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episode 094
「ひいいいいっつ!!」
必死に叫びながらも、身体が硬直して動けなくなった絵理花の喉元に、男の手が掛かろうとした……その時。
「?!」
激痛を覚えた男は、右手を引っ込めた。
手の甲に刺さっている、短いダーツの矢を見る。
それが跳んで来た方向から、明るい声が聞こえて来た。
「ダメだよー、早弁は!」
「そうそう、見つかったら先生に代わってお仕置きヨッ!」
その場から動けなくなっていた絵理花の手を、誰かがグイッと引っ張った。
「……大丈夫です」
咄嗟に何かを言おうとした彼女の口元に手を当てた愛唯が、優しく声を掛けた。
「ごめんなさい、敵をおびき寄せるため、ワザとマークを外したんです」
「……じゃあ、あの人たちは?」
絵理花の問い掛けに、愛唯はニッと笑って言った。
「たまみらい学園の、最強コンビですよ」
男は、自分の眼前で右手を前に翳している少年と、木刀を正眼に構えている少女を見た。
やがて、少年の方が口角を上げながら言葉を発する。
「我、汝に追いついたり」
左尾冬流は、会心の笑みを浮かべていた。
「お会い出来てとても光栄です。拝島新太センセ」
成田夏純は、こちらも満面の笑顔で言葉を継いでいった。




