6-13
「そうですかー・・・わかりました。連絡あったら教えてください」
大和は、 夜勤が終わり家に帰っていた。寝る間もなく、まさかとは思いながらも愛の実家に電話していたのだったが、なんの連絡もなかった。
「一体どこへ行ったんだ・・・・・・」
なんの情報も得られないまま時間だけが過ぎていく。大和のイライラも頂点に達していた。
じっとしていても仕方ない。思い当たるところに出向くことにした。
「愛の職場・・・あの男の職場・・・」
他には思い付かない。
電話帳から住所を調べ、大和は車を走らせた。
「ここかっ・・・」
先に来たのは、愛の職場、亀田花園だった。
大和は車を停め、事務所へ向かったが誰もいないため、ハウスのほうへ向かった。
「すいませんが、ここで働いている戸川愛を知ってますか?」
ハウスの中で作業していた奥西桐子は、いきなり後ろから声をかけられたので驚き、尻餅をついてしまった。
「えっ?愛ちゃん?・・・昨日から来てないですけど・・・」
「やっぱり来てないか・・・何か聞いてるか?」
「社長が何も聞いてないって言ってましたけど・・・あれ?もしかして戸川さんって大和君?」
「そうだけど・・・誰だったっけ?」
名前を呼ばれて驚いた大和だったが、全く桐子が誰なのか分からなかった。
「奥西桐子、あー旧姓、高垣桐子だよ。大和君はたぶん知らないと思うけど。実家近所だよ」
「あー、桐子ちゃんかー。知ってるよ、小さな街なんだから。おっきくなったね」
二人は少しの間、昔の話で盛り上がっていた。
「それで、愛ちゃんいなくなっちゃったの?」
「そうなんだ。何か聞いてないか?」
「男がいることは聞いていたよ。詳しくは喋ってくれなかったけどね。私そういう話大好きなんだけどね」
桐子は大笑いしながら、楽しそうに話をしている。
「そうかっ。深くは喋らないやつだからな。あっ、そうだ、お前香奈とタメだよなー」
「香奈って、大谷香奈のこと?」
「そうそう、それが愛の男ってのが、香奈の旦那なんだよ」
「えぇー、そうなのー!!」
「そんな大声出すなよー」
桐子のあまりにも大きなリアクションに、大和はびっくりした。
「そうなんだー。それはほんとに驚きだよ」
桐子は、保育園で香奈にばったり会ったことを話した。
「そうだったのかー。世間ってほんと狭いよな。あいつえらく太ってなかったか!?」
「私もびっくりだよ。最初誰か分からなかったもん」
「そうだよな。あれじゃー旦那が浮気する気持ちわかるけどな。だけど、俺の嫁に手を出したのが運悪かったな」
「まぁー私には関係ないけどね。ざまぁー見ろって感じ。私あの子嫌いだから」
桐子は不気味に笑っている。
「ところでそんな喋ってていいのか?他に誰もいないのか?」
「今、社長も奥さんも出掛けてるから大丈夫だよ。社長なら何か知ってるかもね」
「なんだ、夫婦でやってるだけか。他に従業員もいないんだな」
「楽な会社だよ。たぶんもう少ししたら帰ってくるんじゃないかなー」
「そうかっ。じゃーもう少し待つとするか」
二人はしばらく話に盛り上がっていた。
10分ほどして、社長の車が帰ってきた。
「じゃーな。また何か分かったら連絡してくれ」
大和は、携帯の番号を桐子に教え、事務所のほうへ向かったのだった。
「じゃーねー」
桐子は面白い話を聞き、何か企んでいるかのように、一人でニヤニヤしていたのだった。




