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コハク?
あの人が失われたあの日、あいつの精神は完全に崩壊した。
もともと、拠り所のない強大な力を持つ精霊が、聖女という器があることでなんとか持っていたようなものだ。
器が失われたのならば、崩壊するのは妥当だろう。
だから、僕が生まれた。
壊れて、崩れて、落ちていくハクの精神を、現世と繋ぎ止めるため。
世界の汚い部分を、ハクのかわりに見てやるために。
あの事件を境に、ハクは無意識に自分の力を制御するようになった。
幼児化した精神は、本来の力を十分に扱うことはできないだろうから、これで良かったのかもしれない。
でも、ハクが生み出した二重人格の僕には、無意識の封印は効かなかった。
いや、対象では無かったと言うべきかもしれない。
ハクと同一の存在だからこそ、ハクの力を使うこともできるのに。
僕の存在理由は、ハクの精神安定。
でも、ハクの精神を落ち着かせるのは、今はハク自身が生み出した人形たちが担っている。
......なら、僕は
なら僕は、ハクのかわりに手を汚そう。
大好きな片割れが無垢な精霊で居られるように。
大好きな創造主がきちんと救われるように。
ーーたとえ、救われた先の景色に、僕が居なくとも。




