園芸
古い付き合いの友人から植物の球根を譲られた。
友人の言うことにはこの球根は育ててくれた人の心の中の状態が成長する植物の色や形に深く影響を与えるとのこと。
植物はすでに球根の中に将来予定が詰まっているのだからそこまで大きな違いは生まれないだろうに。
読心術じゃあるまいし。
球根と一緒に渡された育て方の手引書によると陽当たりと水捌けの良い場所に球根の先が一センチメートルほど頭を見せるぐらいの深さで植え周りに十分な水をやること。
そして表面の土が乾燥しないよう小まめに水をやること。
まずこの二点を守ることが大切だという。
一週間経つと芽が出始めその後すぐに葉が出て茎が伸び始めた。
ここから第二段階でその植物の茎は折れ曲がり易いので風などに負けないよう五十センチメートル程度の支柱に成長に応じて茎の数箇所を軽く結わえることが大事なのだと書かれている。
この結わえ方が一筋縄では行かず苦戦を強いられる。
きつく結び過ぎると茎がその点より上に伸びることが出来ずに茎が撓んでしまい逆に緩く結び過ぎると茎が結び目から離れてしまい支柱が役に立たなくなってしまう。
一月半ほど四苦八苦した挙句蕾が現れ始めて漸く第三段階へ進む。
ここまで来れば茎の成長は止まるので枯れないように水をやるだけで良くなるそうだ。
それから十日経つと薄紅の淡い花が一輪咲いた。
ここで目が覚めた。
夢で育てたのは物言わぬ植物だが物言う生き物を育てる場合でも仕上がりまでには多くの苦労を強制されるだろう。
綺麗な花が咲けばそんな苦労も軽減されるのだが。




