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法廷

正面に裁判官が右手に検察官が左手には弁護士がいる。

そして先程から検察官にある夜の行動について執拗に問い質されている。

どうやら被告人として殺人罪に問われているようだ。

被害者とは一切面識が無いと主張したのだが事件の夜にアリバイが無いことや定職を持たないことなどを理由に一向に追及の手を緩めようとしない。

実行したことを誤魔化すために実行不可能な状況にあったと見せかける工作を弄することと実行可能な状況にあったかもしれないが実行しなかったという潔白を証明することとどちらが難しいのだろうか?

答えの無い疑問に夢の中ながら現を抜かしていたらいつの間にか検察官の舌鋒の矛先は弁護士に向かい法廷は弁護士と検察官の丁々発止の場と化している。

黒尽くめで甲高い声を張り合う二人。

すると見る見るうちに二人の容貌が変化し始める。

口先が尖り両足から鋭い爪が生え服が引き裂け瞬く間に二羽の鴉になる。

二羽は喧しく鳴きながら法廷を飛び回る。

傍聴者は白けた表情を浮かべながらぞろぞろと外へ出て行き裁判官はやれやれといった表情で事態を見守っている。

ここで目が覚めた。

結局二羽の鴉は自分がいかに優れているかひけらかそうと虚しい主張をして終わった。

少しでも気持ちのベクトルを他人に向ければ結果は全く異なっていただろう。


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