5-19
PM 9:30
待ち合わせ場所に到着した。
拓斗は、辺りに誰もいないか細心の注意をして、駐車場にゆっくりと入っていった。
真っ暗な駐車場。愛の車だけが停まっていた。
もしかしたら、どこかに隠れているのかもしれない。拓斗はいろんなことを想定していた。
愛の車の横に停め、一度エンジンをとめた。
拓斗のポケットの中では、10分ぐらい前から携帯が鳴っていた。車を停めた拓斗は、携帯が鳴り始めてから、初めて履歴を確認した。
相手は香奈だった。香奈はいつも何か気に入らないことがあれば、拓斗が出るまで何回もかけてくるのである。
「奧さんから?」
携帯を見ていた拓斗が気になったのか、愛が聞いてきた。
「あー、ついにかかってきたな。かなりしつこくかかってくるよ・・・・・・あっ・・・・しまった・・・」
拓斗は着信が鳴ったと同時にボタンを押してしまった。
そのまま切ることもできず、電話にでたのだった。
「・・・」
「もしもしー!あんた何やってるの!?仕事休んでるってどういうことなの!?ちゃんと説明してくれる!?」
「いや、休んでないけど・・・どうして?」
拓斗はとりあえずとぼけてみることにした。
「もう嘘言わなくていいよ!!会社に電話して聞いたんだからね!!今どこ?すぐに帰ってきて!!」
「・・・今日はまだ残業しなきゃだめだから・・・」
「まだ嘘言うの?わかったよ!今、会社にいるんでしょ!?今からそっち行くから待ってて」
「・・・いや、今、お客さんのとこだから・・・」
「まだとぼける気!?もう全部大和君から聞いたんだからね!!今、あいつといるんでしょ!!」
「・・・今お客さんと喋ってるから切るよ・・・」
香奈が何か言っていたが、拓斗は迷わず携帯を切った。
「はぁーー・・・・・・」
拓斗は大きなため息をついた。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。・・・たぶんもうばれてるね。帰ったらとんでもないことになるよ」
「どうしようか・・・もう終わりだね・・・愛、もう帰れないから、どっかへ消えるわ・・・」
「消えるって・・・どこも行くところなんてないじゃん・・・」
「もう疲れたよ・・・拓斗はいいよ、家に帰っても・・・なんだかんだ言っても許してくれるでしょ、奧さん。だから帰ってあげて・・・愛は一人で大丈夫だから・・・」
愛は投げやりになっていた。
どうせまた、最後には拓斗に裏切られるんだ。
また、一人になるんだ。
「もうどうなってもいいよ・・・疲れちゃった」
拓斗も愛がイライラしているのに気が付いている。このまま愛を放ってはおけない。
拓斗自身も、一度愛のことを裏切ったことを後悔している。
『どうしよー・・・・・・・・・』
拓斗はいろんなことを考えた。
愛のこと 宇宙のこと 自分のこと
香奈のこと 大和のこと
『自分の幸せとってもいいよな・・・・・・』
拓斗は今、一大決心をしたのであった。




