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断罪される悪役で当て馬な仔ブタ令息に転生した僕の日常  作者: 藍生らぱん
第二部

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第12話 過保護すぎる仲間たち

 

「肺活量も鍛えるとして、ラジオ体操は音源があった方が動きやすいから、後で作るか。」

僕が呼吸法について色々考えを巡らせていたら、ケント様が思案顔でそう呟いた。


もしかして、トランジスタラジオみたいな魔道具かな?

中学校の技術家庭の授業で作ったようなやつかな?

自分で作ったラジオが嬉しくて、入院してた時はベッドの枕元に置いて、イヤホンつけてこっそり深夜ラジオ聞いた記憶がある。

ラジオの番組の内容は全く覚えていないんだけれどね。


「魔道具でラジオ作れるんですか?」

「ラジオは作れるけれど、中継局とか電波塔もだけれど、放送局がこの世界にはまだないから、作っても使えないんだよな。電波――電磁波はあるみたいだけど・・・とりあえず、音楽を再生するだけの簡単なオーディオプレイヤーもどきを作るか。そうだ、今度一緒に作ろうか?」

「はい!」


すごいすごいすごい!

魔道具としてオーディオプレイヤーもどきが作れるなんて夢みたいだ!

錬金術関連の勉強は、聖者として活動するための巻物(スクロール)関連とお薬関連中心で、機械っぽい魔道具の方は全然習っていなかったから、ものすごく楽しみ!


「でも、その前に夕飯だな。」

ひょいっとケント様にまた抱っこされてしまった。

「僕、歩けるよ?」

「でも、抱っこしたいから・・・ダメか?」


イケオジなケント様のウルウル眼(まなこ)に僕は勝てなかった。

「じゃあ、今日だけ。お願いします。」

僕の返事に御機嫌になったケント様は、僕に頬擦りしながら鼻歌交じりに学食へ続くゲートに向かった。

その鼻歌のメロディに聞き覚えがあったけれど、曲のタイトルは思い出せなかった。


各寄宿舎のゲートには空間魔法が組み込まれていて、本当ならば何百メートルも離れている学食までの距離が短縮されている。

学食前のロビーに寄宿舎ごとの出入り口がセットされているんだ。

ダンジョンの転移陣みたいな感じって言えばわかりやすいかな?


調理スタッフをあちこちの寄宿舎に分散させるよりは、一か所に集めて、色んな地域や国の料理をみんなが好きに食べられるように、ということで、そういう作りになったらしいよ。

だからなのか、学食はショッピングモールのフードコートにそっくりなんだ。


中は広いし、一度に利用できる人数も多いから賑やかだ。

ルームサービスで出前もしてもらえるから、一人で静かに食べたい人や、体調が悪くて部屋から出られない人にも配慮されているんだよね。


僕はケント様と一緒に作る魔道具のことで頭がいっぱいになっていて、多分、物凄くだらしない、締まりのない顔でにやけていたと思う。

そのせいか学食前のロビーに出た瞬間、たくさんの人たちの視線を感じた。


「やばっ」


その視線の先が僕に集中しているのに気が付いたケント様がサッと片手を上げて一振りすると、みんなの視線が僕から外れた。

認識阻害系の魔法かな?

生徒が学園内で不用意に魔法を使うのは禁止されているけれど、大賢者であるケント様は教皇様からの許可があるから、教皇国内での魔法の行使は一般的に禁止されている場所であったとしても自由なんだ。

もちろん、「勇者」の称号持ちのハヤト様も、教皇様の直属である枢機卿の皆様も、教皇国内であればどこでも自由に魔法が使えるんだ。

だから、そんな大賢者様と勇者様を護衛にしている僕って、本当に恵まれすぎだよね。


――女神様、大賢者様と勇者様を侍るという、とんでもない贅沢をありがとうございます。


「「ルル!」」


僕たちを見つけた兄たちとオスカー君が早足で傍にやって来た。

みんなと合流しても、僕はケント様に抱っこされたままで給仕スタッフさんにテーブル席に案内された。

僕は兄二人に挟まれる位置に座り、オスカー君とケント様は僕たちの向かい側の席に座った。


「クラスはどう?」

「友達できそう?」

兄たちからの最初の質問はそんなありきたりなことだった。

その他にも色々聞かれ、そして何故か最終的には過保護丸出しのお言葉が・・・


「何かあったら担任のフェルゼン隊長に言うんだよ?」

「どんな些細な事でも、報連相、大事だからね?」

「「ルルが快適に学園生活を送るために、教皇様も枢機卿の皆様方も助力は惜しまないっておっしゃっていたからね。」」

「・・・・・・」


なんで、フェルゼン君が担任なんだろう?って思ってたんだけれど、最高権力者たちの鶴の一声だったんだね。

教会総本部あげて僕に過保護すぎじゃないかな?


***


学園での生活は、フェルゼン君がきちんと公平にクラスのみんなに接しているのと、男子たちの結束というか、チームワークが良くて過ごしやすかった。

週末はアンディ君がいるフルール王国の祖父の家に泊まって、祖父とケント様と魔道具作ったり、みんなで冒険したりして、まったり過ごした。

王都近郊の草原とか森に出られるようになったから、スライムとかアルミラージュを魔法で倒せるようにもなったんだ。


冒険者ランクは低いままだけど、僧侶ランクとレベルは、じわじわと経験値が上がっているんだよ。

でも、学園の授業もあるから僕の冒険は週一に逆戻りで、ランクアップにはまだまだ時間がかかりそう。


「ルル、冒険の前に無駄な体力消費は厳禁な。」

そう言って行きはアンディ君、

「ルル、疲れただろう?」

そう言って帰りはオスカー君、もしくは行きはメルク兄さまで帰りはランス兄上が抱っこで移動。


「・・・・・・」


実は、学園での移動も抱っこが多いんだよね。

ハヤト様もケント様もすぐ僕を抱っこしたがるんだ。

みんな歩いてる中、僕だけ抱っこ移動。

でも全く注意されないし、むしろそれが当たり前になっている風潮があるんだ。


――僕に体力がなかなかつかない原因って・・・


***


毎朝の定番になったラジオ体操第一は、音楽が流れる魔道具のお陰で何とか最後までできるようになった。

結構疲れちゃうけどね。


そうそう、第一と言えば第二もあるわけで・・・

第二って、何というか、動きが激しいし難しいんだよね。

ピアノの音も、第一は軽やかなのに、第二は重低音が多くて重いというか・・・


でも、第二の方はランス兄上とオスカー君とアンディ君に物凄く受けが良くて、ハヤト様主導で騎士系のみんなは毎朝第二をしているんだ。

第一はケント様主導で僕とメルク兄さまだけ。

でも、ケント様もメルク兄さまも僕が休憩している時に、笑顔で第二をしてるんだよね。


――みんな体力オバケで凄いなぁ。


僕もいつか、笑顔でみんなと一緒に第二を最後までできるようになりたいな。



PS.

 聖騎士団と神殿騎士団でも毎朝第二をするようになったらしいよ。

 第二って、筋肉にいいらしくて、大人気なんだって。


余談

お風呂の時に認識阻害の腕輪を外し、付け忘れた状態で食堂へ向かったのでした。


「あの美少年は誰だ!?」


と大騒ぎになりかけたのを魔法でうやむやに・・・

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