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インベンションマン|Invention-Man  作者: 黒珈|くろこ


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106/121

episode 105

 前方に、鉄柵で囲まれた自然ドームが見えて来た。


 最大値で逃げている春都だったが、既に何頭かの猿に追いつかれている。       

 牙をむいて襲いかかるそれらを躱しながら、ようやく目的地に辿り着く。

 そこには、何十羽もの肉食鳥が、今か今かと獲物を待ち構えていた。


 一番奥に座っていた大鷲が、むくっと起き上がる。

『ようやく来たか、我が名はアイバード』

 勢い良く名乗りを上げた彼だったが、次に飛び込んで来た猿の大群を見て度肝を抜かれた。


『な、何だあ?!』

 動きが止まった猛鳥の群れに、春都は丁度突っ込んで来た猿を一匹捕まえ、思いっきり投げつけた。

 猿爆弾の犠牲になった数羽がなぎ倒される。

 それが引き金となり、猛禽舎の中は大騒乱となっていった。


 鷲鷹や猿達は、既に本能レベルの戦いに入っており、当初のターゲットである春都の存在は全く目に入っていない。

 暫くの間、周囲にはお互いの放つ叫び声と、噎せ返るような血の匂いだけが充満して行った。


 物陰に隠れて状況を見守っていた春都は、頃合いを見ながら先へ進もうとした。

『……何処へ行く、小僧』

 背後から掛けられた声に返事を返す暇も無く、彼はいきなり強烈な空気の波に吹き飛ばされた。

 地面に思い切り叩きつけられた春都は、衝撃を堪えながらエアーハンドを発射する。

 しかし、アイバードは右の羽根を一振りしただけで、気弾を跳ね返してしまった。


『このわたしに、空気銃は効かんよ』

 勝ち誇った表情を見せたアイバードは、全長3メートルはある翼を揺さぶりながらこちらに向かって来る。

『さて、どこから喰らってやろうか……頭か、腹か、それとも腕か?』


 唯一の武器が封じられた春都は、もはや為す術が無かった。

 脳内では次の対処方法を必死に模索しているが、身体自体は全く動いていない。

『もはや面倒だ、丸飲みにしてやろう!』

 そう言ってグワッと嘴を開けたアイバードに、彼は観念して目を閉じた。

 その時、春都の思考の中に懐かしい声が響いた。

『けびん、すたーぶれーどヨ!!!』

 彼は、条件反射に近い感覚で左腕を真横に払った。


『?!』

 まさに彼の間近まで迫っていたアイバードは、身体に突如起こった衝撃で動きを止められた。


 自分の身体を見下ろすと、胴体の部分が切り取られ、下半身がズズズッとズレ始めている。


『こ……こんな、馬鹿なァ!!!』

 ごふっと血を吐いたアイバードは、大地に倒れて絶命した。

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