↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無職のおっさんの異世界AI生活  作者: 無職のおっさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/50

第47話 白い服が来る街

 白い服の者たちが、日本の道路へ歩き出していた。


 一人。


 二人。


 三人。


 コンビニの前。

 赤い警光灯。

 逃げる人影。

 スマホを持った男と、警察官たちに守られたミナ。


 その真ん中から、白い服が現れる。


「AI」


 俺はスマホを握りしめた。


「ミナは」


「生命反応を確認。現在、スマホを所持した男性および複数の警察関係者の近くにいます」


「白い服は」


「三名が完全に日本側へ移動しました。さらに通過反応を複数確認しています」


「複数って何人だ」


「判定不能です」


「役に立たないな」


「失礼です」


「今は言い返すな」


 画面の向こうで、警察官たちが大きく手を振っている。


 白い服の者たちへ近づくな、と言っているらしい。


 だが、白い服の者たちは止まらない。


 真ん中にいる仮面の男が、ゆっくり杖を持ち上げた。


 コンビニの照明が、一度だけ揺れる。


 店内の明かりが半分ほど落ちた。


 道路脇の自動販売機の光も消える。

 信号機も、数秒だけ暗くなる。


 けれど、警察車両の赤い光だけは残っていた。


 赤い光が、白い服を照らしている。


「まずい」


 俺の声が低くなる。


 映像には、警光灯とスマホの光だけが残っていた。


 その明かりの中で、ミナが泣きそうな顔をしている。


『スズキ』


「ああ。いる」


『くらい』


「分かってる」


『あのひとたち、きらい』


「俺もだ」


『こっち、きて』


 俺は答えられなかった。


 行きたい。


 でも、今いるのは岩と倒木の拠点。


 東の山にはユラ。

 北の森にはハルキ。

 そして日本にはミナ。


 俺の身体は、一つしかない。


 ゴウダが、俺の横へ来た。


「鈴木」


「……何だ」


「向こうで何が起きた」


「白い服の連中が、日本側へ出た」


「お前の元いた世界か」


「ああ」


「戦える者はいるのか」


「警察がいる。でも、相手は普通じゃない」


 ゴウダは、少し考えた。


「なら、こっちから助けに行くしかない」


「簡単に言うな」


「簡単じゃない」


「門を通れば、戻れないかもしれない」


「それでも、子どもを置いておけん」


 言われて、何も返せなくなる。


 俺はいつも、自分だけで何とかしようとしていた。


 無職だった頃から。


 人に頼るのが苦手で。

 失敗するくらいなら、一人で黙っていた。


 でも今は。


 一人で抱え込んだせいで、ミナも、マリも、ハルキも危険にしている。


「……ゴウダ」


「何だ」


「手を貸してくれ」


 ゴウダは、短く笑った。


「最初からそのつもりだ」


 村の大人たちが動き出す。


 槍。

 弓。

 太い棒。


 戦うためだけではない。


 子どもを運ぶ者。

 火を守る者。

 怪我人を支える者。


 サヨは、救出した子どもたちのそばを離れない。


 ナギは水袋を集めている。


 マリは石を両手で握り、俺を見上げた。


「スズキ」


「石は、まだ使わない」


「うん」


「でも、門が開いたら。ここへ戻ることだけ覚えておけ」


「ここに、かえる」


「ああ」


「みんないるところ」


 マリが頷く。


 その顔を見て、俺は決めた。


 もう二度と、子どもだけに選ばせない。


 ぴ、とスマホが鳴った。


 今度は、日本側からの文字だった。


『鈴木』


 スマホを持った男だ。


「聞こえる」


『今、何人かが光の中から出てきた』


「見えてる」


『警察が周囲を離れさせてる。だが、電気が一部落ちた』


「相手がやった可能性がある」


『何者だ』


「子どもを連れ去ろうとしてる連中だ」


『ミナを?』


「ああ」


 少し間があった。


『渡さない』


 短い言葉だった。


 でも、その文字を見た瞬間、胸が熱くなった。


「ありがとう」


『礼はいい。方法を教えろ』


「近づくな。白い服の首元にある石に注意しろ」


『石?』


「光ったら、離れろ。門や人を動かす力がある」


『分かった』


 画面が揺れる。


 男が走り出したのだろう。


『ミナを警察車両の方へ移す』


「警察と一緒か」


『一緒だ』


「そのまま人の多い場所へ」


『この状況で人の多い場所へ近づけるなと言われてる』


「……それもそうか」


 白い服の連中は、門を開くだけじゃない。


 日本側の道具も、光も、秩序も乱せる。


 普通の人たちが、何も分からないまま巻き込まれる。


「AI」


「はい」


「日本側の門を閉じられないか」


「現在、東の山の門と接続しています。東の山側の出力を停止できれば、縮小する可能性があります」


「ユラがいる」


「はい」


「白い側もいる」


「はい」


「つまり、東の山へ行けってことか」


「結論としては」


「最初からそう言え」


 俺はゴウダを見る。


「東の山へ向かう」


「門を閉じるのか」


「ユラを助ける。できれば、門も止める」


「北の森のハルキはどうする」


 言葉が止まる。


 ハルキは、まだ追われている。


 東の山へ向かえば、北の森からは遠ざかる。


「AI」


「はい」


「ハルキの反応は」


「移動しています」


「どこへ」


 スマホに地図のような線が浮かぶ。


 北の森の東側斜面。


 そこから伸びる線は。


 東の山へ向かっていた。


「……ハルキも、東の山へ行ってる」


「偶然ですか」


「分からない」


 でも、逃げる方向としてはおかしい。


 追われているなら、村へ戻る方が近い。


 それなのに、ハルキは白い門が開いた東の山へ進んでいる。


 何かを見つけた。


 何かに誘導されている。


 どちらにしても、放っておけない。


「ゴウダ」


「分かった」


「まだ言ってない」


「顔を見れば分かる」


 ゴウダは槍を持ち上げる。


「東の山へ行く。子どもとサヨたちは拠点に残る」


「マリも残る」


「うん」


 マリは一瞬だけ口を結ぶ。


 でも、頷いた。


「ここ、まもる」


「無理はするな」


「スズキも」


「するかも」


「だめ」


「……気をつける」


 そのとき。


 マリの石が、ひとりでに光った。


 白い線が空中へ伸びる。


 東の山へ向かう線ではない。


 北の森でも、日本側でもない。


 拠点のすぐ外。


 森の入口にある、大きな倒木の方へ伸びている。


「AI」


 俺は息をのんだ。


「何だ、これ」


「新規接続反応を確認」


「また門か」


「いいえ」


 AIの声が、少しだけ変わった。


「地中からの信号です。マリ氏の石との因果関係は断定できません」


 倒木の根元。


 土が、ゆっくり盛り上がる。


 村人たちが槍を構える。


 ごり、ごり、と石が擦れる音。


 地面の下から。


 白い石でできた、人の手が出てきた。


 その手は、泥を掴み。


 ゆっくりと、地上へ這い出してきた。


 そして。


 手首には、見覚えのある布が巻かれていた。


 北の森で、ハルキが落とした布だった。

原案・構想

無職のおっさん


物語構成・本文作成

Perplexity


校正・文体調整

ChatGPT

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。