24.僕は冒険者2(エルの視点)
…………結論から言って、ダンジョリアの街はとても良いところだった。
アイステリア王国は比較的人間が多い国で、あらゆるものが人間よりの設計になっていて僕にはだいぶ住みやすい。
冒険者ギルドの依頼も、ダンジョン関係の依頼も多いが、ドワーフの街のように依頼が偏っているという事もない。
僕は日々、良さそうな依頼をこなしたりダンジョンを探索したりと充実した毎日を送っていた。
ギルドの人間関係も良好だ。
入国時の審査のお陰で他の国には居ることが多かった荒くれ者も、ダンジョリアの冒険者ギルドにはほとんどいない。
僕は受付のミレーネさんに色々とアドバイスをもらいながら、ミレーネさんの話では短期間でダンジョンを攻略していった。
しかし、ダンジョンも一人だと行き詰るときが増えてくる。
一人でもダンジョンを攻略できるように盗賊系スキルを持っていたが、それでも、ダンジョンの中に人間の手で同時にボタンを押さないと先に進めないエリアや、そもそも体力と防御力の量が多すぎて倒しづらいゴーレムなどにつまづき始めていた。
火力がある後衛が居たらいいのにな、と思う。
二人で前衛は動きづらいし、威力が強い魔法を使える魔法使いか精霊使いなどがいたらありがたいのに、と思った。
担当の受付ミレーネさんからは、
『ソロも報酬を一人で獲得できて素晴らしいですが、誰かもう一人ぐらいパーティー仲間がいた方が、さらに効率よく稼げますよ』
とのアドバイスを受けていた。
僕はその言葉に従って、素直に冒険者ギルドを通じてパーティー仲間の募集を出す。
……ここまででもうこの街に来て半年以上が経過していたが、この街は居心地がいい。
ここら辺で腰を落ち着けてもいいかもしれない、そう思ったのだ。
パーティー仲間の募集を出してほどなくして、ミレーネさんからはおすすめの仲間が見つかったと連絡があった。
向こうも同じような理由でパーティー仲間を求めていたらしい。
そして………………………………、
「私の名前はリア。よろしくです」
目の前に噂の妖精姫リアさんがいた。
抜けるように白い肌、金髪に菫色の目。
ダンジョリアの冒険者ギルドのちょっとした有名人だ。
日が浅い僕でもよく知っている。
杖を構えた様子などは童話に出てくる『姫を助ける良い妖精』そのものだという噂だ。
僕は今まで色々な国をまわっていたので、そこまでリアさんの美貌に心を動かされなかったが、その独特な浮世離れした雰囲気が気にはなっていた。
目の間でリアさんを実際に見ると、ちょっとドキッとしたがすぐに収まった。
事前にミレーネさんには、話を聞いていた。
リアさんは以前、いかつい冒険者に怯えるような仕草を見せた事。
リアさん自身の希望で、獣人以外を希望していた事。
しかし、程ほどに実力のある前衛を希望している事。
それらを踏まえると、確かに僕がパーティー仲間として適任だろう。
そこまで考えていると、
「? …………おっと……………前衛なのに眼鏡をかけているのが気になりますか?」
僕の眼鏡にリアさんが手を伸ばしてくるのに気づいて避けた。
さすがに眼鏡のレンズまで鷲掴みにしようとしてくるのはどうなんだろうか。
でも、前衛なのに眼鏡が気になったのか。
「剣士の僕が眼鏡なんて戦闘に邪魔なものしてて気になりますよね。安心してください。これは特注品でどんなに戦闘してもこの位置から落ちない魔道具の眼鏡なので」
そう、魔法でも治せなくて少し目が悪いから仕方ない。
そんなリアさんからの不思議行動はあったが、概ねダンジョン攻略については意気投合し、パーティーを組むことになった。
※この話も前の話も、微妙に入れようと思って、入れるところが見当たらない描写として、ダンジョリアの街の獣人に、
「親戚に狼獣人でもいるのか?」
とエルさんが質問されるというのを入れたかったです。(エルさんが少し狼の匂いがするから)
でも、そもそもエルさんはどこからどう見ても人間の姿をしているし(目くらましの魔法)、故郷の蛇の魔女の力によって、そこまで強い匂いはしないように対処されているし、それに普通に獣人のハーフやクオーター等の人間もいることから、そこまで追及されずにそっとされています。




