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第九章 覇道の旅の始まりですよとメイドさん

書く書く詐欺ですみません……夏風邪で体調を崩しており、ようやく投稿できました。更新ペースは相変わらず不定期になりますが、どうか見捨てないでください。

慣れない森の中を進む。木は高々と生い茂り、周辺に生える雑草は手入れをされておらず、鬱蒼としている。周囲に音はほとんどない。時折、野生の生き物たちが移動する音が――逃げていく音が聞こえるだけだ。僅かな羽虫の飛び交う音と、自分の息使いだけが聞こえてくる。足元から帰ってくるのはわずかな振動と、荒い息使い。



「……」



 それが何なのかをあまり認めたくなくて、というか、なんでこんなことになったのかを思い出そうとして、結局やめてしまった。思い出すととても疲れるからだ。

 あの後、冒険者たちを一度きっちりと捕縛し、色々あって、エルfの……エルフの少女たちの国についていくことになった。目的は勿論元の世界に帰る為の文献である。


 先ほどから一言も発していないのは、これが初めてのおつか……外出だからである。今までは外がどんなふうになっているかは監視モニターのようなものでしか確認していなかった……というのも、外がどういう世界であるのかはわからなかったためである。

 メイドさんは、ある程度の知識はあったが、当時の――つまりは彼が起動させる前の時代の知識しかなかったのである。無論、メイドさんの戦力を持ってすれば調査も不可能ではなかったが、それをしなかったのは単純に――彼が臆病だったことと、まだ自分がいた施設がどんなものかを把握していなかったこともある。


 こうして外の世界に出てみれば――まだ一部ではあるが、ちょっと奥地にある人の手があまり入っていない森と同じような物であるため、今まで怯えていたのが少し恥ずかしくなる。食わず嫌いと同じようなものだ。

 

 そんな自分に何とも言えない感情を抱いていると、何もしゃべらない彼を不安に思ったのか、膝の中に抱えていたメイドちゃん『1』がくりくりとした瞳をこちらに向けて心配するようにぺちぺちと頬を叩いてくる。


『だいぶじょ?』


 発声器官がないらしいので、メイドちゃんとの意思の疎通はもっぱら彼女たちが掲げるプラカードである。メイドちゃん自体は超高性能なのに、プラカードは超アナログで、ホワイトボードのように毎回きゅきゅきゅとペンを走らせている。その様子もまたほほえましいのである。可愛いのである。


「あ、うん、大丈夫大丈夫。いや、ほら、初めての光景だからね」


軽く笑いかけながら頭をなでると、太陽の様な笑顔をこちらに向けてくる。それ自体は可愛い、可愛いのだが、その真後ろにいる、残り七体のメイドちゃんのうらみがましい視線はどうにかならないのだろうか。

そして、加えて言えば。その更に後ろにいるエルf達の、メイドちゃんを見る微笑ましい視線と。ねっとりとした、もっちりとした、ぐにょっとした、 鼻息の荒い超・エルfが簀巻きの状態で固定されているのはどうにかならないものか。


そしてそして、更に更に言えば。


「へイへ~い! キりキり歩キなサイ!!」


 びし~ん、ばし~ん


 へい!! かしこまりやした!!


 的な。的な、実に楽しげに鞭を振って足元へと腕を振るメイドさんが視界に入ってくるのである。


 段差を乗り越えるたびに、微妙に傾くし、お尻の下の、今、彼等が乗っている台座のしたからは、十数名の男達の暑苦しい息使いが聞こえてくるのである。

 なんでこんなことになったのだろうか。外に出ること自体は文句はない。いずれそうしなければならなかったのだし、今回の事件はいい機会だったのだろう。

 だがしかし。こんなモノで出撃する必要が在ったのだろうか。と、考えずにはいられない。


「おヤ、我がご主人様マイ・アディスタ何ガそんナに気に入ラなイのでスか?」


「いや、そのね、気にいらないっていうかね、おかしいよね。これ、絶対おかしいよね。そりゃあさ、俺だって徒歩で森の中を歩きたくはないともったよ? だからってさ、なんでこういうことになるのかわからない。詳しく5W1Hで説明してくんないかな」


びしーん、ばしーん。


 おうふ。


 ひぎゃ。


 あふ


 おほぉぉぅ……。


 聞こえてくる音に、声に、彼は思わず頭痛を堪えるようなしぐさでコメカミを押さえる。その様子を心配したメイドちゃん『1』がなでなでしてくれる。とても心がほんわかするのだが、それだけでは誤魔化しきれないのだ。


「オカシイよね!? 普通ファンタジーって言ったら馬車じゃないの? 何コレ!?」


「HAHAHA、何ヲおッシャっテいルのヤら。こレコそが由緒たダシい……」


 びしぃ、と決めポーズナイトフィーバーで。


「覇道神輿でス!!」


「そんな神輿は存在しねえ!!」


びしーん


おぉほぉぉぉぉっぉう……(嬉)


鬱蒼とした森に、動力となって足を動かし、神輿を担ぐ、冒険者達と言う名前だった物達の悲鳴が、響いた。


悲鳴が、響いた。響き渡ったので、ある。


崩される森の平穏、平和。逃げ惑う動物達。声なき悲鳴に、ついにヤツが立ち上がる!! だがしかし、その目覚めは新たなる絶望への序章に過ぎなかった……次回、『メイドロボ、発進!!』


君は、メイドちゃんの涙を見る……


注)この予告には多大な詐欺が含まれるかもしれません。信じても責任はとらないよっ

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