6-8
大和は家に到着した。
もちろんほんとなら、愛は仕事に行っているはずだ。
香奈の言っていたことが気になり、愛に一度電話したが、電源が入っていないのか繋がらない。
今度は、拓斗の会社に電話することにした。
「西岡はいるか!?」
「営業に出ておりますが」
電話に出たのは、茜だった。
大和と茜は面識がある。しかし、茜が拓斗の会社でいることは、大和自身知らないのである。
茜はすぐに大和だとわかったが、いつものように嘘を言ってしまった。
「ほんとだな」
「えっ、あっ、はい」
茜はしまったと思いながらも、今更言えず、そのまま言い逃れたのだった。
大和は電話を切った。
すぐに拓斗の携帯に電話したが、繋がらない。拓斗も愛と同じく電源が入っていない。
大和は、茜が嘘を言っていることなんて分かるはずもなく、とりあえず寝ることにした。
もちろんこのとき、大和は桜と向日葵は学校に行っていると思っていた。
まさか、子供を連れて拓斗と愛が出ていったなんてこと、想像もつかなかっただろう。
茜は電話を切ったあと、頭を抱え込んだ。
それを見ていた坂上が声をかけてきた。
茜は出勤してすぐに、拓斗が愛と駆け落ちしたことを、坂上に言っていた。
「どうした山本?旦那から電話だったのか?」
「そうなんですけどね・・・つい、仕事来てるって言っちゃって・・・・」
茜は泣きそうな顔で坂上に訴えかけている。
「そうか・・・まぁー言っちゃったものは仕方ないよ。休んでるの知らなかったことにしとこうか。気にするな。次かかってきたら俺に代われ」
坂上は笑顔で軽く茜の肩を叩いた。
「はい、ありがとうこざいます」
「それにしても西岡達も思いきったことをしたよな。普通はなかなかそんなことできないぞ」
「たぶん、二人とも相当思い詰めてましたからね・・・家に帰れば愚痴ばっかり言われてたみたいですしね」
「そりゃそうだろうな。毎日毎日嫌みばかり言われたら、自分達が悪いと思ってても嫌になってくるわな」
「そうですよね・・・私だったら耐えれないかも知れませんよ・・・」
茜は、隆雄の顔を思い浮かべた。
「まぁーそれにしても大した奴だよ。関心するわ」
事務所は皆営業に出ているので、二人しかいない。
茜は坂上と喋ったことで、少し気が楽になったのだった。
「それにしても、これからが大変だぞ。今日は西岡の嫁も電話かけてきてる。明日辺りここに二人とも来るかもしれないしな。このことは俺と山本しか知らないからな。二人のためにも秘密は守ってやらないとな」
「そうですね。大変なことになりそうですね・・・」
坂上と茜は、二人のことを言わないようしっかりとここで誓ったのだった。




