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12月31日。大晦日である。
愛の親、佐々木義雄と昌子は大和の家に来ていた。
「大和君、もう大晦日だよ。愛はいったいどこへ行ったの?」
昌子は、なんの情報も得られないままで不安がつのるばかりだった。
「俺が聞きたいですよ。まったくわからないんですから」
「捜索願いは出したの?相手の奥さんは出したみたいだけど」
2日前、香奈が佐々木家を訪れた。
散々、愛のことをバカ呼ばわりし、どこへ行ったのかを聞いてきたのだった。
そのときに、捜索願いを出したことを言っていたのだった。
「そうですか、香奈が捜索願いをね。じゃーこっちまで出さなくていいんじゃないんですか?」
「まだ一緒にいるとは限らないでしょ・・・」
「そんなの一緒にいるに決まってるでしょ。どっちにしろ、警察なんてあてにならないから無駄ですよ」
大和は、半ば諦めかけていた。どうせ四人で楽しくやってるんだろう。そんなことを考えると、余計に腹が立ってくるだけだったのだ。
「とにかく、こんなんじゃ正月も迎えられないよ。何かいい方法はないのか?」
義雄も昌子と気持ちは一緒だった。
「今更どうしようもないですよ。そのうち帰ってくるんじゃないですか」
「そんな簡単なことじゃないでしょ。とにかくもう少し探してみて。私達も探してみるから」
「はい、わかりました」
義雄も昌子も、大和の楽観的な考えが信じられなかった。
自分の嫁と子供がいなくなってるのに、もうすでに諦めている大和が信じられなかった二人であった。
二人が帰ったあと、大和は1人でイライラしていた。
もし、愛と子供が見つかったとしても、自分の元には戻ってこないのがわかっているからである。
もちろん、愛が拓斗を取ることは100%間違いない。桜も向日葵も、愛のほうへ行くのは間違いないだろう。
大和は、考えれば考えるほど嫌になってくる自分がいた。
「どうせ、四人で楽しくやってるんだろう」
大和は急に吹っ切れたのか、携帯を手に取り、耳にあてた。
「もしもし、莉那かっ。元気にしてるか?」
電話の相手は、大和の不倫相手、佐々木莉那だった。
「今日うちに来ないか?一緒に大晦日過ごそうよ」
「いいの?奥さん出ていって大変なんじゃないの?」
愛が出ていってからも、何度か莉那と会っていた大和であった。
「もういいんだ、諦めたよ。一人で年明けるのも寂しいしな」
「大和が寂しいなんて珍しいね。どうしたの?」
「どうしてかな・・・今までは何も思わなかったけど、いざ一人になったら案外寂しいんだよ」
「そうなんだ。莉那は大和君と一緒にいれるから嬉しいけどね。待ってて、すぐに用意して行くからね」
電話を切ったあと大和は、静まり帰った家の中で、何もする気になれず途方に暮れていたのであった。
1時間ほど経ち、莉那が家に到着した。
「待ったー、ごめんねー遅くなっちゃってー!!」
莉那は、大和の顔を見るなり、鞄を放り投げ大和に抱きついたのだった。
「なぁー莉那?ずっとこの家で俺と一緒に暮らさないか?」
「えーいいの?もう奥さん帰ってこないの?」
「男と出て行ったんだぞ。帰ってくるわけないじゃん」
「ほんとにー!!やったー!!もう、隠れてこそこそ会わなくてもいいの?」
莉那は、子供のように無邪気に飛び回って喜んでいたのだった。
「よし、じゃー2人の新生活を祝って飲みに行こうか!!」
二人は、車に乗り込み街へ向かったのだった。




