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僕を知らない僕  作者: 太秦佑助
第二章
13/34

【施設長の正体 施設長×部下】

この物語はフィクションであり、登場する組織や人物は実在のものとは一切関係ありません。また、物語には独特な考えが表れますが、これは物語を読みやすくするための要素であり、私個人の信念とは異なります。この点を理解いただいた上で、物語をお楽しみいただければ幸いです。

「施設長、この排気口の出入り口に見張りを立て、中も確認しましたが誰を見つけることはできませんでした。奴らはすでに逃げているかもしれません。」

と部下が汗を垂らしながら施設長に伝えた。

「いや、この寒さで防寒対策をせずに外に出られるわけがない。そして、ここは孤島ぞ。泳いで逃げる阿保がいるわけがなかろう。」

とまたも施設長は自慢げに言葉を発する。

「でも、施設長。いなかったんですよ。排気口には…」

と部下は施設長に対して、事実を伝えた。しかし、この部下の足は小刻みに震えていた。

「ちょっと待て。ここって本当に排気口なのか。外から冷たい風が入っているんだよな。」

と部下に施設長は再度確認する。

「はい、そうです。しかも、ここの前に棚があったのも寒さ対策らしいです。」

と部下は施設長に伝える。

「確かにそうだな。ここから逃げるのであれば、寒さに徐々に堪えられなくなる。であれば、奴らは引き返してくると思う。しかし、この排気口には誰もいない。と考えるとここは、給気口なんじゃないのか。となると、空気の流れも納得いく気がする。なら、排気口の場所はどこだ。この施設の設備に詳しいものを連れてこい。その間に、こいつから情報聞きだすから。多分、こいつ馬鹿だからいい情報なんて一切ないと思うが。」

と施設長は部下に指示すると、モヤシがいる尋問室に向かった。なぜか、施設長は笑顔でモヤシに尋問し始めた。

「拷問しなくても簡単に話してくれるよな。まあ、お前が答えなかったとしても、お前の仲間がじきに助けに来るから、お前の目の前で一人ずつ殺してやるよ。」

とモヤシに対し、施設長は当然の顔で脅す。しかし、そんな脅しにも屈さずモヤシはある生意気な言葉を返す。

「あいつらは死なないよ。しかも、仲間でもない。あと、思ったんだけど、あんたは誰だ。」

とモヤシが聞くと、

「生意気だな~。まあいい。俺は、かの有名な羽柴一族の小早川秀冬だ。」

と施設長は誇らしげに答える。

「羽柴一族ってなんですか。有名なんですか。どうみても猿一族じゃないですか。猿とか阿保の一族ですよね。」

モヤシは、小早川秀冬の尊敬している一族を馬鹿にした。すると、小早川秀冬は閻魔様よりも恐ろしげな顔で怒った。

「阿保ではない。次、お前が阿保とか言ったらいてこますぞ。お前は馬鹿だから知らないと思うが、我ら一族は元百姓であった。しかし、羽柴秀吉さまがくそ織田家で四天王まで成り上ったのだ。だがな、くそ蛮族民によって、くそ織田家は支配されてしまった。しかし、秀吉さまはくそ織田家で唯一、我らがモッカ帝国側へ下った英雄ぞ。秀吉さまは蛮族から我らの家を守ったんだぞ。その後、蛮族から離反した小早川隆景さまと秀吉さまの妹・旭さまと結婚したのだ。その二人の間に秀秋さまという男の子が生まれた。その秀秋さまの子孫が私だ。我らは秀吉さまの直系の一族であるわけではない。しかし、秀吉さまの子孫であることを誇りに思っておる。だからこそ、羽柴一族として誰もここから逃がすことはない。あと、お前ら蛮族の一族を見ると殺したくなるんだよ。お前らが殺されないのも帝王様に感謝しな。」

と小早川秀冬は怒りをモヤシにぶつけた。

「蛮族の一族って何だ。教えてよ。」

モヤシは小早川秀冬をあおるように質問した。すると、モヤシの質問に耳をふさぎながら小早川秀冬は部屋を出ていった。

蛮族の一族とは何なのだろうか。モヤシはその疑問に頭を悩まされた。蛮族の一族は南にいる。あと、モヤシはここにいる捕虜は蛮族の一族だということが理解できた。この施設は、モッカ帝国にとらえられた南の蛮族を収容する施設なのか。なぜ、モヤシたちを兵士として育てているのかがわからない。でも、ひとつ確かなのは我ら一族が危ういということである。ここにいるものは皆、家族である。モヤシは寝ている捕虜たちをさらに見捨てることができなくなった。そして、ウークと同じ蛮族であったこともなぜかうれしかった。と同時にウークは何者であろうかとさらに知りたくなった。


次話、10月28日17時から公開予定です。

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