episode 117
『……ナ・メ・ル・ナァ!!!!!!!!!!』
次の瞬間、怪鳥の全身が眩いばかりの光に包まれた。
ライオン達が取りついている身体の表面が、ゴボリと盛り上がってくる。
「やばい、みんな離れるんだッ!!!」
そう叫んだケビンの首根っこを、誰かが掴んだ。
そのまま彼の身体は、後方に大きく放り出されていく。
次の瞬間……
不死鳥の身体から、数えきれないほどの金色の羽根が高速で発射された。
至近距離でそれを受けたライオン達は皆、身体の急所を貫かれ、もんどりうって地面に倒れていく。
物理的な距離が空いた事から軽傷で済んだ春都は、自分を投げ飛ばした相手に向かって駆け出した。
「ダーハ!!!」
金色の羽根槍で貫かれ、血まみれになっているダーハは、そのどれもが致命傷と言えるレベルの中、気力だけで踏ん張っていた。
『生きていたか、小僧』
彼はため息を吐くように言った。
ゴフッと咽せた口元から、紅い血の塊が飛び出してくる。
「何故、俺を助けた?」
『俺たちより全然弱いのに、独りで無茶をしていたからだよ』
ダーハは、心底愉快そうに笑った。
『だが、こちらも仲間は全滅状態、俺もこんなザマだ。後はお前に頼るしかなさそうだな』
彼の瞳に宿る光が、急速に力を失っていく。
『多くの命と引き換えに作ったチャンスだ……頼んだぜ、発明家』
その場に立ち尽くしたまま、彼は動かなくなった。
無言を貫いたまま、ケビンはぐるりと振り返る。
不完全体にもかかわらず最大兵器を使った反動から、一段と組織の崩壊に拍車が掛かっている不死鳥に向けて、怒りに震える身体を宥めながら近付いていく。
その時、彼の耳元に甲高い電子音が鳴り響いた。
『いんべんしょんもーど解除、コレヨリ「ぷろぐらむげんない」ヲ発動サセマス』
次の瞬間、彼の身体は七色の虹に包まれた。
既に、イマージングが持続可能な10分は経過していた。
しかし、全身から発せられた眩い光で紡がれた『金色の衣』を纏ったケビンは、確かに存在していた。
『グアッ?!』
異常な気配を察した不死鳥は、身体の一部がどんどん腐り落ちているにも関わらず、再び悪魔の羽根を発射すべく己の表皮を逆立て始めた。
そんな中、目を閉じて立っていたケビンは……やがて、静かに呟いた。
【……ゾオン……A|Z】
その言葉がこぼれ落ちるよりも早く、彼の身体は陽炎のように瞬き、空中へと消えていく。
と同時に、怪鳥の背後に位置する場所で空間の歪みが発生したかと思うと、先ほど消えたばかりのケビンの姿が実体化してきた。
そして彼が通り過ぎた空間は、物理学等を遥かに無視・超越した動きの影響を受け、ズタズタに引き裂かれていた。
勿論、その間にいた不死鳥も無事では済まない。
空間ごと無残に引き裂かれた怪鳥は、断末魔の叫び声を上げて自ら発した火球の中へと包まれて行った。




