6-1
「なぁー愛、俺と駆け落ちしないか?」
突然だった。
「えっ、駆け落ち??」
「そう、駆け落ち・・・俺と一緒にどこか遠くへ行かないか?」
拓斗の一大決心とはこのことだった。
「遠くって・・・どこへ行くの?」
「そんなこと全く決めてないよ・・・そんなことこれから考えたらいい・・・とにかくここから逃げようよ」
「うん・・・ほんとに?・・・拓斗はそれでいいの?」
愛は嬉しかった。まさか、拓斗からそんな言葉がでてくるなんて思っていなかった。
「俺は自分の幸せを取ることにしたんだ。だからこれでいいんだよ」
「うん。ありがとう。嬉しいよ」
「愛はそれでいいのか?もう子供とは会えないぞ!!」
「・・・・・・。子供、連れていく訳にはいかないよね」
「そりゃそうだろっ。子供を連れて駆け落ちなんて聞いたことないよ」
「そうだよね・・・無理だよね」
「この先、どうなるかなんて分かんないんだよ。子供なんて連れていったら可哀想だよ」
「・・・・・・だよね」
愛はしばらく下を向いたまま、黙っていた。
「ねぇー拓斗・・・子供連れていったらだめかなー・・・愛やっぱり桜と向日葵のこと手離すなんてできないよ」
愛はずっと子供のことを考えていたのだろう。
涙を流しながら、顔を手で覆っている。
「やっぱり諦められないのか子供のこと・・・」
拓斗にも宇宙がいる。でも、子供というのは母親の存在が大きい。
「うん・・・子供の面倒は愛が責任持ってみるから・・・だから・・・お腹痛めて生んだ子を手離すことなんて愛にはできないよ・・・」
拓斗にとって、二人で駆け落ちすることだけでもお先真っ暗なのに、子供を二人も抱え込むなんて考えられなかった。ましてや、一度も会ったこともないのだから。
「なー、愛。子供を連れていくなんてやめないか?旅行に行くんじゃないんだよ・・・。駆け落ちするんだよ。そんな自分達の勝手に子供を巻き込むなんて可哀想だよ」
「そんなことは分かってるけど・・・子供を旦那に任せてなんていけないよ。絶対、桜も向日葵も一緒に行くって言うに決まってるよ」
「子供にとったら究極の選択だろ。今の生活を全て捨てて、行き先もわからない不安だらけの旅に行くんだよ」
「愛だって、子供を連れていくことなんてしたくないけど・・・子供のことを考えると連れていくのは可哀想だけど・・・自分の気持ちを考えると、離れ離れになることなんて考えられないの・・・。拓斗には迷惑なことだってことは分かってるけど・・・拓斗のこと大切だと思ってるのと同じぐらい桜と向日葵のことも大切な存在なの」
「・・・・・・わかった。愛の想いはわかったから・・・じゃー連れていこうか・・・」
こうなった愛は止められないだろう。
拓斗が何を言っても聞かないだろう。
もう考えるのはやめよう。
この先のことはなるようにしかならないだろう。
「じゃー子供達を迎えに行こうか」
拓斗は、さっきから鳴り続けている携帯の電源を切ったのだった。




