6-11
大和と香奈は、今までの経緯を話あっていた。
香奈は仕事が終わってから、再度拓斗の会社に電話していたが、来ているはずもなく何も情報を得ることができなかった。
「一体どこへ行ったの?拓斗は一人で出ていくなんて勇気のあることしないよ。気のちっさな男だからね」
「そんなこと言ってもよー。お前の旦那と愛が一緒だってわかんないじゃん。愛だけがいないんだったら分かるけど、子供もいないんだから、ちょっと出掛けたぐらいしか思わないだろ、普通」
「子供も一緒に連れていったんじゃないの!?子供の荷物とかちゃんとある?」
「そんなことはまさかしない・・・・・・あっ、ちょっと待てよ」
大和は何かを思い出したように、二階へと向かった。
さっき子供部屋へ入ったときに違和感があったのだ。めったに入らない子供部屋だが、ベットがえらくすっきりしていたような気がする。
「やっぱりない・・・」
部屋に入った大和は、桜と向日葵の掛け布団がないことに気がついた。
「どうして布団がないんだ?」
後から香奈も部屋に入ってきた。
「何か見つけたの?」
「あー、布団がないんだ。外にも干してなかったしな。あれっ、ランドセルもないぞ」
いつも勉強机の横に掛けてあるはずのランドセルもなくなっていた。
「ほら、やっぱり子供連れて4人で出ていったんだよ」
「そんな馬鹿なことってあるか!?」
大和はまだ信じられない。
「とにかく今日は帰ってくれ。もう仕事行かないとだめだから」
「こんなときに仕事!?子供までいなくなってるんだよ!!仕事なんていってる場合じゃないじゃん!!」
「そんな簡単に言うな!!俺が行かないと仕事が止まるんだよ!!」
大和がイライラしてきているのが香奈にも分かる。あまり興奮させ過ぎると恐ろしい男だと香奈も知っていた。
「わかったよ・・・今日は帰るよ。明日はいろいろ調べてみるよ」
「あー頼む。俺も仕事終わったら調べるから」
香奈も今日はあきらめ、帰ることにしたのだった。
家に着いた香奈は、義母に預けてあった宇宙を迎えに行った。
「拓斗帰ってきたかっ!?」
宇宙と遊んでいた拓斗の父、西岡光久が心配そうに聞いてきた。
「やっぱり帰ってこないんです・・・多分あの女と一緒だと思うけど・・・」
「なんだ。終わったんじゃなかったのか?」
「みんなそう思ってたけど、全然終わってなかったみたいだね」
「済まないな香奈ちゃん・・・そんな奴に育てた覚えはないんだがな」
光久は申し訳なさそうに、香奈に頭を下げた。
「いいですよ!!どうせあの女に騙されたんだよ」
「そんなひどい子なの?その子?」
ご飯の後片付けをしていた幸子が、食器を片付けながら聞いてきた。
「遊んでばっかりみたい!!拓斗の前も男いたみたいだし!!子供はほったらかしみたいだし!!私より歳上なのに、若い子みたいな派手なカッコしてるしね!!拓斗、女に騙されやすそうだし」
香奈は言いたい放題だった。
光久も幸子も、愛には会ったことがない。香奈の言ったことを信じるしかなかった。
愛の服装といっても好みの問題で、人にとやかく言われる筋合いはない。
香奈の服装は、いつも男みたいなカッコだった。
夏は、Tシャツにジーパン。
冬はトレーナーにジーパン。
化粧は面倒くさいからしていない。
こんな香奈に拓斗は呆れ果てていたのだった。
「そんな子なんだ・・・」
幸子も呆れ返っていた。
「そうなんです」
「拓斗は昔から女の子の運わるいからねー・・・」
「そうなんですか?ついてないんですね」
香奈は他人事だったが、幸子は香奈のことを言っていたのだった。
幸子は元々、香奈のことをいいふうには思っていない。拓斗は何も言わないが、生活を見ていたらよく分かる。
外食が多いこと。部屋はあれ放題。これだけでも、料理ができない、掃除はしていない。それにいつもカッコがだらしない。
家事は昔からきちんとこなしてきた幸子だったので、そんな香奈が幸子には信じられなかったのだ。
「まぁー香奈ちゃん、私も色々当たってみるから、そろそろ宇宙寝かせてあげて。眠たそうだから」
「はい、わかりました。ありがとうございます。宇宙!そろそろ寝ようかっ」
「はーい、ママ。じぃちゃん、ばぁちゃんおやすみ」
宇宙は拓斗がいなくなったことなんてまったく分かっていないのだろう。香奈も何も言っていないのだが。
「きょうもパパおそいの?」
「どうだろうね・・・もう帰ってこないんじゃない・・・」
「どこかへいっちゃったの?」
「・・・」
香奈はそれ以上何も言わなかったのだった。




