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俺を異世界に飛ばした美少女巫女が、ウー○ーと○郎を貪り食ってふっくら戻ってきた ~コンビニケーキから始まる戦国異世界生活  作者: 蜜朗
第3章:現世との落差と未練、暗闇を照らす再会の光

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第49話 完全に折れた心と、ツッコミどころが多すぎる奇跡の生還

 それから数日間をかけて、私とユキホは平太と関わったという人たちを順番に訪ねて回った。


「平太の妻」という肩書きのおかげで、誰を訪ねても、皆一様に私を快く迎え入れてくれた。


 ……けれど、誰も彼もが、例外なく深い喪失感の底に沈んでいた。


 お蘭ちゃんという女の子は、平太という名前を聞くなり泣きじゃくり、その父親である権左衛門さんの落胆ぶりときたら、見ているこちらが気の毒になってくるほどやつれていた。


「平太殿は、村の将来を背負って立つお方だった……」


「我らの、希望の光だったのだ……」


 絞り出すようなその言葉が、平太という存在の大きさを物語っている。


 さらに、山に暮らす朝秀さんという、元野盗の家族の元にも足を運んだ。

 彼らの落胆は、村の人々以上に激しいものに感じられた。


 理由ははっきりとは分からないけれど、山に戻った後も、平太とユキホのおかげで野盗をせずに生きていける仕組みができているらしい。


 それなのに、彼らもまた権左衛門さんと同じように、「人生の希望をすべて失ってしまった」ような、生気を失った目で力なくうつむいていた。


 おまけに、深刻な問題が起きていた。

 平太が元野盗たちと共に切り開いた「開墾地」についてだ。


 平太という絶対的なリーダーがいなくなった途端、下宿のさらに先にある『辻宿つじじゅく』という、ここら一帯で最も大きな街が強引に割り込んできたらしい。


 その辻宿は、代官所(役所)がある、いわゆる「お代官様」が直接管理する街。

 そこが出てきてしまった以上、一介の村長に過ぎない権左衛門さんたちでは、到底手出しも反論もできないのだという。


(……いやいや、無理無理無理! 私がどうにかできるレベルの話じゃないって!!)


 国家権力(代官所)相手に、元家事手伝い(という名のフリーター)のタナカミチルが一体何をしろというのだ。

 絶対に無理だ。


 あまりにも前任者の残したハードルが高すぎて、私は完全に心を折られた。


 ◇


 その日の夕食をいただいた後、私はそそくさと納屋へと向かった。


 望月家の皆さんには「母屋で寝ていい」と言われていたし、実際にここ数日はそうさせてもらっていたけれど、何やかんやで、一人になって頭を整理できる納屋の空間が、今の私には一番落ち着くのだ。


「ふぅ……」とため息をつきながら、納屋の引き戸を開ける。


 すると、真っ暗な空間の真ん中で、ユキホがぽつんと膝を抱えて座っていた。


「あ……ユキホ?」


 よく見ると、彼女の小さな肩が、かすかに上下に震えている。


 ユキホは静かに、声を殺して泣いていた。


 そう言えば、私が初めてこの世界に飛ばされてきたあの夜も、ユキホは今と全く同じように、暗闇の中で膝を抱えて座っていた。

 もしかしたら、あの時も……彼女は一人で泣いていたのではないだろうか。


 平太の関係者を一通り回って分かった。


 誰もが激しく落胆し、平太という一人の男を失った影響は、この世界にとってあまりにも大きいと感じた。


 けれど、最も大きなショックを受け、最も傷ついているのは、目の前の小さな少女――ユキホなのだ。


 平太の残した意志すら引き継ぐことができない、頼りない私。

 そんな私に、ユキホの傷を癒すなんて、到底無理に決まっている。


 無力感が胸を締め付ける。


 ユキホ……。平太に会いたいんだよね。

 平太がいなくなっちゃって、寂しくて、辛くてたまらないんだよね。


 村のみんなも、山の元野盗たちも、みんな平太が必要なんだ。

 平太がいないと、この世界は回らないんだよ。


 平太……。お願いだから、今すぐ戻ってきてよ。

 みんなを助けてよ。

 みんな、あなたが必要なの。


 ――ユキホには、あなたじゃなきゃダメなんだから……っ!!


 心の中で、平太に向かって必死に叫んだ、その時だった。


「ぶわん」と空気が震えた。


 目の前の、何もない虚空に、突如として眩い『光の輪』が出現する。


 それは紛れもなく、数日前に私がこの世界へ飛ばされてきた時に全身を包み込んだ、あの謎の発光現象だった。


「な、何これっ!?」


 光の輪はバチバチと火花を散らしながら、徐々に、徐々に大きくなっていく。


 そして、両手を広げた大きさほどに広がった輪が、キュッと収縮して閉じるのと同時に――。


 光の中から、唐突に「一人の男」が現れた。


 その男の登場スタイルは、あまりにも奇妙だった。


 なぜか、椅子に座っているかのような姿勢(しかし椅子はないので空気椅子状態)のまま固定されており、さらに片手は、何かを挟んだような、タバコを吸う仕草のような格好で静止している。


 時が止まったかのようなポーズのまま、男は重力に従って、どさりと床へ転がった。


「――っ! 平太ぁあああああ!!」


 静寂を破り、ユキホが弾かれたように叫んだ。


 そして、床に転がっているその奇妙な男に向かって、飛びつき、激しく抱きついたのだ。


 えっ。

 ん? 何これ?


 どういう原理!? どこからどうやって湧いて出たの!?


 っていうか、その空気椅子とタバコのポーズは何なのよぉおおいーーーっ!!


 あまりにもツッコミどころが多すぎる奇跡の生還に、私の脳内は完全にフリーズした。

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