第八章 その名はエルf
大変遅れました。まっこと申し訳ございません!!
ようやく仕事が一段落し、書く時間がある程度確保できそうです。
活動報告にて書いたシリアス系の新しいものに関してはもうしばしお待ちを。
とりあえず、最低月1回の更新をできるようにしたいなぁ……。
殺っちまっている間……ではなく、メイドちゃん達があのエルフに一斉に飛びかかった次の瞬間、勝負は決していた。何をどうしたのか、何処からか取り出した縄によって芋虫上に閉じ込められ、びくんびくんと痙攣しながら横たわっていた。
恐らく、何らかの技を喰らったんだろう。そのあまりの威力に身体がびくんびくんしているんだろう。決して恍惚としているわけではないはずだ。決して○○顔なんかしているわけがないはずだ。
その上で、一人のメイドちゃんがびしい、と人差し指を一本天に突き立て、腰に手を当てて御満悦なにやり笑顔と共にこちらに向けて盛大にアピールをしていた。
どうやら、彼女(?)が、あのエルフをふんじばった主犯らしい。ぐるぐる巻きになった
「我がご主人様、こレコれ、みテくだサい」
「見ない! 絶対に見ない!!」
メイドさんがちら見させてくるディスプレイに映し出されているものなどは知らない。
口の端からよだれを垂らして白目をむきかけて痙攣しているわけがない。そう。エルフはそんなことはしないはずなのだ。
そう、気のせいに違いない。気のせいったら気のせいだ。
これ以上エルフに対する憧れを失墜させたくはない。もうすでに手遅れな気がぷんぷんするが。あれがエルフだとしたらエルフとは一体何なのか。エルフのエルーフ!!が目覚めてえるふがえるふになってえるふるふるふるふrふrふるふrふhっる。
「はっ!? いけない、なんか変な扉をあけるところだった……流石エルフ……侮れねえ……そしてメイドさん、耳元でぼそぼそと妙な呪文を唱えないように」
「チっ」
「隠せ。だから、隠せ」
もはや無駄とも思えるツッコミをしつつ、エルフによって(精神的に)圧倒されて膝をがたがたと震えさせている冒険者もどき達を視界に収める。
リーダー格の一人以外はもう膝を地面につけ、両手を合わせて神に祈りながら目を閉じている。
気持ちはわかる。凄くわかる。あんなもの(覚醒エルフ)を見せつけられてしまえば、この世の常識が全て崩壊してしまったような気持ちになってしまうだろう。
まさに ハ ル マ ゲ 丼いや、ドン。最終戦争は近い。
エルフを仕留めたメイドちゃんの周りには、仕留め損ねた他のメイドちゃんが悔しげにプラカードを掲げて『ぬかげけ!』『そうしょ!!』などと言った文句をぶつけている。
指を天に突きつけているメイドちゃんはどこ吹く風。自信満々の笑みを浮かべながら地面に降り立つと、芋虫となったエルフの足を掴み、こちらに向かってくる。
ずるずる。がんっ「あうっ」
ずるずる。ごちゃっ「あへっ」
ずるずる。がこん「うはぅ」
ずるずる。ぼこん「へあっ」
床の出っ張りや窪みに引っかかるたびにバウンドし、変な声をあげるいもむs……エル……エルf。
そして彼の目の前まで来たメイドちゃん(1)は、まるでこれが今日獲ってきた来た晩御飯のおかずです、と言わんばかりにずい、と突き出してくる。
突き出す際、根本的に身長が足りないのでエルfの顔面が床によってざりざりざりと削られているのが見えた。
しかし、これをどうしろと言うのだろうか。とりあえず受け取って、勝利宣言でもしろというのか。それとも『エルf、獲ったどー!!』と叫べばいいのだろうか。
別に獲物でもないし、美少女かもしれないが、あの覚醒状態を見た今となってはどんな豪傑でもちょっとばかし“のーせんきゅー”したくなるだろう。
念の為、そっとすがるような視線を冒険者たちに向けてみる。
視線が合わさった瞬間、全員が見事に目を逸らした。
「ですよねー」
さて、これを本当にどうしたものか。いいかげんにどうにかしないと、持ちあげているメイドちゃん(1)が涙目になってきている。これはもうすぐ決壊して大洪水して土石流になって土下座して謝らなければならなくなるフラグだろう。
