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問診

机に向かって甲でもない乙でもないと当意即妙な言葉を探りながら文章を紡いで行くという仕事を生業としている所為か常日頃から軽い頭痛や肩凝りや腰痛には慣れている。

だが今日は一段と頭痛の度合いが強く創作に差し障るのでこの近くの診療所に行くことにする。

木枯らし吹き荒ぶ街路樹の合間を通り抜け目当ての建物の門扉を潜る。

中は十帖ほどの広さで寝台が一台と椅子が数脚有るだけの簡素な造り。

入って来た方とは反対側にも扉があり奥にもう一部屋ある。

その部屋から白衣を着た人物が現れその人物に寝台の端に腰を下ろすよう勧められる。

自分がその通りにするとその人物は近くに椅子を持って来て座る。

どうやらここには受付は無くこの人物が一人で切り盛りしているようだ。

話し声も予約電話と同じである。

頭痛がするとの事ですがどういう痛みを感じますかという質問に始まり自分は何とか詳細に症状を訴えようと置かれている苦境を表す適切な単語を選ぶ。

だが適合する文句が浮かばず隔靴掻痒の思いに駆られる。

自分のもどかしい内心がその人物に伝わることは無くその人物は五つ六つ簡潔な質問から回答が得られた段階で徐に立ち上がると奥の部屋に行き少時後に薬の入った小瓶を持って現れる。

用法と用量を伝られ診察料と引き換えに小瓶を受け取るとその人物はお大事にと言いながらそそくさと奥の部屋に戻る。

歯痒く物足りない思いをしながら自分は暫し茫然とする。

ここで目が覚めた。

医師は患者の外見や言動を診る事でしか病気を探る事が出来ない。

外見に問題視すべき点は無いが思っている事を適切な表現が出来ずに悩んでいる患者は如何すれば良いのだろう。


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