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断罪される悪役で当て馬な仔ブタ令息に転生した僕の日常  作者: 藍生らぱん
第三部

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第2話 ダンジョン始めました 1

 

レムリア王国の炎のダンジョンへは、僕と兄たち、オスカー君はもちろん、アンディ君も一緒に行けることになった。

引率はハヤト様とケント様、そして先代教皇のショータ様なんだよ。


――メンバーが豪華すぎる!!


「ルル坊、一緒に頑張ろうな!」

僕とお揃いの黒いキャソックを身に着けたショータ様がニコニコと僕の頭をナデナデしてくれた。

ショータ様とは、聖者のお仕事やバザーの準備とかで何度か会ったことがあるんだ。

でも先代様だったなんて、今日初めて知ったよ~

ベテランの聖者様だとばかり思ってた。

だって、みんな「じいちゃん」とか「じい様」って呼んでたし、僕も小さい頃から「おじいちゃま」って呼んでたから、本名、知らなかったんだ。


「えっと、よろしくお願いします、ショータ様。」

「うん、よろしくな! あ、でも、名前に様付けは慣れないから、いつも通り『おじいちゃま』って呼んでくれよな。ルル坊は正真正銘、俺の曾孫の一人なんだからさ。でもさ~、まさか異世界で曾孫たちとダンジョン潜ることになるなんて、長生きはしてみるものだな!」

ガハハハッっと豪快に笑うショータ様は、ジャン叔父上がお年寄りになったらこんな感じかな~?という見た目をしている。

背恰好も雰囲気も似てるし、性格も似ているかもしれない。

叔父上みたいに「ヒャッハー!」って言いながらレイドボスとかダンジョンのラスボスに元気よく突っ込みそうなイメージがあるかも。


一通り他のみんなの挨拶も終わると、ケント様が用意してくれた転移用魔方陣の上にみんなで乗って一気に転移した。

転移した先はレムリア王国の神殿の中にある転移陣だった。

「今日は神殿に泊まって明日の朝出発な。」

神殿は遠方からの参拝客用に簡易宿泊所があるので今日はそこに泊まることになった。

「温泉もあるから、後でみんなで一緒に入ろう。」

簡易宿泊所は食事が出ないので泊まり客は自炊するか外食か屋台で買い食いになるんだよ。

でも、温泉があるからお風呂は24時間いつでも入れるようになっているんだ。

だから湯治目的で長期滞在する参拝客もいるらしいよ。


***


レムリア王国の気候は温暖で、一年を通して過ごしやすく、実りも豊かな国なんだ。

ただ、大小様々なダンジョンを抱えているから、突発的なスタンピードが発生しやすいという負の側面もあるんだ。

だからスタンピードに備えて騎士団と冒険者ギルド、神殿と教会との連携、そしてスタンピードが起こった時に必要な人材を確保したり育成することにも力を入れているんだ。

そういう事情もあって、レムリア王国は大陸でも五本の指に入る軍事力を抱えているんだよね。


僕たちが向かうダンジョンは中規模で、冒険者ランクA相当の実力者が揃っているパーティなら攻略が可能なんだけれど、ゾンビ系やレイス系といったアンデッドモンスターがあちこちの階層にいて、最下層のラスボスモンスターはランダムでレベルS相当のアンデッドが出るから、聖魔法のSランク以上の魔法が無いと倒せないんだ。


でも、そういう魔法が使えるのは聖者より上の使徒とか枢機卿、退魔系の特殊スキル持ちとか、僧侶の上の権僧正とかになっちゃうんだよね。

枢機卿とか、権僧正の役職というか称号持ちの人達は世界に数十人しかいないんだ。

しかも位が高い聖職者とか神職者だから、基本的に冒険者活動はしていないんだよね。

彼らは、非常時には「勇者パーティー」に協力する形で加入してくれるんだけど、一般のパーティーには公に加入しないことになっているんだ。

だからAランク以下のパーティでの完全制覇が難しくて人気がないんだ。


ジャン叔父上はアンデッド系に特化してる魔剣と状態異常無効化の特殊スキルがあるから「憂さ晴らし」とか言いつつも、ここのダンジョンに籠ってスタンピードが起きないように間引きをしているんだ。