仕方あるまい。言葉はともかく、受け取らなければならない。受け取りたくないが。
間違っても、生け捕りにしたくはない類の物ではあるが。
そっと、そっと、恐る恐る手を伸ばす。それに従い、メイドちゃん(1)の顔が輝いていくのを見ると、なんというか、しなければいけない使命感に駆られてしまう。
負けられない戦いが、そこにはある。プライスレス。
彼の指が、しゃちほっこエルfの足に触れようかというその瞬間、びくんっ、とその体が打ち上げられた魚のように跳ね上がる。
突然といえば突然すぎるその出来事にメイドちゃんは叩きつけるように手を話し、ぴゅーっと走って彼の背中に隠れる。
「あつっ!? か、顔が熱っ!? 身体がいた……動けないです!? なんで簀巻きになって……」
ようやく自身のおかれた現状に気付いたようだが、先ほどの覚醒時の行動を覚えていないのか、ひたすらに困惑して、必死に縄を力ずくで引きちぎろうとしている。
しかし、根本的な身体能力が足りないのか、びくともせず、そうしてジタバタびったんばったんくねくねこねこねしている内に、視線が、怯えて隠れてしまっているメイドちゃん(1)へと向けられる。
ぐにん、と突然エビぞりになって背後を見てみれば、同じように肩を寄せ合ってがたがたと怯えているメイドちゃんズが。
怯えた視線、震える体。それらを統合し、何が起こったのかをその頭脳が高速で分析していく。
怯えているということは、何かに恐怖を感じている。
恐怖を感じているということは、それを与える存在ないし行動があったということ。
こんな可愛い子達に? ユルセナイ。
可愛いものは、ワタシのもの。
汚す者は、『ぐちゃ殺す』。
ばうん、とその場で、何の予備動作もなく跳ね上がるエビ。あ、いやエルf。
物理法則のその全てを無視して、弾かれるように、全身をしならせ、宙を舞い、元凶を絶つべく裁きの一撃を放つが如く、冒険者たちへと襲いかかる。
後に、彼等はこう述懐する。
あれは魔王だ。あんなモノを手篭めにしようとした自分たちが間違っていたんだ。
冒険者リーダー(36)
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめおなさいごめごめおgめおげ。
最近脇腹が気になる24歳
夢だ。これは夢だ。こんなことが在るわけがない。あってはいけないんだ。ふふふ。
信仰するのはツルペタ女神な16歳
神様!! もうバナナの皮を気になってる女冒険者の靴の中に仕込んだりしません。可愛いと思った 図書館の司書の服の中に入りこもうとしたりしません!! だから助けてください!!
怖い? これは愛さ!! な42歳
その他、以下省略。
彼等がその最後にどう思ったかは分からない。悲鳴が上がり、簀巻きなエルfが跳ねるたびに、肉を打つ鈍い音が鳴り響き、一人、また一人とその牙が敵達を仕留めていく。
宙に浮かぶ、出来そこないのシャチホコがその体を逆に逸らすたびに。美しい髪がその軌跡を追随し、一種のげいじゅt……悪夢を世界に発信する。
有り得ないものを、ヒトは古くから恐れた。死者の魂、死後の世界。そして、自身の理解を超える出来事。理解できないモノを恐れ、遠田家……ごふん。遠ざけ。
あるいは調伏しようと対抗しようとした。滅ぼそうとした。それを二度と見ないように。
だが、本当に理解しがたいものに対しては……その全てが無駄なのだと、彼等は――冒険者たちは、その心理に、最後の最後で、ようやくきづいたのだった。
全てが滅びつくしたその大地に一人立つ雄々しいその姿……本来ならば絵画にでもできそうなそのワンシーンの中心にそびえたつのは……。
「こノデきそコなイのチョくリツえビふラいガ!!」
「ひでえな!?」
新ジャンル『(物理的に)削られ系ヒロイン』
ヒロイン……ヒロ……イン?
ヒロインってなんだっけ。あれ、ヒロインって……?




