7-7
「じゃー行こうか。あっ、西岡君は彼と一緒に頼むな」
芝浦は谷奥と共に離れていった。
「どうもはじめまして。城川と言います。では、こちらへ」
城川は、芝浦と同じぐらいの歳だろうか。
「西岡さんの持ち場はこちらです。あっ、東君、教えたってくれますか?」
その東という男性は、拓斗と同じ帽子を被っていた。三星自動車では、派遣会社が4社入っている。そして派遣会社がわかるように帽子に派遣会社の名前が入っているのである。
ラインはもうすでに動いており、東は体を動かしながらこちらを見ている。
「あっ、はい。よろしくです」
東は、拓斗を見て軽く会釈をしてくれた。
「じゃーあとは、東君に聞いてくださいね」
城川は、拓斗と東に会釈をすると、違うところに行ってしまったのだった。
「よろしくお願いします」
拓斗は、東の邪魔にならないように少し離れ、東の動きを目で追っている。
「よろしくです。東です。午前中は僕の横について見ててくださいね。見ていると簡単そうに見えるけど、やってみたらなかなかできないですよ」
東は、体を動かしながら、作業の順番を教えてくれている。
拓斗のいるラインは、塗装が終わった車が、一番最初に流れてくる場所だった。
なので、拓斗の班が一番最初のラインなのである。
一台の作業時間は、約40秒で、拓斗の作業は5行程ある。
東はかなり余裕であり、次々と仕事をこなし、拓斗に細かく説明してくれた。
午前は時間が過ぎるのが早く、すぐにお昼になった。
「どうでしたー?西岡さん。俺のほうは結構たいへんそうでしたよ」
食堂へ芝浦と一緒に向かっていた。
「見てる分には簡単そうなんだけどなー。やってみると難しいんだろうな」
「そうですよね。車は待ってくれないですもんね」
芝浦も不安が隠せない様子である。
「あれ、西岡さんお弁当なんですか?」
芝浦は、一番安いランチを選び、空いている席へと座った。
「あー、嫁が作ってくれたんだよ。ほんと感謝だよ」
「奥さんっていいですよね。俺も早く結婚しようかなー」
「結婚相手はしっかり選べよ。でないと結婚してから後悔するぞ」
「西岡さん結婚失敗したんですか?」
「まぁー、そんなところだ」
「そうなんですか・・・やっばり結婚って大変そうですもんね」
拓斗は、深くは語らなかったが、結婚はよく考えてするものだと芝浦に言い聞かせたのだった。




