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僕を知らない僕  作者: 太秦佑助
第二章
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【ベイパ一の口笛】

この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。

その頃、ベイパの一行では知らないうちに人が減っていっていた。今では七人しかいない。ウークたちと離れた時には二十人ほどいたが、一人ひとりが闇の中に消えていった。一人一人が闇の中に消えるというが、なぜ消えていったかもわからない。宇宙空間にいるかのように音が聞こえない。叫び声さえも聞こえない。唯一、聞こえてくるのはベイパの口笛だけだった。誰も知らぬような曲の口笛をふいていた。その口笛を邪魔するものは誰もいなかった。なぜなら、その口笛がこの恐怖から守ってくれるような気がしていたからだ。口笛で矢が飛んでいくはずでもないし、物理的なものから守ってくれるわけでもない。だが、安らぎを与えてくれた。その安らぎこそが恐怖心による緊張感をやわらげ、不可解な事件を起こすとも知らずに。

確かに、おかしい。何度も言うぞ。こいつらは馬鹿なんだぞ。一般的な物語であれば、何人も人が消えたら恐怖におののき、なぜ消えたのかと考えるはずだ。しかし、この馬鹿たちは人が消えたことよりもその不可解な謎を帳消しにすることで安心感を得たいと感じている。だからこそ、その謎は誰かが解決しようとしなければ、何も分からないであろう。そして、消えたものはどこに行ったのか。この施設のものに連れ去られたのか。化け物に襲われたのかは分からない。一つわかることは、誰かが消えているということだ。しかも、ベイパの周りでない人からいなくなっている。だからこそ、ベイパにも犯人の検討がつかない。というよりもベイパは自分のことだけに必死なように思えた。その必死さがこの口笛に表れているのではないか。他人をいやすためではなく、自分を守るために口笛を吹いていた。そもそも、エアーはどこに行ったのか。エアーも闇に飲まれたか。だが、こいつらがバカでよかった。そのおかげで無駄な時間を使うことはない。悩む時間を使えば、食料までの道は遠くなり、犠牲はもっと増えるだろう。その犠牲こそがいらない犠牲であろう。このグループには何というか。ウークというリーダーはいない。だからこそ、崩壊しやすいグループともいえる。ベイパにはここを従えるという器はあっても、その気はない。なぜか、みんなの中心にあえて入ろうとしない気も感じる。このグループにはもっと悲劇が起ころう。一つ言うが、ゾンビは出てこない。それだけは確かだ。


次話、10月29日17時から公開予定です。

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