこまで落ちるのかわからない恐怖で全身に鳥肌が立つ。
助けを求めるように頭上を振り仰げば、今まで自分たちがいた場所を大岩が転がって通り過ぎていくところだった。
幸い、落下したおかげで岩の猛攻をかわすことができたようだ。けれど、別のピンチが訪れたことに変わりはない。
金の髪をなびかせて落ちる先を見据えていたルイスが、自分より下方にいるレオの背中に声を投げる。
「浮遊効果のある魔法があればなんとかなるか……! レオ、いけるか!」
「おう! なんとかしてみせる!」
レオは前方に片手を突き出すと、落下しながらでも乱れることなく手早く魔法陣を形成する。
途端、下から湧き上がるように突風が吹き上げ、それは全員の落下速度をゆるめて、ふわふわ、ふわふわと、三人の体を浮遊させて地階へと降ろしていく。
(も、もしかして、なんとか助かったのかしら……!)
そうしてゆったりゆったりと下へ降りるうちに、両脇を囲っていた側溝の壁面が突如として終わり、細い穴が終わって広い空間に吐き出されたように、一気に視界が開けた。
ミーナたちの眼下に、一面に青い花の咲き誇る花畑が飛び込む。
(なによ、これ―――……)
予想していなかった美しい景色の広がりに、ミーナは息を呑んだ。
遺跡の地下が、まさかこんな花畑になっていたとは……。とはいえ、きちんと手入れされた庭園というよりは、地下洞窟の中に元々あっただだっ広い野原のような印象だ。
同時に下降している両脇のレオとルイスに視線を投げると、二人とも警戒するような表情で眼下の花畑を睨み据えていた。
(……やっぱり、こんな地下に花が咲き乱れているなんて異常ってことなのかしら)
レオとルイスは自分よりも魔力を感知しやすいだろうから、この場所の異様さを自分以上に感じ取っているのかもしれない。
ふわりふわりと落下したミーナたちは、青い花を踏みしめるようにして地面へと降り立った。
手を額にかざして天井を仰げば、ずいぶん高い位置に自分たちが降りてきた側溝の出口が見える。だいぶ地階まで落ちてしまったのかもしれない。
ミーナと同じように天井を眺めていたレオが、後ろ頭を掻いた。
「こりゃ、不幸中の幸いってやつかもなあ。この異様な空間、ゴールに近づいたんじゃねぇか?」
「かもしれんな。大岩に追いかけられてさらに穴に落ちたときは、いよいよ女神に迎えられるかと思ったのだが、運は私たちを見放さなかったらしいな」
乱れた衣服を整えながら、ルイスが肩をすくめて続ける。
「それにしても、ずいぶん不気味な場所だな。遺跡の地下にこんなにも広い空間があったとは……」
「いかにもクエストの最深部って感じだよな。つーかこの青い花……」
レオは背をかがめて、足下に咲いている青い花の花弁を摘まむ。
「やっぱ魔力で無理やり咲かせてるもんだよな。こんな遺跡の地下で花が咲くわけねぇしな。この遺跡の主の趣味か?」
「どうだろうな。まあ、毒のある植物ほど色鮮やかで目を引くものだ。私に言わせれば、趣味が悪いとしか言えんが」
「おいおい、遺跡の主を挑発するようなこと言うなよ」
軽く笑って、レオは人を捜すような素振りで周囲を見回す。
「エリアスとアキ、近くにはいなさそうだな」
たしかに、自分たち以外にこの場に人の気配を感じない。時折吹く風が、花々をさざめき立てるだけである。
どこから風が入ってくるのか……。そんな些細なこと一つとっても不気味だ。
ミーナは腰にくくりつけていた鞄から地図を取り出し、自分たちの現在地に当たりをつける。
「これだけ広い空間となると、地図でいうとこの辺りかしらね」
ルイスが隣から覗き込んで、ミーナの手元にある地図を指差した。
「そうだろうな。この場所が地図のこの場所だとすると、あと少し北に進めば最終地点となりそうだが……」
「それなら、エリアスとアキを捜しながら、とりあえず先に進んでみっか。あいつらどこで道草くってんだろうな」
めんどくせぇな、と付け加えつつも、レオはどことなくそわそわした様子で浮き足立っている。
彼はしばらくエリアスたちと別行動をしていたと言っていたから、きっと早く二人に会いたくて仕方ないのだろう。彼は特に、想い人であるアキのことを心配していたから。
レオがローブをひるがえして、先陣を切って歩き出す。
それに続いてルイスが一歩踏み出し、ミーナもそれに続きながら、はやる気持ちを抑えるように両手を組んで祈った。
(――エリアス、アキ、どうか無事でいてね。レオとルイスと一緒に、すぐに迎えに行くわ)




