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僕を知らない僕  作者: 太秦佑助
第二章
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【エアーという男 ベイパ×エアー】

この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。

「ベイパさん。もう七人しかいません。サッカーチームが作れなくなりました。どうやって、ウークたちを倒すんですか。」

と突然、エアーがベイパに話しかけてきた。

「何を言っているんだ。エアー。どこに行っていたのだ。」

とベイパはエアーの突然の出現に驚いた。

「ずっと、いましたよ。あなたの後ろで。あなたがいなくならないようにずっと見守ってました。」

とエアーは恐ろしげな顔で言う。しかも、エアーの笑顔が不穏な空気を醸し出している。

「だが、後ろを向いたがお前はいなかった。ほかの者たちも誰もお前のことなんて見なかったって…」

とベイパはお化けを見たかのように言った。

「考えてください。ベイパさん。私はみんなよりも三十センチメートルほど背が低いのですよ。しかも、こんな暗闇であなたが私の高い声に口笛を重ねるのですから、そりゃあ、誰にも私の声は届きませんよ。だから、私はずっとここにおりました。絶対にです。」

エアーは怖がっているベイパを落ち着かせようと言い聞かせた。

「ほんとか。ずっと私の後ろにいたとは考えにくいのだが…」

ベイパはエアーの言葉を信用することはできなかった。お化けに「私は怖くないよ。」と言われ、怖くないと思う人はベイパと同じようにいないであろう。

「私を疑っているんですか。ベイパさん、あなたは私に借りがありますよね。」

とエアーがベイパに言うと、

「借りとは何だ。」

と驚きの顔でエアーを見た。

「その借りっていうのは、私たちがあの部屋から逃げるときですよ。あなただけ靴を履いていませんでしたよね。もし、私があの靴を持って来なければ、今頃、悪臭ひどい液体に素足で触れていたことでしょう。あなたは知っていますよね。この液体が危険だっていうことを。あなただけが違いました。誰もしないことをあなたはしていたんですよ。」

と虫を観察する学者のようにエアーは言った。

「いや、何もしてないが。」

と、ベイパは冷や汗をかきながら言う。

「いや、しています。あなただけズボンの裾を靴下の中に入れて液体が肌に飛び散らないようにしていたではありませんか。まあ、それは意味ないと思いますけども。」

とエアーが言った。

「ただ、私は汚いものが肌に触れるのが嫌だっただけだ。」

とベイパは言い返した。しかし、エアーも

「いや、違います。キレイ好きにしてはこの液体を見て、吐きそうな顔をしてなかったです。ほかの人と違って。」

と言い返してきた。

「お前の勘違いだよ。お前は何が目的だ。」

とベイパがエアーを疑うと、

「目的ですか。あなたのしもべになることです。ベイパ様」

と、急にベイパのパシリのように返事をした。

「私のしもべ? 馬鹿を言うな。お前みたいなしもべなんて、私にはいらんぞ。」

空気よりも影の薄いエアーは、ベイパにとっては気味の悪いものでしかなかった。その気味の悪さが、ベイパにとって幸運をもたらすとはこの時は誰も知らない。


何の幸運がもたらされるのかを私たち読者は考えるでだろう。しかし、この幸運はベイパの幸運であって、私たち読者の幸運とは限らない。ましてや、ウークや小早川秀冬にとっては不幸だといえる出来事かもしれない。いや、幸運なのかもしれない。どちらでもないのかもしれない。エアーはベイパにとって幸運をもたらすキーパーソンという事実はどんなことがあろうと変わることはない。また、人の見方によって正義というものは変わる。だからこそ、ウークと小早川秀冬は一生お互いに理解しあうことはできないでだろう。相手を理解するには、自分自身が折れないといけない。しかし、この二人は自分自身の核となる考えがぶつかり合っている。

もし、この核となる部分が折れてお互いに理解しあえたとする。だが、自分の核を捨てた人は自分ではなく、他人になる。他人になるということを受け入れることができる人がいるだろうか。もしも、そういう人物がいるのであれば、そいつは馬鹿でも阿保でもなく、空っぽの存在であると私は考える。私は空っぽの存在が悪いとは言わない。しかし、自分を否定してまで生きていけるのかが私は不思議で仕方ない。エアーはそんな存在である。ただ、エアーは凶悪な人間であるとともに、自分自身を否定してもなんとも思いもしない。だからこそ、自分自身を大切にしていたとしても自分の考えは全く主張しない。私には何が正しいのかは決めることはできない。だが、自分の核となる意思を捨て、自分を生かすのか、自分の命を危なくしてでも、自分という存在を否定しないのか。どちらが正しいとかは私もわからない。しかし、一つ考えられることは互いに失うものは大きい。それが大きいからこそ、きっと人は中途半端な考えで人と話し、互いに軽蔑しあい、争うのだろう。また、私は理解できないと言ったが、自分を殺さず、相手を理解できる方法がある。それは想像だ。簡単に言えば、第二の人格を想像の中に生み出し、相手の気持ちを理解することであろう。しかし、理解しても決して自分自身を折ってはいけない。もし、折れてしまえば、自分自身を否定することになる。すなわち、相手を理解しようとしても無駄だ。相手の気持ちに寄り添うとは第二の人格があってこそ、相手の気持ちが分かるものである。意見が違う人を人々は排除する。もし、皆が理解しあえるならば、戦争なんてものは存在しない。私たちは第二の人格がいま必要だ。だからこそ、何度も言うが、第二の人格を自分の中から呼び覚まし、この続きの物語を読んでもらいたい。そして、第二の人格は誰もが厨二病というだろう。しかし、人々は違う考えを馬鹿にしたくなる傾向がある。そして、今この物語も読むのをやめようとしているのではないであろうか。ここまで読んだのであれば、面白さというよりも自分自身を否定されたと感じているだろう。確かにそうであろう。私は他を否定してしまう。何故なら、自分の核を曲げたくないからだ。しかし、相手を理解することは努力する。だが、自分の意見を曲げたくないのであれは決して折るべきではない。例えば、電車内で痴漢にあったとしよう。私は、自分を汚されたくないから相手に抵抗するだろう。しかし、相手を理解するために自分の核がない人は痴漢行為をされても我慢し、抵抗することは一切しないであろう。全く違う話であるが、自分が嫌な気持ちをしてまでも相手に屈することはないと私は考える。それが民主主義といえる。だが、モッカ帝国は独裁国家である。ウークみたいな考え方の人は排除される。ちなみに、南の蛮族は私が言う民主主義であるから、これだけは覚えとけよ。他人と同じ考えや行動がいいと感じるのであれば、それは社会主義でいいと感じる。しかし、自分の意思が他人に受け入れなくても発言することができるのが民主主義であると思う。民主主義でもなく、社会主義でもなく、自分の意見を押し殺してまで生きることは、権力多数派主義だといっていい。権力多数派主義とは、多数派の意見に合わせ、たとえ間違っていたとしても少数派の意見に聞く耳を持たないということだ。だが、多数派や力を持っている人が正しいとは限らない。決して、正しい答えは一つではない。その意見が少数派の意見だとしても誰も間違いとは言い切ることはできない。


次話、10月30日17時から公開予定です。

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