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ドアマットヒロインに番と名乗る獣人がやってきた。あなたの番が迎えに来たって? 番ですか、そうですか。さようなら  作者: ひとみんみん


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21.最後の思い出に素敵なダンジョン攻略を

本日2回目の更新です。

 パーティー『黒の炎』の最後の活動としては、後ちょっとで到達できる中ボスに挑戦することになった。


 もしかしたら私が積極的に誘導していたかもしれない。


 冷静に考えると、戦争に加勢しようとして後、2週間で故郷へ帰る人とダンジョン中ボスは攻略しないかもしれない。


 ………私はエルさんが居なくなるショックで頭が回っていなかったのだろう。


 もはや、


『好きだからずっと一緒に居て』


 という言葉も、今言ったらただ単にエルさんを無理やり引き留める卑怯な言葉に成り下がってしまう。

 私を好きっぽいからなおさらだ。


 エルさんと一緒に最後中ボスをクリアして、お金をたくさん稼ぎ、戦争で大変な国へ帰るエルさんにお金をいっぱい持たせる。


 そんな事を漠然と考えていた。



 今までのゴーレムのフロアや様々なギミックを抜けたその先の中ボスは、中ボスにふさわしい様相だった。

 私は手元のギルド発行のモンスター図鑑を見る。

 そこまで詳細なわけではないが(そこそこ深い層であるため)、綺麗な絵でボスの絵が描かれている。

 大きなリンゴの木の形をしたモンスターで、当たったら消えるリンゴを飛ばしたり、するどい枝で攻撃してくるらしい。

 私は、木のモンスターに有効である火の魔法が得意だし、今まで慎重にあまりフロアを進みすぎないように堅実にエルさんとダンジョンを攻略してきた。

 全ては日々の生活や老後の生活の為だ。


 エルさんとパーティーを解散してもやっていけるようにしないと。

 異世界で初めてパーティーを組んだのがエルさんで、すごく一緒に居て楽な人で、でも、いなくなるからちゃんとやっていけるようにしないと。



 ……………………………

 ………………………………

 ……………………………………


 色々な事を考えつつも、程ほどに魔力も体力も温存して、危なげなく中ボスのドアの前まで来た。

 エルさんと戦闘の準備を確認しあってから、前衛のエルさんがドアを開ける。

 ドアを開けたら後戻りはできない。


 中ボスだからなのか、私たちが二人ともドアをくぐってから、ドアが閉まって消えた。

 前世の体育館以上に広い室内が明るくなっていく。


「え。黒い?」

「リンゴの実も黒いですね」

「レアボスかもしれない」

「……そ、そんな」


 明るくなった室内に生えていたのは、巨大な黒っぽい木だった。

 たしか、モンスター図鑑では赤かったはずのリンゴが、どす黒い赤いリンゴになっている。


 レアボスなんて、そんな事ってあるんだろうか。

 聞いたことがない。


『林檎はいりませんか? おいしいおいしい毒林檎だよ」


 木の幹にパックリと裂け目が入って、赤黒い光る眼と大きな口が現れた。

 喋るボスは初めてだ。


 木に実っているリンゴがブルブルと震えた。


「エルさん! リンゴ飛んでくるかも!」

「分かりました!」


 昔、前世でゲームをやった影響で、そういう怪しげなモーションの後にはそういう攻撃が来ると思う。


 私が言った通り、すごいスピードで飛んできたリンゴをエルさんが横っ飛びに飛んで避ける。

 壁にまで飛んでいきぶつかったリンゴは何故かシュウシュウと壁を溶かした後、消えた。


「当たるとまずいですね」

「うん………」


 エルさんが長剣をギュッと構えなおす。

 私も最近新調した杖を構えなおした。

 火魔法の強化をしてくれる杖だ。


「ファイヤーアロー!」


 私はとりあえず打ち合わせ通りに、エルさんがヘイトを稼いでくれるのを信じて、火魔法を撃ち始めたのだった。

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― 新着の感想 ―
フローリアちゃんの 花は要りませんか? 一輪銅貨50枚です を思い出しました。 2回更新ありがとうございます。 
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