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風に舞い散る勇者の如し  作者: いもたると
第四部

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194/206

幻覚はリアルで、アヒルはピラミッド

「今、一つはまやかしと言っていたな。ということはどちらかが幻覚ということだな」

 ネズミ君は両側の扉をチェックしに行った。アヒルの話にはまだ続きがありそうだったが、今や幻獣の攻撃を受けて無残な黄色い塊と化していた。

 この先に進めば僕の呪いが解けるかどうか、その肝心なことを聞きたかったのだが、もはやどうしようもない。

「うーむ、どっちも本物に見えるな」

 二つの扉は全く同じ形をしていた。どちらもピンク色に塗られていて、この館の主人のセンスを疑わせるに十分である。

 僕も見てみたけど、ネズミ君と同感だった。手触りもちゃんとあって、両方とも本物に思えた。

「しょうがない、いっせ〜のせで同時に開けるか。俺は北を開けるから、勇者は南を頼むわ」

 結局、盗賊の乏しい観察力を持ってしても見破ることはできず、原始的な方策を取ることになった。

 別に同時に開ける必要はないのだが、これが僕にとって人生初いっせ〜のせであることに気付き、軽く感動する。いっせ〜のせは、友達がいなくてはできないのだ。

「いっせ〜の〜せっ」

 ネズミ君の掛け声に従って、ガチャリとノブを回す。

「こっち偽物だ」

「お、ビンゴ、ビンゴ」

 正解を引いたのはネズミ君。

 僕の方は外れ。扉を開けたその先に見えたのは、壁だった。ただの石壁、扉の左右に見えている石壁の続きである。

 なんのことはない。本物みたいな手触りがあるのは当然だ。本物の扉がくっ付いていたのだ。扉の向こうが繋がっていないだけで。

 僕らは北側の扉から先に進んだ。そこも同じような1ブロック四方の玄室だった(x+6.5)。

「あれ、行き止まりか?」

 部屋の中央付近で立ち止まるネズミ君。別の扉らしきものは付いていないようだ。

「いや、何かあるな」

 正面(北側)の壁の、ちょうど目の高さのところが、何やら細かく光っていた。その手間には、祭壇のようなものがあった。

「なになに、壁になんか字が書いてあるな」

「ネズミ君、待って!」

 僕は軽率な盗賊を制しようとしたが、既に彼は祭壇の前に到着していた。

「なんだよ」

「…なんともなさそうだね」

 僕の言わんとしていたことがわかったらしい。足下を見て慌てた。

「うわぁっと!ワープゾーンか」

 正解。祭壇の前の床には、特徴的な幾何学模様が描かれていた。地下一階でも経験したことのある、ワープゾーンだ。

 目の前の出っ歯の少年がいつまでたっても消えていかないところを見ると、ここはワープを発動するところではなくて、ワープの終着なのかな?

「ま、なんともないみたいだぜ。お前らも来いよ」

 安全を確認して、僕らも祭壇の前に。まったく、今回は良かったけど、罠の有無を事前に確かめる盗賊の行動を事前に確かめる必要がある。

「おかしいですね。この模様だったら、発動ですよ」

 妙子がマッピングノートを見て首を傾げた。前回あったものを、ノートの別のページに描いていたようだ。こういう几帳面なところは女の子らしい。

「どうしてだろう?」

「その答えがここにあるんだろうさ」

 得意気に正面の壁を指差すネズミ君。そこには、このように文字が光って浮かび上がっていた。


【アヒルの数え方に隠された数字を見つけてね。答えの位置にアヒルちゃんを移動させよう!】

 ____1

 ___101

 __10101

 _1010101

 101010101

 ※答えの数字は一桁である。


 数字がピラミッド型に配されている。祭壇の上には、正方形のマスが置いてあった。それは中を3×3に仕切られていて、左上から順番に1から9までの数字が入っていた。魔方陣だ。マスの外側には、手の平サイズの黄色いラバーダックがちょこんと置いてあった。

「ふ〜ん、こいつはただのアヒルだな」

 ネズミ君はアヒルを手に取って繁々と眺めてみたが、アヒルはウンともスンとも言わなかった。

「問題を解かせるつもりかな」

「ま、そういうことだろう。正しいマスにこのアヒルを入れれば、きっとワープが発動して館の奥に行けるという寸法だな」

「またワープするのぉ?」

 鉄子がうげ〜となる。僕もあの嫌な感覚を思い出して顔をしかめた。

 ワープしたときの気持ち悪さは独特のものがある。でもネズミ君だけは、あれが面白いっていうんだよね。

「さてと、腕まくりして取り掛かりますかね。え〜っと、なになに、数学パズルか。ここは理数系に強い俺の出番だな」

 自称そういうことになっているが、まだ証明されてはいない。世界の数学者たちが躍起になって取り組んでいるが、まだである。

【命題】ネズミ君は理数系に強いことを証明せよ。

 きっとこの問題は来世紀に持ち越されることだろう。

 それより壁の問題である。僕もどちらかというと文系だし、妙子も理科や数学が苦手だったと言っていた。鉄子は数が数えられるかどうかも怪しいレベルである。

 消去法であるが、ここはネズミ君に期待するしかあるまい。あくまで消極的な消去法であるが。

「えーっと、1が15個あるな。0は10個か。並べると115010。いいゴレイト。ゴレイトって何だっけ?森の僧侶?あれはドルイドか」

「…あのね」

 語呂合わせとは。理数系に強い人の思考パターンじゃない。やっぱり彼を頼るのはよした方がよさそうだ。

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