5-16
愛は歩きながら携帯をチェックしていた。
朝、大和と顔を合わせてしまったことが気になっていたからだ。
展望台へ来るまでは、何も来ていなかった。
大和からメールが来ていた。
普段だと、夜勤のときはもうとっくに起きている時間だった。
愛は恐々、大和から来ていたメールを開けてみた。
恐れていた内容だった。
「・・・・・・」
愛は身体の力が一気に抜けたかのように、その場にしゃがみこんでしまった。
「愛、どうした?大丈夫か?」
いきなりのことで拓斗も驚きが隠せない。
「拓斗、どうしよー・・・」
愛はしゃがみこんだまま、拓斗に携帯を見せてきた。
渡された愛の携帯を見た拓斗は、メール内容に唖然としてしまった。
(お前、やっぱりあいつといるだろ。もうばれてるんだからな。覚悟しろよ)
「これって本気で言ってるの?またいつもの思い込みで言ってるんじゃないの?」
確かに、大和はいつも拓斗に電話してくるとき、確信もないことをでたらめ言っている。そのことを考えると、このメールもおどしなのかもしれない。
「愛、一回適当に返事返してみたら?」
「うん、まだばれたかどうかわからないもんね」
(いないけど。今忘年会来てるし)
愛は適当に返事を返してみた。
「拓斗、実はね・・・」
愛は朝、大和と顔を合わせてしまったことを拓斗に話した。
「そうだったのか・・・」
拓斗は、大和から電話がかかってきていたことを愛にうちあけた。
「拓斗の所にも電話あったんだ。でも、誰が番号おしえたんだろ・・・やっぱり奧さんかなー」
「もしかしたら、会社にも電話あったかもしれないね」
拓斗は会社に電話してみることにした。
もう時間も遅いため、みんな帰ってしまっている。
今度は坂上の携帯に電話してみた。
「あっ、坂上さんですか?西岡ですけど・・・」
拓斗は坂上に先程までの経緯を話した。
坂上は知らなかったみたいだが、どうやら茜がそれらしきことを言っていたらしい。
「ありがとうございました。茜さんにきいてみます」
話を横で聞いていた愛は、早速、茜に電話していた。
「もしもし、茜。あのね・・・」
今度は茜に事情を話し、電話がなかったか聞いてみた。
茜の話によると、昼休憩にかかってきたらしい。それが、電話にでたのが茜でも坂上でもなかったのだ。
昼にたまたま帰ってきていた岡澤が電話にでたらしい。
坂上と茜はわかっていることなので、電話がかかってきても営業にでていると言ってくれる手はずになっていた。
それがたまたま帰ってきていた何も知らない岡澤が出てしまった。案の定拓斗のことを聞かれ、「今日は休み」だと言っていたらしい。しかもそれだけではなかった。
拓斗の電話番号を聞かれ、教えていたことがわかった。
岡澤は普段から大人しく、拓斗と愛が初めて出会ったあの飲み会にも参加していたが、ほとんど何も喋っていなかった。
たぶん電話の向こうで、大和から怒鳴られ、仕方なく番号を教えたのだろう。
だからって、岡澤を責める訳にもいかない。
「そういうことだったのか・・・」




