85/88
episode 084
10分後……
旧小学校前に冬流と夏純、そして連絡を受けた男子新聞部員4名が集まっていた。
彼等は、半ば崩れ落ちた外壁の側にしゃがみ込んで打合せを行っている。
相手が獣祠道という妖術の使い手である事から、建物の階数を変える事は容易だと理解した冬流は、現実に則した対応を心掛けていた。
「5階建てが4階になったという事は、地下に1階分のスペースが出来たとも言えるな」
「成る程、その地下室が怪しいですね」
第一発見者の部下が、相槌を打つ。
「ああ、そこに犯人が潜んでいる可能性は高い。まず俺が飛び込むから、残りの者は待機しておいてくれ」
「待った、手柄を独り占めする気?」
話を聞いていた夏純が、むうと口をとがらせる。
「私も中に入る」
「冗談、女子を危険な目にあわせる事は出来ない」
「……こんな時だけオンナ扱いして」
夏純は真剣に怒っているらしい。
彼女の横顔に揺るぎない決心を見て取った冬流は、ふうと溜息を付くと尋ねた。
「得物は?」
「ここに」
彼女は背中から、すらりと木刀を抜き放った。
「『紫陽花丸』……わたしの分身だ」
「分かったよ」
腹を決めた冬流は、踵を返しながら彼女に言った。
「付いて来い、中に入るぞ」




