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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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96/121

episode 095

 拝島は、特に慌てた様子も無く、その場に立っていた。

 右手に刺さっているダーツの針を、おもむろに引き抜く。

 やがて、彼は静かに言った。


「罠だとは、気付いていたよ」

 嘲るような表情を見せながら、話を続ける。

「だが、私が君達に倒されるとは思わない。畏れるのは、この不完全な身体のみだからだ」


 ぐっと体を沈み込ませた拝島は、戦闘態勢に入っていく。


「いささか空腹ではあるが、子供2人を仕留めるのはたやすい事。軽く遊んでやろう」


「そいつはどうも!」

 返事と共に、冬流はダーツを放った。

 軽く右に流した拝島は、目前に第二弾が迫っている事に気が付いた。

「ちっ!」

 即座に横へ跳んだ彼は、側方から風を感じて強引に身体を捻る。

 鈍い唸り音をあげて、夏純の紫陽花丸が空を切った。


「外した!」

「まだまだぁ!」

 袖口から新たなダーツを覗かせた冬流が、床を蹴って駆け出していく。

 ジャッと真横に振った指先から、幾本もの矢が飛び出していった。


「そんなオモチャでは……」

 通用しないとばかりに、拝島は両手でそれを叩き落とそうとする。

 瞬間、ダーツの中に仕込んでいた火薬が炸裂した。


「ぐあッツ!!」

 瞬時に火球の中に包まれた彼は、火を消そうと床を転がり回る。


「よし!このまま一気に」

 勢い付く夏純だったが、冬流の表情はどこか冴えなかった。

「焦りは禁物だ。慎重に行こう」

「……そうね」

 彼の忠告を聞いた夏純も、納得顔で頷く。

 そして2人は、じりじりと相手までの距離を詰めて行った。

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