Sランクの聖魔法も使えるから最下層のラスボスもソロで倒せるみたい。

でも、

「あそこのダンジョンボスは、いけ好かないチャラいヴァンパイアだから好みじゃない。」

と言って多くを語らない。


――チャラいヴァンパイアって一体・・・


枢機卿に並ぶ実力があって、凄く強いし、尊敬してるけど、ジャン叔父上の戦い方は誰も真似できない。

叔父上は、地道に満遍なく、魔剣と拳を使って間引きしてるだけなんだけれどね。

でも、その満遍なくが難しいんだよね。


僕は精々、離れた位置から浄化魔法を使って滅するのみ。

素手で触るなんて、無理だもん。

だって、ゾンビ系って腐乱死体なんだよ?

腐ってるし、きっと匂いもキツイだろうし、何より見た目が怖いんだもん。

まだ、腐ってなくて匂いも無さそうなレイス系の方がマシかもしれないね。

怖いのは一緒だけど、実体が無い分、血とか体液とかが「ドバッ!」とか「ビシャッ!」とかないだろうし、匂いも、きっと無いよね?


あ、でも、叔父上はそんなゾンビ系を素手で・・・

今度会ったら浄化とか、消臭系の魔法でお清めしてあげようかな?

うん、絶対そうしよう!


***


みんなで温泉に入って、ご飯を作って食べて、部屋で雑魚寝をしたんだよ。

グランピングみたいで楽しかった。

兄弟がいて、友達がいて、前世では経験できなかったことをたくさんできるようになった。

健康だから今世は何でもできる。

今世の僕は無敵なんだ!


朝になって出発前の朝ごはんを食べてからエントランスに向かうと、入れ違いに犬獣人さん家族とすれ違った。

若いご夫婦にお子さんがひとり。

奥さんは妊婦さんらしくて、大きなお腹を抱えていた。

「おはようございます。いつ生まれるのかな?」

ショータおじいちゃまが人当たりのいい笑顔で妊婦さんに話しかけた。

「おはようございます、聖者様。予定日は来月なんですよ。」

「安産の祝福をしてもいい?」

「是非!」

おじいちゃまの祝福は綺麗な虹色の光となって妊婦さんを包み込んだ。

「え!」

「もしかして、先代様?」

「ナイショ、ね。」

虹色の光の祝福は教皇だけが出せる色なんだ。

だから、妊婦さんもご主人も驚いて一瞬固まってしまったけれど、おじいちゃまの茶目っ気のある様子に笑顔がこぼれた。

「「ありがとうございます!」」

幸せそうに微笑むご夫婦を見て僕は前世の両親を思った。


「無事に赤ちゃん生まれたかな・・・」

「ルル坊?」

「おじいちゃま、あのね、前世の僕が亡くなる前、お母さんが妊娠してたことを思い出したんだ。兄弟がずっと欲しくてお願いしてたんだけど、二人目不妊でずっとできなくて。でもお母さん、ずっと不妊治療がんばってて、やっとできて産まれる日を楽しみに待ってたんだけど、その前に僕が死んじゃったんだ。」

「そうだったんだね・・・」

「ここからでもお母さんたちに祝福送れるかな?」

「送れるよ。一緒に送ろう。」

「うん!」


僕はおじいちゃまと一緒に空に向かって祝福を送った。


――日本の、前世のお母さんとお父さん、そして僕の弟か妹が元気で幸せに暮らせていますように・・・


僕たちの祝福は七色の光の柱になって、虹のように空の彼方に向かって伸びていった。



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