第六章 第一節【父娘の幸福】
「パパは、王様だから偉いの?」
「うーん。確かにそうなんだが、ただ偉いだけじゃないんだよ」
「そうなの?」
「もし、ターナが友だちの気持ちを考えずに、自分勝手に威張ったり、嘘をついて騙したら、友だちはどう思うかな?」
「すごくやだ。みんなに嫌われちゃう!」
「そうだよね。だから、友だちのために、約束はちゃんと守らないといけないね」
「ママもそう言ってるよ。ターナね、約束破ったことないよ」
「そうだよね。パパもよく知ってるよ」
「うん!」
「王様はね、一度言ったことは、絶対に実行しなくてはならないんだ。それに、国に住まう民が楽しく暮らせるように、一生懸命考えて、行動するんだ。だからこそ、少しだけ偉い人として認められるんだよ。それに……そうだな、王様は立派でもないといけないな。どれだけ偉くても、振る舞いが意地汚かったら、誰も尊敬しないだろう?」
「パパは立派だよ」
「ありがとう。だから、王様はわりと大変なんだよ」
「ふーん」
「ターナも大きくなったら、王様になるんだ。そのためにも、思いやりがあって、立派な女性にならないとね」
「本当に私も王様になるの? 変な感じ!」
「じゃあ、王様になる人をお婿さんにするのはどうかな?」
「えー、ターナはお婿さんいらない。だって、パパがいるもん」
「ははは。でも、パパはターナのお婿さんにはなれないんだよ」
「知ってる。パパとママは仲良しだから。パパとママが、ターナとずっと一緒にいてくれたら、それでいいもん」
十六年前のターナは、国王である父ユージンに向かって、天真爛漫な笑顔を見せていた。世界の祝福を一身に集めたかのような愛娘の輝きは、ユージンの胸を溢れんばかりに満たしていた。




