紅榴
物心つく頃には、人を殺していた。
名前を覚えるより先に、人の殺し方を覚えた。
といっても自分の名前なんて無くて、「おい」とか「そいつ」とか呼ばれていたけれど。
何度も、何度も、この手を血に染めた。
幼い頃は疑問に思わなかった。生まれた時からそばにあったから。
でも、次第に心に疑問が生まれた。
「なぜわたしはこんなことをしているのか」
今思うと、賢すぎたのかもしれない。
バカであれば、どれだけ生きやすかったろう。
違和感を抱いたわたしはよほど扱いにくかったのか、とある組織に売られた。
そこでは、殺しの技術の磨き方と、命令に唯々諾々と従うことを教えられた。
......まるで、人形のようだった。
いくつも、何個も、何人もの人をこの手に掛けた。
その度に、無かったはずの心が壊れていく音がした。
それでも、殺しは続いた。
......この手は、あまりにも血に染まりすぎている。
でも、
しかし、
かの方......コハク様は、美しい真白な繊手が汚れることなど気にせずに、わたしの......わたくしの手を取り、名を授けてくださった。
かの方が望むなら、赤黒い道を敷きましょう。
かの方が望むなら、無垢な命をも手にかけましょう。
かの方が、わたくしを必要としてくださるなら......わたくしはいつまでもお側に控えましょう。
どうか、かの方の......彼らの悲願が叶いますように。




