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剣戟巨人のアベンジャー ~同級生に叩き売られた剣闘奴隷がバカどもに復讐を果たしながら女子生徒を奪還する話~  作者: 藤原ゴンザレス


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小室様2

 俺たちは美海に案内されて西原瑞希に会いに行く。

 助けるでもなんでもまずは本人に話を聞かないとな。

 俺には小室が壊れきったサイコ野郎に見えるが、もしかすると西原瑞希には王子様なのかもしれない。

 ……いや……ねえな。

 西原瑞希は地下のコントロールセンターにいるらしい。

 コントロールセンターの中に入ると虚ろな目をした女性達がひたすらキーボードを打っていた。

 こ、怖い……


「全裸。こちらだ」


 美海の中では俺は『全裸』になったらしい。

 酷い話だ。

 俺が後ろを着いていくと美海が女性の前に立った。

 そこにいるのは西原だ。


「ミズキ。タカムラと吉田だ」


 美海がそう言うと西原が俺を見る。

 頬がこけ、目の下にはクマ。

 まるで何日も寝てないような顔をしている。

 西原は俺を見ると不思議そうな顔をしていた。


「あ、吉田先生……それと誰?」


 ……素直な感想ありがとう。

 そういやこれだけ人相変わったら普通わからないよな。

 そういやなんで細川はわかったんだろう?

 疑問に思いながら俺は西原に言った。


「俺だ。タカムラだ」


「タカムラ……? 嘘。タカムラはもっと太ってて嫌な顔してる。口を開けば皮肉が出てくる変人。こんなさわやかな顔してない」


「どういう評価だよ!!! 俺が痩せちゃ悪いか!!!」


「……タカムラ?」


「そうだ。タカムラだ」


「タカムラ!!!」


 西原が声を上げた。

 そして俺に抱きついてくる。

 とうとうモテ期到来なのか!

 と、調子に乗った俺がバカでした……


「聞いて。これ以上大きな声を出すと盗聴器に拾われる。飛行機を落としたのは小室なの」


「どういうことだ?」


 俺も小声になる。


「私聞いたの。小室と菊池が相談してるのを……小室が爆弾を仕掛けた……って言ってた……」


 俺はようやく理解した。

 飛行機での菊池の話。

 ゲームのはじまり。

 ではどうやって爆弾を持ち込んだのか?

 それも思い当りがあった。

 勇者の証。

 菊池、それに小室はこの世界で手に入れたのではない。

 元から持っていたのだ。

 西原はさらに続けた。


「最下層にみんなが監禁されてる。助けて」


 俺は無言で頷いた。


「それと小室は地下の女性に小型爆弾を着けてる。戦闘不能になった女性を自爆させるのが小室の手口よ」


「わかった。俺に考えがある」


 俺にはプランがあった。

 たまには吉田やサイガの真似をしたっていいだろ?



 俺たちは美海の案内でエレベーター地下へ降りていた。

 ここも盗聴器が仕掛けられているらしい。

 俺たちは小声で会話する。


「小室は領主の座に着くとハーレムを作り始めた。男は皆殺し。女は全部小室のもの。地下に従順な女たちが集められている。菊池は小室に怯えてそれを黙認している」

 反吐が出る。

 山岸も大概だったが、あれはただ単にアホだっただけだ。

 だが小室は違う。

 俺たちをこんな世界に連れてくる原因を作りやがったのだ!


「お前のクラスメイトも買い集めて地下に監禁している。西原は好みじゃなかったようだがな……」


 小室はクズだ。

 本当のクズがそこにいた。

 だが原因は……

 俺と吉田は無言になった。


 最下層にエレベーターが到着する。

 待っていたのは小室。

 小室はあの不気味な笑みで俺たちを待ち受けていた。


「やあ。来ると思ってたよ」


 美海が俺の手をぎゅっと握った。

 その手は緊張していた。


「セクションってなんだろうね?」


 小室は嬉しそうに俺に言った。


「異世界だろ?」


「そう異世界。じゃあなぜボクらは来たんだろうね?」


 小室がそう言うと後ろから女性がやってくる。

 きれいな女性だ。

 20歳は越えているだろう。

 長い黒髪の美女だ。

 ただそれだけに顔のアザが気になる。

 生来のアザではない。

 あれは殴られた跡だ。


「やあママ。今友達と大事な話をしてるんだ」


 俺は吉田を引き寄せてひそひそと小声で話す。


「ママってなんだよ? 小室の母ちゃんあんな若いのか?」


「んなわけねえだろ! 50過ぎてたはずだぞ!」


 そんな俺たちを見て小室はふふふと笑った。


「ふふふ。二人とも相変わらず口が悪いなあ。そう言うお遊びだよ。タカムラくんはボクがハーレムの女性に酷いことしてるんじゃないかって疑ってるんだろ? 今からみんなが幸せな証拠を見せてあげるね」


 そう言うと小室はバンザイをした。

 小室が着ていたローブを先ほどの女性が脱がしていく。

 そのシュールな光景に俺はドン引きした。

 ローブの下は全裸だった。

 脱ぎ芸人は俺だけじゃなかったらしい……って!!!


 マッチ棒がない!!!


 いやあるんだけど。

 名残があるんだけど!!!


「切り落としたんだ。これがあるからボクらは悩むんだ……」


「……」


「……」


 俺たちは絶句する。

 マッチ棒とクラッカーがスースーする。

 なぜ他人のことなのにこんなに痛いんだろうね。

 なんだかぞわぞわする。

 あのつるんとした顔の秘密の一端がわかったような気がした。


「あの朝ねえ。ボクと菊池君はお互いの両親を殺したんだ」


 ローブを着ながらニコニコと小室は語りはじめた。


「楽しかったなあ。ボクの両親って先生でさあ、いつもいつも勉強しろってうるさかったんだ。でもあの日は違ったなあ。泣き叫んで謝ってた。ふふふ」


 小室は相変わらず楽しげな表情のままだった。

 表情だけならまるでいい話だ。


「ママ。彼女たちは?」


「リビングに全員集合しております」


「うんわかった。じゃあ行こうか」


 小室はそう言うと俺たちに背を向けた。

 殺気はない。

 ただ歩いているだけだ。

 今なら殺れる。

 俺はそう思った。

 そう思ったのは俺だけではなかった。

 吉田もそう判断していた。

 吉田は小室が背を向けた瞬間、レイブレードを抜き突撃した。


「小室おおおおおおおおおおおッ!」


 だが小室はそれに気づいていた。


偽善者(ハーウィヤ)よ」


 小室の攻撃に気づいた俺が吉田を突き飛ばした。

 だが小室の水は弧を描き吉田の肩を貫いた。

 ホーミングしただと!


「ぐああああああああッ!」


 吉田が倒れ込む。


「ダメだよ先生。フライングはダメ。ママ。先生の治療してあげて。タカムラくん先に行こうか」


 小室は笑った。


「美海。吉田は任せる。殺されないように診ててくれ。いいよな小室? その人だけじゃ心配なんだよ!?」


「いいよ」


 小室はまたにっこりと笑った。


「じゃあ行こうか」

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