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「拓斗紹介するね。こっちが桜でこっちが向日葵ね。二人ともこれからこの人と一緒に暮らしていかないとだめだからね」
「二人ともよろしくね・・・」
拓斗は少し引きづりぎみの笑顔で挨拶した。
桜も向日葵も頭を下げることもなく、拓斗を見ている。
拓斗と子供の間には、大きくて見えない壁が塞がっていた。これからこの四人で暮らしていくのだ。少しの間沈黙が続いたが、愛がまた喋りだした。
「こんなところでゆっくりしている時間はないから急いで用意しよ。拓斗、これ車に積んでくれる」
「あー、わかった」
拓斗の車は、8人乗りのワンボックス車なので、ある程度の荷物は乗るのである。
布団に、子供達の荷物、愛と子供の服、生活に最低限必要なものだけを車に積んだ。
「こんなものかな・・・・」
「OKか?」
車の後ろは結構な荷物でいっぱいになった。
「じゃー行こうか。拓斗は荷物どうするの?」
「俺はいいや。家には帰れないから・・・」
「何かいい方法ないの?何もないんだよ・・・」
「無理だよ・・・死にに行くようなものだよ」
拓斗は、香奈のことを想像し、身震いした。
「そうだね・・・辞めとこうか・・・」
「服臭くなってきたら、安いの買うよ」
後ろのポケットから財布を出そうとした拓斗は、あることに気がついた。
「あれ、財布がないっ!!」
拓斗は、ポケットを何度も叩き確認したが、やっぱり財布はない。
「どうしたの?財布ないの?」
「あー、ないんだよー」
車に落ちてないか確認しているが、やっぱりない。
「ずっと持ってたよねー。どこでなくなったの?」
「展望台でお金払って・・・駐車場で・・・・・あっ!!・・・・・・駐車場代払うときだ・・・・たぶん・・・・・・財布置いたような気がする。そこから財布だしてないもん・・・しまった・・・」
「今更、取りになんていけないもんね」
財布の中には、現金一万ぐらいと、あと大事なものは免許証ぐらいだろうか。
「カードとか入ってなかったの?」
「それは大丈夫。俺はクレジットカードは持たない主義だったから。キャッシュカードも財布には入れてないから」
「じゃー免許証ぐらいだね」
「あーっ、どうしよっ。免許証はまずいなー・・・」
これから車で走るっていうのに、免許証ないのはまずい。でもどうしようもない。
「もう免許証は諦めよう・・・誰も悪用なんてしないだろ」
「もう今更どうしようもできないもんね」
「とにかく、今はお金だよ。会社に内緒で貯めてた通帳があるから取りにいこう」
「そんなのあるの?」
「あー。少しでも貯めていかないと、いざって時にお金ないからうちの家は。嫁が貯めてるの知ってたらすぐ使っちゃうから、内緒で貯めていたんだ」
「そうなんだ。大変だったんだね」
四人は拓斗の会社に向かうことにしたのだった。
車の後ろでは、不安そうな顔の桜と、座ったまま寝ている向日葵がいた。




