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ドアマットヒロインに番と名乗る獣人がやってきた。あなたの番が迎えに来たって? 番ですか、そうですか。さようなら  作者: ひとみんみん


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20/21

20.パーティーの解消?

 …………

 …………………

 ……………………………


 魔力酔いの後の後遺症も無事元通りになった後、しばらくエルさんとの和やかな日々が続いた。


 エルさんは、時々私を幸せそうに見つめてくるけどそれ以上は何も行動を起こさない。

 私たちは、一緒に無理なく冒険をして、一緒に時々食事をして、時々街に遊びに出たりして、それだけなのだ。


 エルさんは気が付くと、いつも私の側にいる。

 いつも私の意見を優先してくれて、話を聞いてくれて、もちろん前衛として仲間としてだろうけれど、私を守ってくれる。

 それが当たり前になってしまって、冒険者なのに前世も含めて今世共に、今が一番穏やかな日々を過ごしていた。


 きっと、私が年をとっても一緒に居てくれそうだ。


 でも、仲間という以外に約束はない。

 エルさんは、私がパーティー仲間という以外に一緒に居てくれる理由はあるのだろうか。


 この、世間知らずでちょっとすごい魔法を使えるぐらいしか取り柄のない私と、ずっと一緒に。

 最近は、少しでもエルさんが離れると寂しい。

 私はとてもわがままになって、エルさんにはエルさんの生活があるのに、いつも一緒に居て、あのエルさんの穏やかな微笑みで、私の何気ない話を聞いてくれたりしてほしいのだ。


『あなたが好きだからずっと一緒に居てほしい』


 まだ、自分のこの気持ちが何なのか分からないのに、最近そんな事を言ってしまいそうな自分がいた。



 ――そんな事を考えていたある日。


「えっ?! エルさん国へ帰るの?」

「……本当にすみません。………元居た国で戦争が起こりそうで、『無理にとは言わないし、そちらも事情はあるだろうが、………そろそろ帰ってきて欲しい』と手紙がきまして、僕も心配だから行かなくては、と……」


 心苦しそうに途切れ途切れに話すエルさんに、とっさに私は、


「……そっか」


 としか返せなかった。


 そういえば、『ワタオオカミ』の小説にも『ミハエルが貴族間の戦争』に駆り出される描写はあった。

 異世界には日本と違って、やっぱりそういう争いはあるのだろう。

 残念だけれど。

 なんか、日本では戦争をあまり意識しない日常を送っていたので、あまり現実感が湧かなかった。


 それはさておき………私にも何かできることはあるだろうか?


「………リアさんには申し訳ないですが、どのくらいでケリがつくか分からないので、『黒の炎』のパーティーを解消させてください」

「……えっ?? 私もパーティー仲間として一緒に行くんじゃないの?」


 私は戦争で人を攻撃することはできないかもしれないけれど、転移魔法が使えるし、水も出せるし火種も提供できるし、何かエルさんの助けになれるに違いない、……そう思っていたので、エルさんのパーティー解消の申し出は驚きだった。


「いえ、それで……すみませんが、国に帰る前に話したいことがあるんです。だ、大事なことで。……お時間とってしまってすみませんが」

「話って何?」


 私がすぐそう返すと、エルさんは話しづらそうに俯いて、


「すみません、帰る直前に話させてください」


 とだけ言った。

 聞けば、ここから獣人の国は遠くて街道もあまり整備されていないので、今から2週間後に別の用でそちらに向かう商人のキャラバンと一緒に行くらしい。

 

「転移魔法で途中まででも送っていこうか?」

「いえ、ここから結構遠いですし、瞬時の大量魔力の消費で飛んだ先で魔力酔いで倒れないとも限らないですし、大丈夫です。道中に出る素材を集めながら行きますし」

「えー…………そっか」


 エルさんにそう言われると、私も100パーセント大丈夫とも言えなくて、渋々無理やり自分を納得させた。

 確かに戦争の為に帰るのに、転移先で倒れた私の看病というわけにもいかないだろう。

 え、ということはエルさんの国の戦争が終わるまではエルさんに会いに行くこともできないって事?

 転移魔法でも、馬車で移動でも、戦争始まるっていう国に訪ねていって迷惑かけるわけにもいかないものね。

 もちろん、


『戦争っていつごろ終わりそう?』


 なんて質問ぶつけるのはあまりにも人として終わってるし。


 パーティー『黒の炎』は、これで終わりか。

 後ちょっとでリンゴを落としてくる木のボスだったんだけれど。


「最後までパーティー活動はします。あとちょっとですが、よろしくお願いします」

「……うん……」


 私はエルさんの言葉に、自分勝手なモヤモヤしたものを感じながら頷いた。

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