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ドアマットヒロインに番と名乗る獣人がやってきた。あなたの番が迎えに来たって? 番ですか、そうですか。さようなら  作者: ひとみんみん


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17.不可抗力だけど、あの狼さんには少しかわいそうな事をしたなあ。

「はっ…………???」


 気づくと、見知らぬ薄暗い部屋の中にいた。


 寝てる体勢のままキョロキョロすると、私はベッドに寝ていて、傍らにはエルさんがいた。

 椅子に座って天井を仰ぐように目を瞑っていて…………寝ている?


 エルさんと私は何故か薄っすらと光るひもで繋がれていて、これまた異世界に転生してならではの初めての感覚だったが、エルさんに繋がっている紐を介してエルさんから魔力が流れ込んでいる。


 そこまで私がぼんやりして見ていると、エルさんがパチッと目を開けた。

 素早い動作でベッドのサイドテーブルのランプを眩しくない程度に点けてくれる。

 …………まだまだ部屋の中は少し薄暗いので、落ち着く。


「…………あっ? 起きましたか? 良かったです!」

「たしか私、スタンピードの時倒れた…………?」


 そう、確かスタンピードが終わったって思った後、確か目の前が真っ暗になって…………?


「そうですそうです。どこか痛い所とかだるい所とかはないですか?」


 エルさんが眉根を寄せて心配そうな顔をする。


「大丈夫です。ご心配をおかけしました」


 私の返事を聞いて、エルさんは頷いて紐をそっと外した。


「リアさんは魔力の枯渇と最大までの補充を繰り返すと稀にある『魔力酔い』の状態だったとギルドの医者が言っていました。なので、安定するように、僕の魔力を流して『酔い』の波を調整する処置を行っていました。だけど、そんなにショックを受けるのは更に稀な事だと…………っ」


 エルさんが語尾を詰まらせた後、唐突に涙を流した。

 ボロボロと後から後から大粒の涙が頬を伝う。


「エルさん、心配かけたね」


 思わず手を伸ばしてエルさんの黒髪を撫でた。

 柔らかい…………でも、何か…………指先に何か不思議な凸凹が触れた…………え?


 しかし、手が一往復するかしないかの内に、


「あっ、僕お医者さんを呼んできます。泣いたりしてすみませんでした」


 と言ってエルさんが立ち上がって、眼鏡をかけたまま隙間から涙をぬぐうという器用な事をした。

 足早に部屋を出ていく。

 私はちょっとその唐突さにびっくりしながら見送った。


 …………え? 今、エルさんの目がちょっと光っていた?


 んー……………………、まあ、異世界人だからそんなこともあるのかな?


 そう。前世の詳しい経緯を気を失っている間に夢で見たけれど、今世は、ずっと屋敷からほとんど出ないで下働きをしていただけあって、この世界では本当に私は世間知らずなんだよね。

 4歳からはずっと下働き。


 むしろ、20代後半まで生きてた前世の地球でのことの方が遥かに知ってるまである。

 多分、前世の最後はそこまでよく覚えてないけど、バスにトラックが突っ込んできた瞬間からして、私の人生がそこで終わったのかな?

 メディア系の仕事をバリバリしてたなんて、ずいぶん私頑張っていたんだな。


 …………そんな風に私は半ば他人事のように前世を思った。


 …………そして思い出したこの世界のお話であるライトノベル『家族に虐げられていた私ですが、迎えに来た番と幸せになります~私と狼さんの幸せな結婚生活~』。

 よくよく思えば、多少気持ち悪かったとはいえ狼の獣人のミハエル・ミスト・シルフィにはかわいそうな事をしたかもしれない。


 私はベッドの上で、うんうんと一人頷いた。


 まあ、気持ち悪かったんだけどそれはミハエルくんが悪いことをしたわけではなくて、本の通りに動いていただけ。

 狼の獣人設定だし、人間には分からない文化や常識があって、そしてライトノベルの世界だし、魔法もあるこの世界ではきっとどこかに神様もいて(多分?)、ミハエルくんを私に出会わせるために動かしたんだろう。

 前世の私は『恋愛って素敵』みたいな事を思ってたっぽいし、この世界に転生させられて(?)いるのもそんな経緯なのかな?


 前世を思い出したとき、ライトノベルの詳しい内容まできちんと思い出していればまた話も違っただろう。

 少なくとも、まずは下働きの身分からはやっぱり助けてもらって落ち着いて話をしたかもしれない。

 自分は貴族だったりしたからその問題を片づけたり、後は、ライトノベルの内容的にミハエルくんの国の戦争を助ける話もあるからそれを様子を見にいったり。

 あの時ミハエルくんがあんなに強引に迎えに来たのは、どうも番が見つからなくておかしくなってたぽいし。

 その後は何も無理強いしないでプラトニックだったぽいし。ライトノベルの内容から考えると。


 色々考えて、頭を動かしすぎてちょっと気持ち悪くなって、またベッドに横になった。


 …………また、少しずつ色々考えていこう。

 今はミハエルくんはもう側にいないわけだし。

 少しずつ。


 バタンッ!!


「リアさんっ! 大丈夫ですか! お医者様を連れてきましたっ!」


 ミレーネさんがドアをすごい勢いで開けて部屋に飛び込んでいる。

 ミレーネさんも泣いていた。


 心配してくれた人に失礼だけど、私はちょっと笑った。


「大丈夫だよ、ミレーネさん。心配かけてごめんね」

基本的に、アメリアは前世も含めてお人よし……な気がします。

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