5-17
メールの返事が大和から返ってきた。
(何とぼけてるんだ。今日は仕事休んでるんだろ。もうわかってるんだぞ。帰ってきたらどうなるかわかってるんだろうなー)
「やっぱりばれたんだよ・・・どうしよう・・・もう帰れないよ」
愛は泣き出した。
大和が言っていることが本当なのか脅しなのかはわからない。
「とりあえず帰ろう。ここでいても仕方ないよ」
拓斗もどうしていいのかわからないが、帰りながら考えようと車を走らせたのだった。
♪♪♪
愛の携帯が鳴っている。茜からだった。
「もしもし、愛。大丈夫?」
茜は事情を聞き、いてもたってもいられなかったのだろう。
「茜、私どうしたらいいの?たぶんばれちゃったよ・・・」
「落ち着いて考えよ。まだ本当にばれたのかどうかわからないでしょ。今日は帰って様子見てみたら?案外いつもみたいにでまかせで言ってるだけかもしれないし」
「それはそうだけど・・・でも恐くて帰れないよ・・・」
「桜と向日葵はどうしてるの?一回さりげなく家に電話してみたら?」
「旦那のことだから、子供達にも問い詰めてると思うけど・・・電話しても旦那でると思うからだめだよ・・・」
大和のことだ。子供はもちろん、いろんなところへ聞いているに違いない。そういう男だ。
「じゃー私がさりげなく電話してみるよ」
「でも・・・子供は電話にはでないよ」
「旦那がでたら適当に代わってもらうよ。任せて!」
「大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。じゃー1回切るよ」
電話はすぐに切れた。
「茜さん、何だって?」
「うちの子供にどうなってるか聞いてみてくれるって・・・」
「茜さんも心配してくれてるんだね。いい友達持ったね」
「うん。茜はほんと頼りになるよ。ほんと助かる」
「もし旦那にばれたんなら、嫁にも電話してるんだろうな・・・。昼間に電話かかってきたときにえらく怪しんでたからな・・・俺も1回メールしてみようかなー」
「奧さん怪しんでたら、もうとっくに電話じゃんじゃんかかってきてるんじゃないの?」
「それもそうだな・・・」
♪♪♪
愛の電話が鳴った。
茜からだろうか。
携帯を見た愛は、でようとした指が止まった。
電話の相手は大和からだった。
「どうしよう、拓斗・・・旦那からだよ・・・」
「でないのも逆にあやしいだろう・・・」
着信は止まることなく鳴り続けている。
「でるよ・・・・」
愛は勇気をふりしぼり、電話にでることにした。
「はい・・・」
「お前忘年会なんて嘘だろ!!あいつといるんだろ!!」
「いないけど・・・忘年会だけど」
「嘘つけ。今日お前の会社に電話したら休みだって言ってたぞ」
大和は愛の会社にまで電話していた。
愛は念のため、会社の社長には会社に来ていることにしてほしいと言ってある。だから大和が万が一本当に電話していても大丈夫なはずだった。
「そんなこと言われても嘘言ってないし・・・」
でたらめを言ってるのかもしれない。愛は引かなかった。
「じゃーあいつはどうして休んでるんだ!!しかも、嫁には休むなんて言ってないみたいじゃないか!!どういうことだ!!」
「そんなこと言われても知らないし・・・」
「そうか・・・朝、あれからお前の後つけたんだよ。そこまで言ってもまだしらをきるつもりか!?もういい・・・二度と帰ってくるな!!」
電話は切れた。
「どうだった?」
愛は電話の内容を拓斗に話した。
「えっ、朝つけられてたの?駐車場で辺り常に気にしてたけど、怪しい車なんていなかったけどなー。それも実は脅しで言ってるんじゃないの?でも俺のほうもやばそうだな。どうせ嫁にも電話してるだろうな・・・」
拓斗は不安になってきた。帰ったらとんでもないことになりそうだ。
「とりあえず、茜の電話待ってみるよ。拓斗のほうは奧さんから電話ないの?」
「あー、恐ろしいほどかかってこないんだよ。でも時間的にそろそろ子供を寝かす時間だからかかってくるかもしれないね・・・」
「もうどうしていいのかわかんないよ・・・」
「うん・・・」
二人とも悪いほうにばかり考えてしまうのであった。




