一方通行
地方都市の市街地から少し山奥に入った場所に立地する無駄に高低差の多い大学構内。
教材を入れた鞄を背負って移動するのも一苦労である。
創立から何度となくなされたであろう増改築の悪影響で入学してから卒業するまで掛けても学内全体を把握することが困難なほど入り組んだ造りになってしまっている。
特に厄介なのが最近取り替え設置が進んでいる半開閉式の扉である。
外階段の出入り口に取り付けられているのだが、校舎内からは何時でも開閉できるが外側からは開閉できないようになっている。
防犯の一環として設置されているので利便性の阻害を楯に取替えを強く反対することもできず多くの学生や教職員が不満に思いつつ休み時間の度に昇降人で混雑する狭い内階段で移動している。
そのような中途半端なことをするぐらいなら扉を締め切りにして外階段を使用不可にしてしまえば良いと思うかもしれないが災害時に非難できないといけないからでられるようにはしなければならないのだ。
次の講義が別の校舎であれば外階段に出ても問題無いのだが勘違いで外に出てしまってから同じ校舎の上階だと気付くと一度一階まで降りた上で内階段を昇り直さなければならないという憂き目に遭う。
社会に出るまでにこうしたその場凌ぎの対策による理不尽な弊害をどれだけ感受しなければならないのだろうか。
ともかく自分が今しなければならないのは五階分降りて六階分昇ることだ。
ここで目が覚めた。
表面に現れている部分だけを取り繕って抜本的な解決を先延ばしにしていると早晩に進退谷まる。
ただ病巣を無害化するのは容易ではないだろうけれど。




