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神の眼
今刑務所の中に居る。
こう書くと大抵の人の誤解を招くので後数行書き足そう。
断じて罪を犯した訳ではない。
看守として夜間巡回しているだけだ。
時刻は二十二時を過ぎたところ。
房の中は二十一時に消灯しているので暗い。
懐中電灯で前を照らしつつ不審な動きをする囚人が居ないか眼を光らせる。
誰も好からぬことを企んでいないようだ。
囚人達がここに送られた理由は様々だ。
他人の家に勝手に侵入して金品を盗んだ者も居れば痴情の縺れから人を殺めた者も居る。
ここには金目の物も無ければ凶器になりそうな物も無いので同じ過ちを繰り返すことは無いだろう。
廊下側は鉄格子で天井には埋め込み式の照明と空調があり残りの三側面と床は真っ平らな凝固土である。
以前寝台の上に机を置きその上に椅子を載て天井の装置を外そうと試みた囚人が居たが本人が椅子に上がろうとしたところで寝台が重みに耐え切れず大破しただけのお粗末な結果に終わるということがあった。
尤も天井の装置は特殊な工具が無ければ外れないように出来ているので仮令天井に手が届いたとしてもどうしようもなかったに違いない。
そんな取り留めも無いことを考えている内に一周して事務室へ帰り着く。
本日二十二時の見回りは異常なし。
ここで目が覚めた。
罪への罰としてプライバシーの侵害は許されるのだろうか。




