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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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86/87

episode 085

 現在、旧小学校の1階は、昔の2階部分に相当している。


 本来の入口は地中に沈んでいるため、二人は開いていた窓から中に潜入した。

 途端に、外部からの光が遮断されたらしく、辺りが薄暗くなる。


 冬流は、鞄から携帯用の照明灯を取り出して電源を入れた。

 彼等の周囲数メートル四方が、再び明るさを取り戻していく。


「ところで、左」

 愛用の木刀を構え、油断無く周囲を伺っていた夏純が口を開いた。

「お前は丸腰だけれど、大丈夫なのか?」


「ああ、違うよ」

 冬流は、開いている右手を胸元で握り締めると、グッと前方に突き出した。

 次の瞬間、指の隙間から長さ10センチ位のダーツ針が飛び出てくる。


「10メートル以内なら外さねえ」

「フン」

 それが安心したという表現なのか、彼女はすたすたと非常階段の方へ歩いて行った。


 地下1階となっている元1階は、全ての窓が土中に埋まっており、上の階以上に陰鬱さを醸し出していた。


「うーっ、気持ち悪い」

 冬流が指し示す光を頼りに、牽制混じりで木刀を振っていた夏純は、ブツブツ呟いている。

「空気は湿っているし、ホントに何か出て来そうだ」

「……カラ元気は分かるが、ちょっと静かにしてくんない?」

「む、分かったよ」

 冷静な冬流に嗜められて、少しムッときた彼女だったが、ここは彼の方が正論なので暫く黙っていた。


 その間に、彼は手近なところから部屋を片っ端から開けて回り、不審なものが無いか探りを入れていく。


 そして、十数分後。

 最後に残ったのは、一番突き当たりに在った大部屋であった。

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