6-12
次の日。
香奈は、拓斗の会社に来ていた。
朝から宇宙を保育園へ送ったあと、仕事へ行く気にもなれず、休んだのである。
「西岡拓斗来てますか!?」
事務所で仕事をしていた坂上と茜は、その人物が誰なのかすぐに分かった。
「昨日から来てないんですけど・・・」
茜が返事をした。
「やっぱり来てないんだ。何か連絡ありましたか?」
「何も連絡ないんですけど・・・」
茜は、香奈の目を見れなかった。
奥で二人の様子を見ていた坂上が立ち上がり、香奈のもとへ歩いてきた。
「西岡君の奥さんですか?」
「そうですけど?」
「いつもお世話になっております。私、坂上と申します。西岡君から何も連絡ないんですか?」
坂上は、丁重に頭を下げた。
「何もないからここへ来てるんでしょ!!一昨日の夜からいなくなってしまって」
「そうだったんですか・・・私達も困っておりまして。無断欠勤なんてしたことないのに、どうしたんでしょうか?」
「外川愛って女知ってますか?」
「いやっ、初めて聞く名前ですけど」
「その女と一緒なんです!!」
「えっ、その戸川さんと西岡君はどういう関係なんですか?」
坂上はさすが営業のベテランだ。口がうまい。隣で二人の会話を聞いていた茜が関心していた。
「どういう関係って!!どうせ知ってるんでしょ!!」
「いやっ・・・ほんとに知らないんですよ・・・西岡君とは会社の話はしますが、プライベートな話は一切していなかったので」
拓斗のよき相談相手だった坂上であったが、ほんとのことのように、知らないフリをしていた。
「ほんとに知らないの!!あんたは知ってるの!?」
香奈は、話をいきなり茜に振った。
「えっ!!わたしですか?えっ・・いや・・知らないですけど・・・」
もう大丈夫だと安心していた茜だったので、慌ててしまい、何を言っているのかわからなくなってしまった。
「なんか嘘っぽいなー!!ほんとに知らないの?後から分かったらどうなるかわかってるんでしょうねー!!」
「あっ、はい・・・ほんとに知らないので・・すいません」
「まぁーいいよ!!また連絡あったら連絡してくれますかー!!」
香奈は、これ以上この二人に話を聞いても進展がないと考えた。
香奈が出ていった後の事務所は、急に静かになった。
「あーびっくりしたよー」
茜が身震いする真似を坂上にみせた。
「やっぱり来たなー。それにしても恐そうな嫁だったよな。西岡あんなのがよかったのかなー」
二人とも拓斗の嫁を見るのは初めてだったので、あまりにも想像と違う嫁に驚いていた。
「話には聞いてたけど、あんなにひどいとは思ってなかったですよ」
茜もある程度は愛に聞いていたので、どんな人なのか分かっていたが、ほんとに愛が言っていた通り、素っぴんで、みすぼらしい服装をしていたので驚いたのだった。
「愛ちゃんとは全く正反対のタイプだよなー。ちょっと西岡のタイプがわからなくなってしまったよ」
「そうですよね」
「まだ嫁さんのほうは上手く逃げれたけど、旦那のほうが来たらやばいかもな・・・山本も旦那と面識あるんだろっ」
「そうなんですよね・・・私がここで働いてるなんて知らないもんなー・・・やばいよなー・・・」
「まぁーどうにかなるさ、あんまり考えないようにしようか・・・あっ、お客さんだよ」
二人は仕事に戻ったのだった。




