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断罪される悪役で当て馬な仔ブタ令息に転生した僕の日常  作者: 藍生らぱん
第二部

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第13話 魔王復活を阻止するためのイベントミッション、なのかもしれない

 

入学式から月日が流れて、季節が初夏に変わるころ、ジャン叔父上の引率でゾンビスライムの討伐依頼を受けるため、みんなでフルール王国の冒険者ギルドに向かった。


ゾンビスライムはその辺の草原には生息していない、ダンジョン限定のモンスターなんだ。

ダンジョンへ潜る時は、父上からジャン叔父上かハヤト様かケント様が一緒じゃないと許可できないって言われていたんだよね。

ハヤト様とケント様は学園が休日の日は護衛がお休みだから、久しぶりに帰省していた叔父上にお願いしたんだ。


でも、みんなで連れ立って出かけた冒険者ギルドで、叔父上に指名依頼を出したいと騒いでいる貴族の人がいて、ひと悶着があったんだ。

叔父上は、表向きは大公家の魔法騎士団の所属だから、冒険者個人としての指名依頼は受け付けていないんだよね。


そもそもSランクの冒険者は、たとえ相手が王族であったとしても、指名依頼を拒否できる権限を持っているんだ。

特に叔父上は有事の際は勇者である僕の父上のパーティーに入ることになっているから、行動が制限されかねない王侯貴族からの依頼はギルドの受付で門前払いにしてもらっているんだよね。

それでも叔父上に依頼をしたいとフルール王国のギルドに押しかける貴族が年に数人いるらしい。

ギルドや冒険者に対する貴族の横暴を抑えることができるのは王族だけだから、そういう事情もあって王弟のバーナードさんがギルド長をしているんだ。

バーナードさんも勇者パーティの一員だし、教会本部の幹部もしているから、フルール王国での立ち位置は盤石で権力も持っているからね。


結局、その貴族の依頼は指名ではなく通常の依頼としてギルドに提出されることになったんだ。

でも、その依頼、緊急性が高いかもしれないからと、僕たちのパーティが受けることになって、叔父上は引率として同行する流れになったんだ。


そして、その貴族の屋敷に向かったんだけれど、その屋敷の中から、とんでもなくどす黒い瘴気が滲み出ていて気持ち悪くなってしまったんだ。

危険だからと僕たち子供は、瘴気の発生源と思われる屋敷の中には入らずに、叔父上だけが中へ入ることになったんだ。

そして僕たちは、屋敷の外から浄化をすることになったんだよね。

叔父上が大本の原因を排除するはずだから、僕たちは瘴気がこれ以上広がらないようにしなくちゃいけないんだ。


「これって、聖騎士団の小隊と聖者が何人かいないと完全に浄化できない案件じゃないか?」

「こんなになるまで放っておくなんて、正気の沙汰じゃないよね。」

「あの依頼に来た貴族のおっさん、本当に人間だったか?」

「普通の人間じゃ、あんなに元気に正気を保ったまま動けないよね。」


叔父上は発生源の部屋に依頼に来た貴族の人と一緒に入っているから、今頃、発生源を根絶する行動をしている筈。

僕と兄たちとアンディ君とオスカー君は屋敷の外で、屋敷を囲むように浄化魔法を展開した。

僕とメルク兄さまが浄化魔法を展開して、ランス兄上とアンディ君とオスカー君はその補助だ。

作り置きしていた浄化の魔法のスクロールを何本も使っての作業となった。


小一時間も経たないうちに、叔父上が呼んだらしいバーナードさんと聖騎士団の一部隊が到着した。

部隊長さんが兄たちから簡単に経緯を聞いた後、叔父上がいる屋敷の中へ入って行った。


「お前たちは先に帰ってろ。」


バーナードさんの指示で僕たちは先に帰ることになった。

残りの浄化も、ベテラン聖者でもあるバーナードさんがいれば僕たちが抜けても大丈夫だし、事後処理も聖騎士団にお任せしておけば大丈夫だもんね。


全てが終わった後、あの屋敷でどんなことがあったのか、ジャン叔父上は多くを語らなかった。

「魔王」の復活を望む悪魔があの貴族に憑りついて、「魔王」が受肉するために必要な器を作り出すためにあの貴族の家の人たちを利用していて、僕たちが行った時には、既に手遅れだったとだけ聞かされた。

その悪魔は受肉に失敗して遁走したらしい。


魔王

悪魔

受肉


このワードは前世の両親が制作に関わっていた「漆黒の輪舞」のゲーム内でのイベントミッションによく出てきたワードだった。


***


★魔王復活を阻止するため、悪魔アガレスの受肉を阻止せよ★

 レムリア王国魔法学園の演習用ダンジョンでスタンピードが発生した。

 プレイヤーは、近衛騎士アレクシアと協力して第三王子殿下を守り切れ。

 クリア条件は、スタンピードの制圧と第三王子殿下と近衛騎士アレクシアの生存。

 成功報酬:教皇への謁見許可 特殊スキル・神眼


★魔王復活を阻止するため、悪魔フラウロスを封印せよ★

 レムリア王国・炎のダンジョン最深部「煉獄の間」にいるランダムで発生するダンジョンボス・悪魔フラウロスを聖母の特殊スキルで封印せよ。

 クリア条件は、冒険者として各国を渡り歩いている「聖母」の称号所持者を探し出し、パーティを組んだ状態でフラウロスを封印すること。

 成功報酬:妖刀ムラマサ 特殊スキル・状態異常無効化


★魔王復活を阻止するため、悪魔シトリーの受肉を阻止せよ★

 最北にあるスノーデン王国にて流行病のワクチン開発に協力し、流行病の死亡者を減らせ。

 クリア条件は、スノーデン王国軍・軍医セイランの生存。

 成功報酬:流行病での死者数により変化。

      死者数がゼロの場合のみ、辺境伯から秘伝を継承し、称号「剣聖」を会得。

      神獣・月の犬(マーナガルム)の加護



***


イベントミッション毎に時代や国が違っていたり、強制イベントでは無く、プレイヤーが自由に参加できるものだった。

けれど、参加の有無や進行状況によって、ゲーム内の国々の勢力や情勢が変わったり、NPCの行動が変わったりと、変化の多いゲーム世界だった。


乙女ゲーム「桃色♥狂詩曲(仮題)」は「漆黒の輪舞」とリンクしている。

「漆黒の輪舞」は未来予知や巻き戻り――回帰システムを通して過去の出来事を改変したり、最悪の未来へと続く歴史の流れを変えるのがテーマのMMORPGだった。

「桃色の狂詩曲(仮題)」の方は、恋愛要素を多めにした育成ゲームで、「漆黒の輪舞」のスピンオフのような立ち位置になる予定みたいだった。

だから、その二つのゲームに似た、今の僕がいるこの世界のどこかに「魔王復活」を目論む「悪魔」が存在しても不思議じゃないんだよね。

もしかしたら今回の出来事は、魔王復活を阻止するためのイベントミッション、だったのかもしれない。


何もかも、今の世界の現実と前世の世界のゲームの内容を結び付けてしまうのは良くないんだけれど、僕、何か重要なことを忘れているような気がするんだ。



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